UMGとNVIDIAが提携、音楽AIで新体験を構築 アーティスト保護を堅持
UMGとNVIDIAは、音楽特化型AIモデル「Music Flamingo」の活用で提携した。数百万曲のカタログをAIが深層学習し、楽曲の背景や構造を理解した高度な検索・創作体験を構築する。アーティスト参加型のインキュベーターも設立し、権利保護を優先した「責任あるAI」を通じて、低品質なAI生成物に対抗しつつ創造性の拡張を目指す。
米Universal Music Group(UMG)は1月6日(現地時間)、米NVIDIAとの提携を発表した。NVIDIAのAIインフラと、UMGが保有する数百万曲規模の音楽カタログを組み合わせ、音楽の発見、創作、ファンとのエンゲージメントにおける「責任あるAI」の活用を共同で開発するという。
NVIDIAの音楽理解モデル「Music Flamingo」を拡張し、従来のメタデータ(タグやジャンル)に依存した検索を超え、楽曲の構造、ハーモニー、さらには歌詞や文化的背景までを踏まえた“人間のような理解”に基づく発見体験を目指すとしている。UMGはAIを活用してパーソナライズの枠組みを超えた新しい体験を探る一方で、アーティストの作品保護や適切なアトリビューション(帰属表示)確保のための新手法も追求していくという。
提携の柱の1つとして、アーティスト、ソングライター、プロデューサーが直接参加するAIツール共同設計インキュベーターを設立する。AIツールを創作現場の実運用に組み込みながら、独創性や真正性を損なうことなく表現を拡張する手段として検証する。UMGは、これが市場に溢れる“汎用的で低品質なAI生成コンテンツ”への対抗策にもなるとしている。
UMGのルシアン・グレンジ会長兼CEOは、創作コミュニティの利益と著作権および人間の創造性の尊重を前提に、AIの変革的可能性をアーティストとファンのために活用する考えを強調した。NVIDIA側も、権利保護を担保する安全策を組み込んだ形で展開すると説明している。
NVIDIA Researchが公開しているMusic Flamingoのプロジェクトサイトによると、このモデルは「Audio Flamingo」をベースに音楽理解へ最適化した大規模な音声・言語モデル(LALM:Large Audio-Language Model)という。長文のキャプションやQ&Aデータセットなどを用いて学習されており、音楽に関する高度な推論能力を持つとしている。
UMGは2023年には米Google傘下のYouTubeと提携し、生成AIと音楽に関する取り組み「YouTube Music AI Incubator」を立ち上げている。2024年には、「AI悪用からアーティストを守るため」として一旦はTikTokとの契約を打ち切ったが、数カ月後に新たなライセンス契約を結んだ。2025年にはSony Music GroupやWarner Music GroupとともにSpotifyとアーティストやソングライターを支援する“責任ある”AI製品を開発中であると発表した。
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