マンガワン問題で小学館が連載作家向け説明会 起用時にコンプライアンス基準への同意求める方向へ
小学館は16日、漫画配信アプリ「マンガワン」での原作者起用問題について、同誌で連載している作家向けの説明会を行った。SNSでの発信に制限はないとして漫画家の糸川一成さんが、Xでその内容を一部明らかにした。
小学館は3月16日、漫画配信アプリ「マンガワン」での原作者起用問題について、同誌で連載している作家向けの説明会を行った。漫画「のけもの恋がたり〜稀血の娘とあやかし狐〜」の糸川一成さんが、Xでその内容を一部、明らかにしている。なお、SNSでの発信に制限はないという。
当日は編集部員や漫画家が80人以上集まり、今後の改革について説明があった。ただし、具体性や透明性に欠けたのか、糸川さんは「所信表明」のような印象を受けた模様。現場でもかなり厳しい意見が飛び交ったという。
そんな中、糸川さんが注目したのは、作家起用の際に、出版社側のコンプライアンス基準に同意してもらうなどの形で起用を判断するという点だった。コンプライアンスとは、企業が法律や規定のみならず、企業倫理や社会規範を順守して行動する姿勢のこと。近年は不祥事などの経営リスクを回避するため、多くの企業が社内基準として取り入れている。
漫画家や原作者は顔出しをしない場合も多く、ペンネームを使えば身バレせずに仕事ができる。「作家個人に問題があっても、いとも簡単に“転生”できてしまう業界そのものの構造上の問題が根底にあります」と糸川さんは指摘する。それでも今回の問題を機に「今、編集部、小学館、ならびに業界全体のコンプライアンス意識が急激に変わっていく局面なのは間違いありません」と前向きに捉えているようだ。
後で問題が発覚し、単行本が販売できない事態になれば、出版社の信用は毀損し、作家は収入を得られず、作品のファンは落胆する。糸川さんは「まっとうにお仕事をされている先生方の発表の機会、そして読者の皆さんの素晴らしい読書体験を“面白ければ犯罪歴があってもよい”と妨げられることが、作家本人、そして編集側からも、これ以上あってはなりません」という。
今後は必要に応じて今回のような説明会が開催される他、マンガワンからの声明もまとまり次第、発表されるとのこと。
「のけもの恋がたり〜稀血の娘とあやかし狐〜」は、大正時代を舞台にした“異人の子”と“半妖”のラブファンタジー。最新2巻が1月19日に発売されたばかり。
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