ソニーとシャオミ、その対照的なスマートフォン戦略 炎上した「AIカメラアシスタント」の実際は?:小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)
ソニー「Xperia 1 VIII」とシャオミの「Xiaomi 17T Pro」および「Xiaomi 17T」。フラッグシップとハイエンドでは単純に比較できないが、双方を実際に触ってみたところ、両社の市場戦略を知る良い材料になった。
生成AIに対するアプローチの違い
Xperia 1 VIIIに対しては、海外公式Xアカウントが投稿したAIカメラアシスタントの参考画像が、元の写真から白飛びしていたことから、AIカメラアシスタントの性能に疑念が持たれる結果となった。
誤解の多いこの機能を、実際にハンズオンでテストすることができた。まずカメラを被写体に向けると、その時点でAIが被写体を認識し、適切と考えられるトーンの候補を4つ提案してくれる。撮影前にどのようなトーンになるのかが確認できるほか、提案が気に入らなければオリジナルのトーンで撮影することもできる。
この4つの候補は、αに搭載されている「クリエイティブルック」がベースになっている。被写体を認識したあと、AIが適切と思われるクリエイティブルックを選択し、そのバリエーションを4つ作ってくれるという格好になる。よって4つの候補は極端に違うバリエーションとなるわけではなく、なんとなく傾向がある感じだ。海外公式Xアカウントの炎上は、候補の選択にセンスがなかった、ということだろう。
AIから提案された候補をクリックして、詳細設定ボタンをタップすると、ベースになったクリエイティブルックがどれなのかを確認することができる。
αの場合は、もちろんクリエイティブルックは自分で選択するものだ。とはいえ、たくさんあるルックの中から、撮影時にいちいち全部試している時間があるのか、と言われれば、現実にはそこはなかなか難しい。
例えばみんなで食事しているときに、1人だけ料理に手をつけずにいつまでも写真を撮っているのは、マナーとしてはいただけない。ましてや中央の大皿料理に対してそんなことをしていれば、他の人はおあずけをくらった犬みたいな顔をして写真を撮り終わるのを待つことになる。次は呼ばれない可能性が高い。
AIカメラアシスタントは、カメラを向けた瞬間に候補を提示してくれるので、凝った写真でも撮影時間は短縮できる可能性がある。
写真の加工などメシ食った後でゆっくりやりゃあいいじゃねえかと言われれば、まったくその通りである。とはいえ現代は、撮ってSNSにアップするまでが一連の行為なので、どうしても撮影時に加工するという方向性にならざるを得ない。
まあそれはさておき、ソニーのAIカメラアシスタントの主眼は“画像生成ではなく、カメラのコントロールにある”と言えそうだ。ソニーのユーザーにはガチのクリエイターも多いので、「勝手にAIが作ったものは写真とは言わないんじゃないか」と、誰もが感じている違和感を尊重したとも考えられる。
望遠カメラで背景をぼかす機能もあるが、これはメインの被写体認識とそのマスク生成にAIを用いているだけで、背景をぼかすのはただのエフェクトだ。AIによる画像生成……というほどでもない。
一方、Xiaomi 17Tシリーズの場合は、生成AIに関しての独自性はない。前出の「AIウルトラズーム」は、おそらく画質劣化した部分を生成AIで補完するのだろうが、基本的にはGoogleがやってきたことをなぞっている。またスマホ自体のAIに関しても、「Geminiに完全対応」という紹介だけで、独自機能を実装しているわけではない。
カメラをLeicaと共同開発している関係から、撮影に対する生成AIの利用はLeicaブランドとの兼ね合いになる。生成AIがLeicaブランドを毀損(きそん)するようなことは、XiaomiとしてもLeicaとしても避けたいはずなので、実装するとしてもLeicaブランドと関係ない部分に限定すると思われる。
自社開発で固めた「Xperia 1 VIII」は、機能やデザインも十分だが、実勢価格23万6000円前後はなかなか手が出せない。
一方Xiaomi 17T Proは11万9800円で、十分魅力的である。さらにXiaomi 17Tは、ディスプレイとバッテリーがちょっと小さいことと、FeliCa非搭載なだけで、8万9980円前後で買える。これは十分市場競争力がある。
消費者がどちらを選ぶのかは、まもなく市場が答えを出すだろう。
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