ChatGPTの“記憶”を刷新 メモリ機能の新基盤展開、無料ユーザーへも順次
米OpenAIは6月4日(現地時間)、ChatGPTのメモリ機能を強化したと発表した。新基盤「Dreaming V3」により、過去の会話から得た文脈を正確に引き継ぐだけでなく、時間の経過にも自動で追従する。
米OpenAIは6月4日(現地時間)、ChatGPTのメモリ機能強化を発表した。情報整理技術「Dreaming」を「V3」にアップデートし、過去の会話の文脈や好みをより正確に引き継ぎつつ、時間の経過に合わせて記憶を自動で更新できるようにする。米国のPlusおよびProユーザー向けに同日から提供を開始しており、今後数週間かけて他の国やFree、Goユーザーへも順次拡大する。
ChatGPTのメモリ機能は、ユーザーの好みや進行中のプロジェクト、制約を学習し、新しい会話を毎回ゼロから始めずに済むようにするものだ。同社は「良いメモリ機能」として満たすべき条件は、(1)過去の会話で伝えた事実を正しく思い出す、(2)好みや制約に沿った回答を返す、(3)時間が経っても記憶が古びない──の3点を挙げる。たとえば、ベジタリアンと伝えていれば食事の提案がそれに沿った内容になり、「7月にシンガポールに行く」と話していた予定の記憶は、旅行が終われば「2026年7月にシンガポールに行った」と自動で書き換えるなどだ。
「好みや制約への適合」の例。同じシンガポール旅行プランの相談でも、メモリなし(左)は一般的な観光案内に終始する一方、メモリあり(右)は野生動物の写真撮影や静かな食事といったユーザーの嗜好を踏まえた提案を返す
同社の社内評価では、Dreaming V3がこの3点でいずれも大きく伸びたという。過去の事実を正しく思い出せる割合は24年の41.5%から26年には82.8%へ、好みに沿った回答ができる割合は31.4%から71.3%へ、時間経過に合わせて記憶を更新できる割合にいたっては9.4%から75.1%へと跳ね上がった。
あわせて、ChatGPTが何を覚えているかを一覧できる「メモリサマリーページ」を新設。画面上で記憶の要点を確認できるほか、情報の追加・修正、ChatGPTに取り上げてほしい話題やタイミングの指示も可能だ。
また、今回のDreaming V3では、計算量を従来比で約5分の1に削減することに成功。これにより、無料ユーザーへの展開やPlus、Proユーザーのメモリ容量拡大が可能になったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Anthropic、650億ドル調達──評価額は3カ月で2.5倍の9650億ドルとなりOpenAIを上回る
Anthropicは、シリーズHラウンドで650億ドルを調達したと発表した。資金調達後の評価額は9650億ドルに達し、未上場としてOpenAIを抜き、世界最高の評価額を持つAI企業となった。同日には最新モデル「Claude Opus 4.8」の提供も開始した。
パワポにChatGPTを召喚できるアドイン、OpenAIがβ版公開 スライド作成から編集まで指示するだけ
米OpenAIは5月22日(現地時間)、PowerPoint上でChatGPTを利用できるアドイン「ChatGPT for PowerPoint」のβ版を公開した。
ChatGPTでYahoo!ショッピングの商品が探せるように ECモールで初の連携
ChatGPTの会話からYahoo!ショッピングの商品が探せるようになった。LINEヤフーが「Apps in ChatGPT」への対応を開始。ECモールとして初の連携で、Yahoo!ショッピングとの会員登録不要で利用できる。
Appleが5年がかりで開発したセキュリティ対策を5日で突破 「Mythos」が見せつけた脆弱性攻撃の威力
米セキュリティ企業のCalifが、米Appleが5年がかりで開発した最先端のセキュリティ対策「MIE」を突破するエクスプロイト(攻撃プログラム)を、わずか5日間で開発したと発表した。利用したのはAnthropicのAIモデル「Mythos」のプレビュー版だった。
OpenAI幹部3人が退社 「Sora」や科学研究部門の縮小が背景か
OpenAIの幹部3人が退社を発表した。「Sora」責任者のビル・ピーブルズ氏、「OpenAI for Science」担当のケビン・ワイル氏、B2Bアプリケーション担当CTOのスリニバス・ナラヤナン氏だ。OpenAIはSoraや科学研究などの「副次的事業」を縮小する方針を固めたと報じられている。


