家庭用PCでも数秒でサーバを“落とせる”、HTTP/2の脆弱性をCodexが発見 さくらインターネットも対策
米セキュリティ企業のCalifが6月3日(現地時間)、少しの通信量でWebサーバに過剰な負荷をかけ停止させるDoS攻撃手法「HTTP/2 Bomb」の注意喚起を行い、その深刻さから話題になっている。
米セキュリティ企業のCalifが6月3日(現地時間)、少しの通信量でWebサーバに過剰な負荷をかけ停止させるDoS攻撃手法「HTTP/2 Bomb」に注意喚起したことをきっかけに、その深刻さが話題になっている。国内では、さくらインターネットも対応に追われており、6月4日夜に緊急メンテナンスを実施。暫定措置としてWebサーバを「HTTP/2」から「HTTP/1.1」へ切り替えた。
Califは、米OpenAIのコーディング支援ツール「Codex」によりこの脆弱性を発見した。同社によると、100Mbps程度の回線があれば、家庭用PCでも脆弱なサーバを数秒で停止に追い込めるという。標的になるのは「nginx」「Apache httpd」「Microsoft IIS」「Envoy」「Cloudflare Pingora」といったWebサーバソフトやロードバランサーだ。中でもApache httpdとEnvoyを標的とした場合、単一のクライアントからでも約20秒あれば32GBのサーバメモリを消費・占有させられるとしている。
手口は、以前からある2つの攻撃手法の組み合わせだという。1つは、HTTP/2が通信量を減らすために備えるヘッダ圧縮方式「HPACK」を悪用。同方式の「一度送った情報を1バイト程度の短い番号で呼び出せる仕組み」を逆手に取り、1リクエストの中で何千回も呼び出してサーバメモリを占有し続ける。送る側はわずかなデータでも、サーバ側のメモリ消費は何千倍にも膨らむという。
もう1つは、サーバからの応答をわざと受け取らずに接続を握り続ける「Slowloris」と呼ばれる手口だ。2つの手口はどちらも10年ほど前から知られていたが、組み合わせることで大量のメモリを長時間占有できることがCodexにより発見されたとCalifは説明している。
国内では、さくらインターネットが6月5日、HTTP/2に「外部からの攻撃によりサービスが停止する可能性がある脆弱性」が見つかったとして、緊急メンテナンスを実施。同社に確認したところ「HTTP/2 Bomb対策である」との回答を得た。
4日に同社が実施した緊急メンテナンスの対象は「さくらのレンタルサーバ」のライト、スタンダード、プレミアム、ビジネス、ビジネスプロの各プランと、「さくらのマネージドサーバ」の全プラン、レンタルサーバのリセール向けサービス全プラン。
HTTP/1.1への切り替えで一部の環境ではページの表示速度がわずかに落ちる可能性があるが、サイトの閲覧や機能に支障はないとしている。同社は恒久的な対策の目処が立てば、速やかにHTTP/2を再び有効にする方針だ。同社以外にも、お名前.comを提供するGMOインターネットグループなど、複数の企業が同脆弱性に暫定的な対策を講じている。
Califは対策として、修正版ソフトに更新するほか、更新できない場合はHTTP/2を無効化するよう呼び掛けている。さくらインターネットが採ったHTTP/1.1への切り替えは後者に当たる。HTTP/2に起因する大規模な攻撃は過去にもあり、2023年には米Google、米Cloudflare、米Amazonが、「HTTP/2 Rapid Reset Attack」(CVE-2023-44487)による大規模のDDoS攻撃を公表している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Google、Cloudflare、Amazon、 HTTP/2悪用の史上最大規模DDoS攻撃について説明
Google、Cloudflare、Amazonは、8月に受けた史上最大規模のDDoS攻撃について説明した。「HTTP/2」プロトコルの脆弱性を悪用した攻撃で、「Wikipediaへの1日分のリクエストを10秒で受信する」規模としている。
Google、高速プロトコル「QUIC」をChromeとモバイルのデフォルトに
Googleが、TCPに代わるトランスポート層の高速プロトコル「QUIC」をGoogleクライアントからGoogleサーバへのデフォルトプロトコルとし、IETFに標準化を申請する計画を発表した。
Google、「SPDY」終了と「HTTP/2」サポートを発表
Googleが、HTTPをサポートする独自プロトコル「SPDY」のChromeでのサポートを2016年までに終了する。SPDYの多くの機能を統合した「HTTP/2」の策定が近いためとしている。
イラン関連のサイバー攻撃活発化か ロシア系ハクティビストの活動も パロアルト調査
セキュリティ企業の米Palo Alto Networksは3月2日(現地時間、以下同)、イランに関連するサイバー攻撃が活発化しているとのレポートを公開した。米国とイスラエルによる2月28日の攻撃以降、イラン国外のハクティビストなどによる動きが活性化しているという。
Cloudflareが“政府認定クラウド”入り セキュリティサービスが政府調達の対象に
CloudflareのCDNやWAF、DDoS攻撃対策、ゼロトラストサービスなどが、政府の調達対象になる。


