九州大学の研究チームは7月2日、X(旧Twitter)への投稿をきっかけに、カマキリの卵嚢に寄生するハチ「Eupelmus curvator」(ナガコバチ科)を、日本で初めて記録したと発表した。
これまで中国でしか確認されておらず、日本は2番目の記録国になった。「SNSを通じた観察情報が新たな発見につながることを示した事例」としている。
発端は2021年春、当時九州大学農学部の学部生だった野口奨悟氏が、九州大学伊都キャンパスで、チョウセンカマキリの卵嚢に産卵するナガコバチ科のハチの動画と画像をTwitter(当時)に投稿したこと。
この投稿に、寄生蜂の分類を専門とする同大総合研究博物館の河野太祐協力研究員が注目した。カマキリの卵嚢に産卵するナガコバチ科の観察例は極めて少ないことから、河野研究員がSNS上で情報提供を呼びかけた。
その結果、2017年と2018年に神奈川県の公園で、作家のとよさきかんじ氏(日本野虫の会)が撮影した同様のハチの記録が寄せられた他、滋賀県立琵琶湖博物館の今田舜介学芸員が福岡市の離島・能古島で2021年春に採集した標本も提供された。
これらの標本や写真を精査した結果、中国・陝西省からわずか数個体しか知られていなかったナガコバチの一種「Eupelmus curvator」と判明。日本初記録となった。
中国ではコウチュウ目のキクイムシに寄生すると記録されていたが、日本ではこれまで、カマキリ目のチョウセンカマキリの卵嚢のみから確認され、異なる昆虫の「目」もく)をまたいで寄生する可能性が示された。
ナガコバチ科のEupelmus属は世界で約1000種が知られるが、カマキリの卵嚢に寄生する種はこの種を含めても5種しか報告されておらず、その多くは偶発的な記録だった。
この種は別々の地域で複数回にわたりカマキリ卵嚢への寄生が確認されており、カマキリの卵を主要な寄主として利用している可能性が高いことが分かったため、Eupelmus属の中でも極めて特異な生態を持つ種だとみている。
SNSの投稿をきっかけとした生物の発見は近年増えている。日本でも、学名に「twitter」「retweet」が入ったハマベダニ2種や、寄生バチの一種「ホシガタハラボソコマユバチ」がSNS投稿から見つかっており、「市民による観察と専門家の連携が新たな知見の創出に寄与し、新しい市民科学のトレンドになりつつある」としている。
研究成果はルーマニアの科学雑誌に7月1日付で掲載された。
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