AMDとMicrosoftが戦略的提携を拡大 新AIラックスケール「Helios」をAzureに大規模導入へ
AMDは、Microsoftとの戦略的提携を拡大すると発表した。Microsoftはクラウドサービス「Azure」に、GPUやCPUを一体化したAMDのラックスケール製品「AMD Helios」を大規模に導入し、フロンティアAIモデルの推論処理などに活用する。Heliosは2026年後半から出荷が開始される予定だ。
米AMDは7月20日(現地時間)、米Microsoftとの戦略的提携を拡大すると発表した。GPU、CPU、ネットワーク、ソフトウェアにまたがる提携で、中核となるのはMicrosoftによるAMDのラックスケール製品「AMD Helios」のAzureへの大規模導入だ。Microsoftは自社やAI顧客、Azureのサービスで使うフロンティアAIモデルの推論処理にHeliosを活用する。AMDはMicrosoftを含む顧客に対し、Heliosを2026年後半から出荷し始める予定だ。
AMD Heliosは、GPU「AMD Instinct MI455X」、第6世代サーバ向けCPU「AMD EPYC」(開発コード名:Venice)、Pensandoブランドのネットワーク技術、ソフトウェア「ROCm」を一体化した、オープンなラックスケールAIシステムで、大規模なAIの学習と推論向けに設計されている。GPUやCPUを個別に提供する従来の形とは異なり、演算からネットワーク、ソフトウェアまでをラック単位のシステムとしてまとめて提供する点が特徴だ。
MicrosoftはAMDのHeliosと次世代EPYCを、Azureの3つの新しい仮想マシン(VM)シリーズとして展開する。このうちHeliosのラックを使う「ND MI455X v7」は、推論や検索、エージェント型のワークロードを想定する。さらに、AzureのネットワークインフラでPensandoのDPU(Data Processing Unit)の導入を広げ、自社の高速化技術「Azure Boost」とAMDの技術を統合する。
Microsoftのサティア・ナデラ会長兼CEOは発表文で「AMDとの協業を通じてAzureのインフラ製品群をAMD Heliosで拡充し、次世代のAIアプリケーションの開発と実行に必要な性能、規模、選択肢を顧客に提供する」と語った。AMDのリサ・スー会長兼CEOも、両社の連携を「AMDのAIソリューションのフルスタックへと広げるもの」と位置付けた。
AMDのInstinctシリーズは、Microsoft以外の大手にも採用が広がっている。Meta、OpenAI、Oracle、xAI(現SpaceXAI)などが自社での採用を公表しており、MetaはLlamaシリーズの推論に採用しているほか、OpenAIも最大6ギガワット規模のGPU供給を受ける提携をAMDと結んでいる。
AMDはHeliosの出荷先を「Microsoftを含む顧客」と説明しているが、今回の発表ではMicrosoft以外の具体的な採用企業名は明らかにしていない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Meta、AMDと戦略提携 最大6ギガワット相当のGPU導入とワラント契約
MetaとAMDは、最大6GW相当のGPU導入に関する戦略的提携を締結した。5年で最大1000億ドル規模の契約とみられ、次世代GPUやCPUを導入する。また、導入実績に応じ最大1.6億株の普通株を取得できるワラント割り当てでも合意。MetaはNVIDIAとの大規模契約に続き、AIインフラの多様化と調達の安定化を加速させる。
NVIDIA、CoreWeaveに約3100億円出資 次世代「Rubin」基盤のAIデータセンターを5GW規模で構築へ
NVIDIAは、AIクラウドのCoreWeaveに20億ドルを出資し、提携を強化した。2030年までに5GW規模のAIデータセンター構築を目指し、次世代の「Rubin」プラットフォーム等を優先導入する。
Microsoft、「AIスーパーファクトリー」始動 AI学習時間短縮へ
Microsoftは、米アトランタで「AIスーパーファクトリー」の運用を開始したと発表した。大規模データセター「Fairwater」の第2拠点で、ウィスコンシン拠点と「AI WAN」で直結する。NVIDIA GB200を採用し、AIモデル学習を数カ月から数週間に短縮することを目指す。
OpenAI、NVIDIAに続きAMDとも大規模提携 6GW規模のAIインフラ構築へ
OpenAIとAMDが、6GW規模のAIインフラ構築に関する包括契約を発表した。AMDはOpenAIの主要なコンピューティングパートナーとなり、複数世代のInstinct GPUを供給する。NVIDIAとも大規模提携を発表しており、OpenAIはAI開発に必要な計算資源を複線的に確保する。
AMD、AIの推論に適したデータセンター向け「Instinct MI325X」 2025年Q1デビュー
AMDは、LLMモデルのトレーニングや推論に適したデータセンター向け新型アクセラレータ「Instinct MI325X」を発表した。推論性能は、NVIDIAのH200と比較して最大1.4倍としている。

