Tablet PC第一世代中で最も人気だったHPマシンがPentium M&ワコムでさらに熟成レビュー(2/2 ページ)

» 2004年01月23日 23時44分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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キーボードを取り付けたノートPCスタイル
コンバーチブル型のように回転する

 このうちドッキングステーションの使い勝手はなかなか秀逸。画面を90度回転させ、縦型、横型の両方で使えるのはもちろんのこと、支柱になっている部分を手前に引き出すと画面が低く、わずかに斜めにセットされ、タブレットとして操作しやすくなる。

 専用キーボード取り付け時の重さは1.8キロと、持ち歩きも可能なレベルに収まっており、17ミリピッチのキーボードも見た目よりはずっと打ちやすい。たださすがにディスプレイ部とキーボード部の重量バランスが悪い。机の上で使う分には困ることはないが、膝の上でもキータイプするのは困難だ。ノートPCとしての使い勝手を重視するならば、素直にコンバーチブル型を選ぶ方がいいだろう。

付属する専用キーボード(写真は英語版キーボードですが、日本で発売されるのは日本語版キーボードとなります)

 またデスクトップPCやノートPCとして利用する場合には、その液晶パネルサイズが問題となるかもしれない。10.4インチXGAの液晶パネルは、Tablet PCとしては良いが、ノートPCやデスクトップPCとして日常的に使うには小さい。それらのことを踏まえた上で、同じPC本体を様々な場面で使うことを求めるかどうかが、本機の変幻自在に合体・変形するメカニズムを評価する上でのポイントである。

 ただしピュアタブレット型としての利用が主ならば、TC1100はとても使いやすい製品である。たとえば机の上に置いて手書きをする際、背面の小さなスタンドで本体を斜めにすることが可能。ちょっとした工夫だが、液晶パネルの視野角問題を緩和する上、書き込みもやりやすくなる。

 液晶パネル脇に配置されたタブレットで呼び出しが可能なショートカット、操作ボタンの配置、タブレットで簡単に様々な機能を使うためのQメニューユーティリティとその呼び出し専用ボタンなど、実利用する時のことをきちんと考えた設計だ。

地味だが“大きな”改善

 筐体デザインやスペック表などからはわからないところだが、TC1000に比べて大きく改善されたポイントがある。それはタブレット自身の改良だ。TC1000は感圧式デジタイザではなく、しかもスタイラス側のペン先がマイクロスイッチと連動するタイプのデジタイザだった。つまり位置の読み取りは電磁デジタイザ側で行うが、ペンに筆圧がかかっているかどうかは、ペン側の機械的なスイッチで検出する。このため、わずかではあるがスイッチのストロークがあり、ペン先がぐらつくような感覚があった。

 しかしTC1100には、他の多くのTablet PCが採用しているのと同じように、圧力を検出するタイプのセンサー(ワコム製)に切り替えられ、スイッチのストロークもゼロになった。その結果、書き味は劇的に改善されている。

 なお、液晶上のカバーに関しては材質などは変更されていない。滑らかな表面ながら、適度に滑りを抑制させているしっとりとした書き味。人によっては多少、滑りが良すぎると感じるかもしれないが、数時間も使っていればすぐに慣れてしまうだろう。ただし、カバーパネルの厚みが大きめなのが、同時期に発売されたDynabook SS M200と比べると、視差は大きめである。

液晶カバー下にあるボタン(写真液晶画面左)は、上より縦横表示切替ボタン、Windows Journal起動ボタン、Tablet PC入力パネル起動ボタン
ペンの形状は従来機種と変わらない

 本機はプロセッサの変更という大きな仕様変更を伴っている製品だが、完全なモデルチェンジではない。従来機のコンセプトをそのまま踏襲しながら、前モデルで不評だったパフォーマンス向上とタブレットの改良を行った熟成モデルである。

 もちろん、その表現は電子回路部分には当てはまらないが、HPはすでにノートPCでPentium Mの扱いに慣れている。“箱”、つまり筐体が変わらなければ新味がないというなら話は別だが、現時点での完成されたTablet PCを求めているならば、候補リストの上位に入る製品と言えよう。

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