第15回 多品種少ロットの時代に合った外注管理システムをファイルメーカーProで構築ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る(3/3 ページ)

» 2005年03月18日 00時00分 公開
[松尾公也,ITmedia]
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カスタムウェブ機能を使った顧客向け在庫管理

 ここまでは社内システムとして、加藤さんが担当して作っているのですが、外部の開発陣として、ジェネコムが参加しているシステム「DigiLogi Web」も稼働しています。このシステムは、デジクラフト社の顧客がウェブからログインし、自社案件の在庫を管理することができるというもの。これまでは電話で問い合わせする必要があったものが、顧客の好きなタイミングで、自社製品の在庫を確認し、発注をかけることができるのです。

 このシステムはファイルメーカーPro Unlimitedを使い、CDMLで組んだカスタムウェブを利用しています。顧客は電話をかけなくても、自分の商品管理、在庫管理、出荷依頼ができるようになります。確実なのはFAXという意見もありますが、使う人は必ずこれを使っています。実際の利用はこれからというところで、現状では2割が利用しているそうです。

 顧客向けシステムを含めた全体の構成は、次のようになっています。

ファイルメーカーProの魅力

 加藤さんは、デジクラフト社に参加する前は、GIS(地図情報システム)の構築を手がけた経験があり、ファイルメーカーProとよく比較されるデータベースソフトは以前使ったことがありましたが、ファイルメーカーProは未体験でした。それが、「あっという間に、データベースの構造が組めるのは驚きでした。同じことを以前使ったことのあるデータベースソフトでやろうとしたら、3倍くらいの時間はかかったんじゃないでしょうか。とにかく、作りながら稼働できちゃう。フィールドの追加やレイアウトの変更も、作りながらできるんです。知恵の輪を解くように、ちょっとしたアイデアですごく簡単に作れるんです」というほどに、気に入ってしまったそうです。

 「短期間で作ることができること。ある程度、ざっくり作ってしまえば稼働ができること。そして、見てもらいながら、動きだけでも確認できるというのがいいですね」と加藤さん。レイアウトを工夫するのは、その後でもいい。早い段階で作れるので、それをプレゼンして、要求があってもチャチャっと直せてしまう。こんなところが加藤さんのお気に入りの部分です。

開発ミーティングの効用

 デジクラフト社の開発への取り組みで特筆すべきところは、開発に関する社内ミーティングを毎週開催していることでしょう。宮田さん、加藤さん、出荷、物流、納品、請求、経理の各担当者を交え、改善のための提案を行っているのです。月に1回は、外部開発担当も交えたミーティングを持ちます。

 そのおかげで、不要な機能は削除したり、新たな機能を付け加えたりして、システムがシェイプアップされていきます。「個別に要求を受けて、その場しのぎで作る、ということがなくなりました」と、加藤さんは効用を語ります。

 現行システムの改善がスムーズに進んでいるので、さらなるメジャーな機能アップも視野に入っています。たとえば、iモードを使った在庫管理。客先でわざわざノートPCを取り出したり、電話で会社に問い合わせをしなくても、携帯電話で在庫の確認ができれば、即断即決でき、機会損失を最小に抑えることができます。

 このほかにも、行動管理、予定表、スケジュール管理といった機能を盛り込むことも検討中です。短期間にどんどん機能を獲得し、多品種少ロットの時代に合わせて業績を伸ばしている同社にとっての「武器」となっている社内ソリューションは、さらなる成長を続けることでしょう。

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