CRTディスプレイから液晶ディスプレイへの置き換えにあたり、スクウェア・エニックスは社内で品評会を開いた。
導入コスト要件を満たす20インチ以上の液晶ディスプレイを集め、DVIデジタル分配器を使ってすべて同じ画面にしたうえで、一人一人のクリエイターが画質をチェック。その結果、WUXGA(1920×1200ドット)対応モデルの中では、ナナオの24.1インチワイド液晶ディスプレイ「FlexScan S2410W」(以下、S2410W)が一番の支持を集めた。清水氏はS2410Wに対する社内的な総合評価を、「全員が納得できるレベルの液晶ディスプレイがやっと出てきた」とまとめてくれた。
具体的には、画質(階調表現能力と動画性能)と色調整機能、コストのバランス、WUXGAの広い作業領域といった点が評価されている。ただし画質面については、より高いレベルを求める声や不満点も挙げられた。これらは後編で詳しく紹介しよう。
(なお、品評にかけられた液晶ディスプレイには、アスペクト比4:3のモデルも含まれている。4:3の標準ディスプレイ環境としては、S2410Wとは異なる選択がなされた)
清水氏は、ナナオ製品への信頼感も大きな決め手になったと話す。同社は10年以上前からナナオのCRTディスプレイをメインに使っているが、初期不良や画質のバラつきが少なく、ブラウン管や液晶パネル固有の問題を除けば、長期間のヘビーユースでも故障がほとんどなかったという。
同社が開発用のディスプレイを導入するのは、新しいゲームの開発がスタートするタイミングが多い(PCに比べると耐用期間が長いため、1タイトルごとにリプレースしているわけではない)。数十台から数百台を一括導入するため、初期不良の少なさと画質の均一性は大切なことなのである。
「開発プロジェクトの最中に壊れると、交換の手間や使えない時間のダメージが大きいです。ディスプレイは長く使うものですから、信頼できるものを選んでいます」(清水氏)
故障については次のように語る。
「年中無休で使っていると、安価な製品は電源が数年で壊れてしまうことがよくあるのですが、ナナオの製品の場合は、ブラウン管や液晶パネル固有の問題や経年劣化などを除けば、電源や映像回路などがダメになることはほとんどありませんでした。同じブラウン管や液晶パネルを採用した製品から選定する場合、特に昨今は、安い海外製品は電源回路などアナログまわりの出来や耐久性に疑問があることがあります。この点は重要なチェックポイントにしています」(清水氏)
製品に対する信頼感だけでなく、人や会社に対する安心感も決め手になったという。
「ナナオの営業パーソンとかなり踏み込んだ技術的な話ができたことや、ユーザーサポートが良かったこともあります。例えば、海外のOEM製品を扱うベンダーや外資系メーカーの場合は、修理に出すとほとんどが新品交換になったりして、どこがどう壊れたといった報告が来ない。こちらから要求すれば対応してくれますが、何カ月も経って忘れた頃に報告が来ても困りますよね。工場や開発拠点が海外にあるので、しかたない面もあるのですが。でもナナオの場合は国内自社生産ということもあって、いろいろな面でレスポンスよくやりとりできることも安心感につながっています」(清水氏)
後編では、S2410Wに対する感想やさらなる要望を中心に、現在のゲーム開発環境が抱える苦悩などにも触れてみたい。
社 名:株式会社スクウェア・エニックス
本 社:東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル
資本金:74億3300万円(2005年3月31日現在)
売上高:738億円(連結、2005年3月期)
事業別売上構成:ゲーム事業419億円/オンラインゲーム事業138億円/モバイル・コンテンツ事業45億円/出版事業108億円/その他事業26億円(連結、2005年3月期)
従業員数:1662人(連結、2005年3月31日現在)
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日