CPU温度アラート+ファンコン機能付きの外付け水冷キット――サーマルテイク「AquariusIII A1681」:今夏水冷一本勝負 其の一(2/2 ページ)
今夏のPC用水冷システムは「プラスα」機能の搭載が流行となっている。そんな個性派モデルをピックアップし、冷却性や静音性など多角的に比較していく「今夏水冷一本勝負」。第1回は、サーマルテイク「AquariusIII A1681」だ。
冷却効果も実感。ファン回転数の調整で静音性も保たれる
では、実際に動作させてみよう。
本体フロントパネルには水温とCPU温度表示モニタが搭載され、温度を逐一チェックできる。このモニタLEDは、正常時は青色、温度が高くなると紫色に変わり、警告音を発するといった、アラート機能も搭載される。そして、右下のつまみでファンの回転数の調整が可能となっている。
では、どのくらいの効果があるのだろうか。
テストは、Pentium 4 540搭載の「マシンA」と、Pentium 4/2.40B GHz搭載の「マシンB」の2台にて、OS起動から5分後と、Super π3355万桁の計算を完了した時点での温度をサーモグラフィ、NEC三栄「サーモトレーサ TH5104」を用いて、同時にデジタル騒音計、扶桑理化製品「SD-2200」にて騒音レベルを測定した。
なお、ファン回転数は3500rpmで固定、左がAquariusIIIを装着した状態、右が通常のリテールCPUクーラーを使った環境である。テスト環境は以下の通り。
マシン | マシンA: クレバリーショップブランドPC特別モデル「RODEO」 | マシンB: Pentium 4/2.40B GHz搭載自作PC |
CPU | Pentium 4 550(3.40GHz) | Pentium 4/2.40B GHz |
メモリ | PC4300 512Mバイト | PC2100 512Mバイト |
HDD | 160Gバイト | 160Gバイト |
マザーボード | Intel「Desktop Board D915GEV」(Intel 915G搭載) | AOpen「MX4GER(Intel 845GE搭載)」 |
グラフィックスカード | Albatron「ALB-PC5900P」(GeForce PCX5900XT搭載) | PowerColor「VD1216」(RADEON7000搭載) |
電源ユニット | 定格350ワット静音 | 定格350ワット |
ケース | ミドルタワー | |
OS | Windows XP Home Edition SP1a | |
温度測定 | NEC三栄「サーモトレーサ TH5104」 | |
騒音レベル測定 | 扶桑理化製品「SD-2200」により、PC真正面から30センチ、高さ25センチの位置で測定 |
マシンA:起動から5分後
マシンB:起動から5分後
マシンA:「Superπ」3355万桁計算直後
AquariusIII搭載時(左)、リテールCPUクーラー搭載時(右)
・騒音レベル:60.3デシベル(左)、53.1デシベル(右)
とくに温度が高い部分(赤・黄色)の面積や電源ユニット、そしてPCケース内部全体に差が見られた。AquariusIII搭載時には、高い温度の空気がPC内部にたまっていないことが分かる
マシンB:「Superπ」3355万桁計算直後
AquariusIII搭載時(左)、リテールCPUクーラー搭載時(右)
・騒音レベル:58.2デシベル(左)、52.5デシベル(右)
マシンAと比べてさほど発熱量が多くないマシンBの場合は、なぜかCPU周りの温度が高い結果となった。ただし、PCケースの上面、HDDブラケット部などケース内部の温度などには熱が伝達されておらず、効率的に熱を外部に排出できていると予想される
CPUに負荷をかけたSuperπの計算直後では、CPU周りの熱が50度を超える状態になっているが、CPUの熱は、チューブ部分の温度を見ても分かるように、水路を通して熱が伝導・廃熱されている。
マシンAの場合、3500rpm時では冷却効果もかなり実感できるが、ややファンの回転音が耳に付く。ただし最低の2000rpm動作時には、CPUに負荷がかかった時点でCPUの熱が限度値付近まで跳ね上がり、警告音が発生するようになってしまった。
ちなみに2000rpmで動作するときには、マシンAで51.3デシベル、マシンBで50.1デシベルと、騒音レベルはかなり落ち、ファン音もほとんど気にならないほどとなった。内部の温度状況から、マシンB程度のスペックであれば、最低回転数時でも大丈夫そうだ。
以上から、AquariusIIIは静音性を求めるなら、まずは最低回転数で動作させ、CPUには危険な温度となった場合の警告音が聞こえたら、回転数を上昇させるといったこまめな使い方もできる。本体は外付けという利点を活かし、うるさい場合は離したり、こまめに調整するなら手元にといった、利用状況に合わせた使い方をする場合にはとくに、その冷却効果とともに操作性のよい製品なのではないだろうか。
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