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第5回 温度制御ができるファンコントローラーを作ってみよう自作PCユーザーのための夏休み工作教室(1/3 ページ)

ついに夏休みも終わり。9月になれば少しは涼しくなってファンコンも意味があるかな?と思ったが、結局気温は元通り。暑い暑いといいつつも、第4回で予告したようにファンコンの続きを作ろう。今回は回路もやや複雑になり、ハンダ付け箇所も多い。チェックは十分にしよう。

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「PWM」による回転制御

 ファンの回転を制御するのに前回は電圧を変化させる方法を使用したが、これはファンの定格を外した使い方だ。モーターのトルクが落ちるので、低回転ではファンが止まる可能性もある。さらに余計な電圧をICで吸収させているため発熱があり、あまり省電力ではない。そこで登場するのが「PWM」(Pulse Width Modulation)だ。

 大昔の電車はモーターの速度をコントロールするのにでっかい(≒大電力に耐えられる)抵抗を使っていたという。つまり、前回説明したようにモーターと抵抗を直列に接続してパワーをコントロールしていたのだ。この場合はパワーの切り替える数に限度があり、もちろん抵抗が余計な電力を消費する。

 これに対して、最近使われているのが「サイリスタチョッパ制御」やさらに発展させた「VVVF」だが……話が脱線するので詳しくは電車系のWebページを検索してもらうとして、回転制御を直流モーターでも行う方法のひとつがPWMだ。

 早い話が、モーターの手前にスイッチをつけたもの、と思ってほしい。スイッチを入れればモーターは回り、切れば惰性でしばらく回っているが、そのうち止まる。で、止まる前にもう一度スイッチを入れたらまた回転速度を上げる。このスイッチ動作を高速で繰り返し、スイッチを入れる比率を変えれば速度も変わるわけだ。これが大ざっぱなPWMの説明だ。

 スイッチを入り切りする時間をものすごく速くすれば、出力される電圧はガクガクした部分がなくなるが、モーターに対してはここまで速くするのは問題があり、手でスイッチを高速で「パチパチパチパチ」とやるぐらいの速度でよいという。

 一方、スイッチをオンにする時間とオフにしているタイミングの比は「デューティー比」と呼ばれており、デューティー比0%ならモーターは回らず、100%なら定格どおり回る。で、50%にすれば回転数が50%……とは行かないまでも中間の速度で回るだろう。この辺は市販のファンコンも同じだ。

 スイッチに相当する素子は色々あるが、今回は「FET」(Field Effect Trnsistor:電界効果トランジスター)というものを使う。FETにも色々あるが、今回使う「NチャネルMOS FET」を簡単に説明すると、ゲートという端子に正電圧をかけるとドレインからソースに電流が流れるというものだ。今回は手持ちがあったのと、オン抵抗が低い(公称14mΩ)ということで「2SK2886」(千石電商で170円)を使った。


FET「2SK2886」

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***


図1■NE555による無安定マルチバイブレーター回路

 コンデンサの精度が高ければ十分安定した発振となり、そのためにはフィルムーコンデンサーを使うというのが電子回路の初歩だが、今回は精度を要求しないので小型で安い積層セラミックコンデンサを使う。

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汎用オペアンプ「LM358」

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図2■Cの出力電圧

 あと、分かりやすいようにインジケーターもつけておこう、FETのソースとGNDの間にLED(と電流制限抵抗)をつけておけば動作確認が容易になる。ここまでの回路を一応載せておく。


回路図その1

警告温度感知型で作ろう

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