第5回 夜景と感度とシャッタースピードの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(3/3 ページ)
夜景はキレイである。真っ暗な中に小さな灯りが無数に模様を描くのだ。そんな文明的なキレイさがある。今回はそんな夜景をどうやったらきれいに撮れるかという話だ。
クルマのテールランプをきれいに撮ろう
夜景といえば思い浮かぶのが、超スローシャッターでクルマのテールランプやヘッドランプが一筋の光となって道路の上を川のように流れている写真。ああいうのも撮れたら撮ってみたいと思うもの。それに挑戦してみよう。
そのポイントは、とにかくスローシャッター。きれいに撮ろうと思ったら、シャッタースピード10秒くらいがいいが、こればっかりはカメラにそういう機能がないとダメ。普通に夜景モードで撮るとこうなる。
見て分かるとおり、光の筋が短すぎて思った通りの効果が得られてない。単なる夜の高速道路である。それは寂しい。
そこで夜景モードをやめて、マニュアル露出を使う。マニュアル露出機能がない機種の場合はちょっと難しいが、IXY DIGITALのように長秒時撮影機能があるなら、より暗くする「NDフィルタ」というものを使って、カメラに入る光の量を減らしてやると、その分シャッタースピードを長くできる。シャッタースピードを遅くするだけだと明るく写りすぎて意味がないので、希望する雰囲気の明るさとシャッタースピードの兼ね合いを探りつつ撮ろう。
ここではマニュアル露出+先ほど出てきたPLフィルタの組み合わせて撮ってみた。NDフィルタが手元になかったのでPLフィルタを使ったが、本当はNDフィルタがあるといい。
そしてF5.6で13秒という超スローシャッターを使って撮ったらここまできれいに光の帯が撮れた。このとき、カメラに「ノイズリダクション」機能があればオンにしておくこと(最近はスローシャッター時に自動的にオンになる機種が多い)。スローシャッター時に発生する独特のノイズを減らすことができる。
でもトンネル内やその上あたりがやや緑がかってて気になる。そこでホワイトバランスを蛍光灯にセットして撮り直し。
それでやっと流れるような光の帯を捉えることができた。交通量が思ったより少なかったので完璧とはいえないが、これだけ撮れれば夜の高速道路って感じが出てくれる。よしよし。
コンパクトデジカメでも機種によっては、さらに上手く設定してやればこのくらいの写真は撮れるのである。
気楽に夜景を撮るために
ではまとめてみよう。今回は三脚をわざわざ用意して、こういう夜景を撮ろうと狙って撮りにいったわけだが、普通の人はそこまでしないはず。ただふと眼下を見下ろしたり、遠くを見上げたら、きれいな夜景が広がっていて、あ、せっかくだから撮っておこうってノリのときも多いと思う。
そのときは手近にカメラを固定できる場所を探してそこに置き(そのとき持ってるものを台にしてもいい)、セルフタイマーで撮るのが賢明。
カメラに夜景モードがあればそれで撮るといい。撮ってみて明るすぎると思ったら露出補正をかける、ホワイトバランスを蛍光灯モードにしてみる、など設定を変えて何枚か撮っておくべし。
ガラス越しだとガラス面の反射がある。これを避けるために、カメラの回りやレンズの回りを何かで覆ってやるといい。こういったことに気をつけるだけで出来上がりは随分違うはずだ。
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