第10回 サッカーと望遠とレリーズタイムラグの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)
スポーツの秋、といっても秋に限ったことではないのだが、子供がサッカーや野球をしているのなら、撮影して残したいと思うのは親心というもの。ただし、激しく動く競技の場合はなかなかうまく撮れないものだ。今回は動きの速い被写体をどうとらえるか、を考えてみよう。
タイミングとピントが大事
ではできるだけ望遠のデジカメを用意して、撮ってみよう。
まずはシャッターを押すタイミングだ。一番大事なのは「カメラがシャッターを切る瞬間にカッコいいポーズである」こと。それには3つの敵がいる。ひとつは「撮る人間の遅さ」だ。
何しろ人間の動作というのは遅いもの。ボールを蹴る瞬間を目で見て脳に指令がいって脳から右手人差し指に「シャッターを押せ」って指令がいって実際に押されるまでに一瞬の間があるのだ。反射神経のいい人は一瞬速く、「わたしはいつも鈍いの」という人はさらに早めにシャッターを押そう。
2番目に「オートフォーカスにかかる時間」がある。現在もっとも高速を標榜するDiMAGE Z3で約0.2秒。一般的なデジカメでは1秒くらいかかる。これはもう致命的で、1秒も待っててくれるスポーツはあり得ない。
それを防ぐには「置きピン」と呼ばれる技を使うべし。あらかじめこの辺かなという場所であらかじめピントを合わせておくのだ。シャッターボタンを半分だけ押すとそこでAFが働いてピントが合う。そのまま「半押し」の状態を保つとカメラはそこで動作を止めていてくれるのだ。あとはタイミングを見つけて「ボタンを押し切る」だけでいい。そうすれば、一番時間がかかる「オートフォーカスにかかる時間」を省略できるからだ。
これをやらない場合は、「とにかく撮りたい被写体を構図の中心に置く」こと。カメラはまず中央付近にあるものにピントを合わせようとするからだ。失敗するとこういう写真になる。
とかく多いのが背景にピントが合ってしまうという現象。これは本当に多いので注意したい。できるだけ前目にピントを合わせるのがいい。
コツとしては構図の中心をできるだけ低い位置にして(例えばボールを追う)ピントを合わせ、ピントが合ったらカメラを上に向けて全身が入るようにして撮る、というのがいい。最初から人にピントを合わせようとすると、同時に背景にも合いやすくなってしまうからだ。カメラを下方向に向けていると背景が構図に入ってこないのでピントを合わせやすい。でもそのままボールを画面の中心に置いてシャッターを切っちゃうと、画面の下半分が地面で肝心の選手は胸から上が写ってなかった、という失敗をしやすいので注意しよう。
最後の敵は「デジカメのタイムラグ」だ。シャッターを押してから実際に写るまでの「間」である。これはカメラによって違うので、何枚か撮ってみて「自分のカメラはどのくらいの速さか」を知っておくのが大事。速いモノでは0.01秒、遅いモノでは0.1秒くらいある。例えばDiMAGE Z3はあまり速い方ではない。
例えばこれでもボールを蹴る前にシャッターを切ったのだ。
でも遅くて蹴り終わったあとの写真になってしまった。残念。サッカーでカッコいいのは「まさにボールを蹴らんとする瞬間」なのだ。そこでかなり早めにシャッターを切ってみた。
ボールを蹴ろうと足を振り上げた瞬間。目はしっかり足元のボールを見ているし、蹴り足の膝もしっかり曲がっていて後ろに引かれているし、軸足の膝も少し曲がっていてバランスを取っているしでよいフォームである。
こういう写真はカメラを縦位置にして、全身がちゃんと入るようにし、ボールが飛んでいこうとする方向を開けて撮るときれいに撮れる。この場合はボールは左から右へ飛んでいくから、身体が構図の真ん中より左にある方がカッコいいわけだ。
いろんな撮り方に挑戦しよう
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