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日本市場に合ったWindowsプラットフォームを〜MS古川氏が改善を明言〜2005 International CES(1/3 ページ)

デジタル家電やホームネットワークへの取り組みを着実に進めるマイクロソフト。しかし、日本ではコアとなる「Media Center Edition」があまり使われず、Windows体験レベルの日米格差は広がるばかり。同社、古川享CTOに今後の取り組みを聞いた。

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 「2005 International CES」開幕前日に行われた、マイクロソフト、ビル・ゲイツCSAの基調講演は、その内容よりも日米の市場の違いについて大いに考えさせられた(関連記事)

 マイクロソフトのWindows戦略はこれまで、ゲイツ氏の頭の中にあるビジョンをリアライズさせることで魅力を高めていく、比較的シンプルな戦略を採っていたように思う。特にコンシューマーに対して魅力的な機能をPCに実装する、という点においては、現在でもその基本プロセスは変わっていない。

 しかし、Windowsはニーズの多様化と共に複数のバージョンへと分離し、家電とPCとの融合に関しては「Windows XP Media Center Edition」(MCE)を中心に機能が実装されるようになっている。ところが日本ではMCEがほとんど使われていない。

 マイクロソフトのデジタル家電、ホームネットワーク、ネットワークサービスへの取り組みは、一足飛びではなくとも着実に前進しているものの、その本質を体験する手段が日本では皆無といっていい。単に日本語版MCEをインストールすれば、そのすべてを体験できるわけではなく、その周辺サービスを含めて整備する必要がある。インストールベースの大きな違いが、トータルの体験レベルにも影響を与えているわけだ。

 では、Windows体験レベルの日米格差(ここでは日米Windowsディバイドと表現したい)は、今後どのように変化していくのか。マイクロソフトの古川享CTOに話を聞いた。

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マイクロソフトの古川享CTO

MSは日本市場を知らなさすぎた

――日米のコンシューマー市場において、体験レベルの差があまりにも開きすぎている。この点についてどのように考えているのでしょう。

 「それを話す前に、基本的なスタンスの部分について話させてください。マイクロソフトのビジネスは、日本だけではなくワールドワイドでPCベンダーの作る製品が売れるように手伝いをすることです。ワールドワイドで見れば、ソニーや東芝もMCE搭載機を発売し、それは成功しています。

 しかし、日本のデスクトップPCの78%がテレビパソコンという状況の中で、MCEがどれだけのシェアを持っているか? といえば、非常に限られた数字です。実際、日本市場のニーズにマッチした製品ではありませんでしたから、これはなんとかしなければなりません」。

――日本市場にマッチしなかった原因は何でしょう?

 「自分たちのアイディアを実装すれば、誰にとっても良い製品になる。自分たちでできると考えていたからです。その上、あまりに日本市場を知らなかった。MCE 2005ではアナログチューナーを2個サポートするといった点を売り物にしているが、日本のユーザーから見れば当たり前のものです。

 また、外部デジタルチューナーとの連動ができないとか、B-CASカードやデータ放送のレンダリングにも対応できないとか、さまざまなところで日本市場と合わない部分が出てきている(注:MCE 2005は、米国のデジタル放送規格であるATSCに対応済み)。これらの問題に対して、きちんと取り組まなければ良い製品にはなりません。

 そうしたことに関連して、もっと日本の家電市場から学ぶことは多いと判断し、ビルゲイツが大号令をかけて改善に取り組んでいるところです」。

――具体的にどのような取り組みを行っているのでしょう。

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