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“写真を評価する”ためのプリンタ──諏訪光二が語るPIXUS iP9910の実力キヤノン「PIXUS iP9910」のすべて(2/2 ページ)

究極の写真画質を追求したキヤノンのA3ノビ対応インクジェットプリンタ「PIXUS iP9910」。新しい8色インクの採用やキヤノンのデジタル一眼レフカメラとの連携強化などにより、フラッグシップと呼ぶにふさわしい画質と機能を獲得している。しかし、実際のところプロカメラマンは、PIXUS iP9910の性能をどのように捉えているのであろうか? 真の性能を探るべく、写真家の諏訪光二氏に率直な感想を尋ねてみた。

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自分の写真を突き詰めていくには大判プリントがベスト

ITmedia キヤノンのデジタル一眼レフカメラ対応のRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」(以下、DPP)と、PIXUS同梱の簡単印刷ソフト「Easy-PhotoPrint」(以下、EPP)によるRAWデータのダイレクトプリント機能は、プロの目にはどう映りましたか?

諏訪 DPPとEPPを組み合わせると、TIFFやJPEGといったデータに変換することなく、RAWデータをダイレクトにプリントすることが可能になります。操作も簡単ですので、RAWデータで撮影しているユーザーにとっては見逃せません。

 しかも、途中にほかのアプリケーションソフトを介在させず、RAWデータをDPPからEPPに直接手渡せるため、煩雑なカラーマネジメントの設定を行う必要もありません。だから、これまでカラーマネジメントの設定が面倒だったAdobeRGBの画像でも、簡単な設定を行うだけで、カメラが捉えた広い色空間を忠実にプリントすることができます。

入力から出力まで同じ色域のまま忠実に再現できる、100%実用的なシステムと言えるでしょう。同一メーカーが入力(デジタル一眼レフ)と出力(プリンタ)の両方のデバイスを作る強みが出ていますね。


キヤノン製のデジタル一眼レフカメラに付属するRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」。PIXUS iP9910に付属する簡単印刷ソフト「Easy-PhotoPrint」と組み合わせれば、RAWデータをJPEGやTIFFに変換することなくダイレクトにプリントできる。
「色調整」のプルダウンメニューから「忠実設定」を選べば、実際の被写体に忠実な色再現が行われるので、とりあえず色の調子を見たい場合にはこれを選ぶとよい。もちろんRAW現像ソフトとしての機能も充実しているので、露出補正やホワイトバランスなどを、プレビュー画面を見ながら細かく設定していくことも可能だ


DPPで調整したRAWデータを、ほかのファイル形式に変換せずダイレクトにEPPに送る。ほかのソフトが間に介在しないため、AdobeRGBで撮影した画像データも、面倒なカラーマネージメント設定を行なうことなく簡単に扱うことができる。カメラが捉えた広い色空間を、忠実かつ手軽にプリントできるというメリットは大きい。
なおEPPでは、フチありやフチなしの選択のほか、インデックスプリントも行えるなど、さまざまなレイアウト印刷が可能だ

ITmedia 話は少し変わりますが、現在インクジェットプリンタは、染料インクを使ったものと顔料インクを使ったものの2タイプが主流です。一般のユーザーに対して、諏訪さんはどちらのタイプのプリンタをお勧めしますか?

諏訪 顔料と染料にそれぞれ長所・短所があるのが現状ですね。巷でもよく言われていますが、やはり顔料インクは保存性に勝り、逆に染料インクは発色の点で有利です。とは言うものの、観賞用の写真をプリントしようと考えているなら、染料インクのプリンタで出力しても良いのではないでしょうか。プリントした写真を額縁などに入れて保存しておけば、染料インクでもほとんど色褪せることがないからです。特にiP9910で新たに採用された新型インク*2であれば、かなりの長期間にわたって鑑賞し続けることができます。

 ただ、これは染料インク、顔料インクともに言えることなのですが、プリント直後に額縁に入れたり、紙を何枚も重ねて放置したりすると、インクの定着が悪くなるので気をつけてください。プリント後は湿度の低い部屋で1日ほど紙を乾燥させ、インクがしっかりと定着させる必要があります。

*2 PIXUS iP9910が採用する新型インク(「BCI-7」シリーズ)と5種類の純正写真用紙(プロフェッショナルフォトペーパー/スーパーフォトペーパー/スーパーフォトペーパー・シルキー/エコノミーフォトペーパー/キヤノン光沢紙)を組み合わせることによって、アルバム保存100年、さらにプロフェッショナルフォトペーパーにおいては、フォトフレーム保存30年、室内保存10年を可能とする(各耐久年数はキヤノン測定条件によるもので、実際の保存・展示状況によっては異なる場合があります)

ITmedia 現状では、インクジェットプリンタはA4が主流ですが、いわゆる大判プリントの魅力とは何ですか?

諏訪 当然ながら、写真を大きくプリントできるという点ですね。大きくプリントできれば、それだけ写真に迫力が出て楽しさが増します。また、写真を大きく引き伸ばすと、その写真のアラも大きく見えてきますから、写真を学ぶのにも適していると思います。A3ノビで大きくプリントして、自分の写真を突き詰めていく。そのような試行錯誤ができるという点で、A3プリンタはアマチュアのカメラマンにとっても十分に役立つツールと言えるでしょう。

 A3ノビで質の高いプリントをするには、できれば800万画素以上の画像データがほしいところですが、600万画素クラスのデジタル一眼レフでも十分な解像力が得られます。デジタル一眼レフを使っているのならば、ぜひiP9910を使ってA3ノビプリントの楽しさを知ってほしいですね。

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諏訪光二 Kohji Suwa

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1968年、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科を中退後、フリーの写真家に。各種雑誌での作品発表、写真教室講師などを行う。主に自然写真をモチーフとし、銀塩・デジタル双方の作品を発表。作品展、著書多数。また、作家のオリジナルプリントを販売する「写流プロジェクト」を設立。

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諏訪光二オフィシャルサイト「Kohji Suwa PhotoART Gallery」

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