HPのA3ノビ対応インクジェットプリンタ、その実力は?(2/3 ページ)
日本ヒューレット・パッカードから、A3ノビまでのフチなし印刷に対応したインクジェットプリンタ「HP Photosmart 8753」が登場した。最大9色のインクで良好なカラーバランスと正確な中間グレーが得られる点が特徴だ。実勢価格が4万円前後と、A3ノビ対応のライバル機より2万円以上も安いところも大きな魅力である。
色調が整っていて安定した高画質
画質評価に用いたインクカートリッジの組み合わせは、フォトブルー、フォト、フォトグレーの9色印刷だ。日本HPのA4機(複合機含む)は、コントラストとシャープネスが高めの硬質な画質と、自然な色合いながらも彩度の高い色をより鮮やかに表現する傾向がある。しかし、Ps8753はA4機より柔らかい雰囲気だ。若干のコントラスト強調はあるが、中間調が少し明るめになるようで、すっきりした印象を持った。
以上は、sRGBの画像をドライバのデフォルトで出力した場合の印象だ。これとは別に、専用フォト用紙やインクカートリッジの組み合わせに応じたICCプロファイルも組み込まれ、アプリケーション管理のカラーマネジメントが行える。Photshop CSを使い、sRGB画像をICCプロファイル適用で出力すると、コントラストが元画像とほぼ同じになり、暖色系の色がより忠実になった。
続いてAdobeRGB色空間の画像だが、ドライバのAdobeRGBモードで出力する方法と、ICCプロファイル適用(アプリケーション管理のカラーマネジメント)で出力する方法がある。前者は、コントラストと彩度が強調され、sRGB画像のドライバデフォルト出力と同じように中間調もやや明るい傾向だ。Photoshop CSでICCプロファイルを適用して出力すると、高彩度の部分で階調性がよくなり、元画像になかなか近い発色となる(ディスプレイをしっかり調整しておくことが大切)。
全体的に見て、グレーインクによるグレーバランスが適切に機能しているようだ。多くのインクジェットプリンタは、色相や明度、彩度の特定領域で色がズレやすいのだが、今回試用した限り、目立つほどの色ズレは確認できなかった。ただし、「青」に関しては、少し派手になる傾向が見られる。新しく採用したフォトブルーインクと、ドライバのチューニング具合によるものではないだろうか。
また、グレーインクによる高品質なモノクロ印刷も、Ps8753ならではの大きな利点だ。グレーインクを持たないプリンタだと、モノクロ印刷とはいいつつも、ほぼ確実にシアンやマゼンタに色かぶりする。Ps8753にはそれがなく、本当に正しい「グレースケール」で印刷できるのだ。モノクロ写真と印刷を楽しむ人にとっては、非常に大きなポイントだろう。
●sRGB画像「花とミニカー」
●sRGB画像「青空と花畑」
●AdobeRGB画像「花とミニカー」
●AdobeRGB画像「青空と花畑」
印刷は遅いが画質と使い勝手は優秀
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