2005年の「中華IT」を振り返る:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)
「レノボによる新生ThinkPad」のインパクトが強烈だった今年の中国IT業界。ほかにも中国IT業界の国際化が目立つ1年であった。日本のメディアでは紹介されていない出来事を拾いながら2005年を振り返る。
各メーカーの明暗がはっきりしてきたケータイ&MP3プレーヤー市場
ケータイ関連で今年気になるのが中国3Gの動向だ。中国国内外のメディアで「3Gサービスがスタートする」と今年はじめからいわれ続けていたが、結局スタートすることなく2005年は終わりそうだ。先ほど紹介した「台湾BenQ、シーメンスの携帯部門買収」や「中国政府当局が携帯電話契約時の実名登録義務付けを指示」も注目されたニュースだ
ケータイ市場では、海外メーカーが中国国内のシェアを奪い、中国メーカーの居場所がなくなりつつある。中国メーカー淘汰は「時間の問題」とまでいわれるようになった。中国のメーカーは、MP3の再生機能を真っ先に搭載するなど中国ユーザーの志向にあった機能をアピールしたが、ソニーエリクソンのウォークマンケータイを筆頭に海外メーカーもMP3再生機能搭載を実装すると、結局、ユーザーはそちらを選んでしまった。
MP3プレーヤー市場においても同様のことが起きている。広東省に拠点を持つ100社以上の中小MP3プレーヤーメーカーが、中国国内市場の激しい競争で次々に淘汰された。その結果、これら中小企業は次々とMP4プレーヤー市場にターゲットを移しつつある。
2006年の中国IT業界は?
これまでの中国国内市場では、低価格化を先行させた中国企業が一定のシェアを握っていた。しかし2005年のIT業界においては外国製品の低価格化による追い上げが激しく、「安かろう、悪かろう」の中小企業は存亡の危機に直面した。そんな状況において「中国製なのにちょっといい製品」も登場してきている。また、中国の大手企業はワールドワイドにマーケットを広げるため、外国企業を買収した。
経済成長率約10%の中国だけに、そのIT業界はますます国際市場に進出し、ITmediaに登場する機会も多くなるだろう。有名な外国大企業、ひょっとしたら日本企業を巻き込むサプライズが中国企業から報じられるかもしれない。
その一方で、ワールドワイド市場への進出にともない、「著作権意識」や「低価格低品質製品」など、悪い意味での「中国人的気質」を改善が求められるだろう。この問題が改善されない限り、中国企業にとって厳しい「2006年」が訪れることになるだろう。
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