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「Carriers at War」でYAMATOは沖縄の海に逝く勝手に連載!レトロ“PC”ゲームが好きじゃー(5/5 ページ)

信長でもない、大戦略でもない。己の本能のまま「海外ウォーゲーム」の話を続ける超私的連載。ついに「これをやるために私はPCを始めました」といってもいい伝説のタイトルが登場する。これぞ空母戦「PC」ウォーゲームといわれる所以はどこにあるのか?

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 Carriers at Warはキャンペーンモードを持たないので、次の海戦で「ヨークタウンが出てきて南雲はビックリ」という状況に陥らないのが残念であるが、その代わり、Carriers at Warは当時としては珍しい「自作シナリオツール」を用意していた。

 このツールは初代のApple版では標準実装されていて、「マリアナ海戦の連合艦隊に熟練パイロットが操る烈風と流星を満載した信濃と大鳳を登場させる」という紹介記事に心躍らせていた私は、DOS版では別売りになったことを“購入してから”知っておおいに落胆したのを今でもよく覚えている(後日、CONSTRUCTION KITとして登場した)。

 この自作シナリオツールのおかげで、世界中の海戦ゲーマーがCarriers at Warのためにシナリオを作成した。空母戦ゲームとして認識されるこのゲームだが、基地航空隊の運用や水上戦闘のサポートなどによって、総合的な海軍作戦全般を再現できる。

 そのため、空母戦が発生しなかった欧州海域におけるシナリオも多数発表されている。これらのユーザーシナリオを編集してアップデートされたプログラム本体と一緒に収録したパッケージが後日出荷され、最終的にそれらすべてを1つにまとめた「THE COMPLETE CARRIERS AT WAR」が登場している。


いま世間では「大和の映画」が上映されているが(えっ、ヒットしているんですって。ふーん)、そのクライマックスである1945年4月のシナリオも収録されている。どうやっても大和は炎上沈没してしまうわけで、そういう状況における司令部幕僚の無力感におもわず思いを馳せてしまう


総合的な海軍作戦を行えるCarriers at Warでは、空母戦が発生しなかった欧州海域の海戦も十分再現できる。ただ、収録されている仮想戦シナリオの「軍事考証」はあまり厳密なものでなく、「独海軍に譲渡された翔鶴級空母」といった設定も登場する。となると、このようにハーケンクロイツ「97式艦攻」を目にすることになる

 Carriers at War、そしてCARRIER STRIKEの登場によって「やるべきことはすべてやった」と思ったのか、以降、米国において空母戦を扱ったPCウォーゲームは登場していない。とはいえ、Carriers at WarもCARRIER STRIKEも万全ではない。例えばボードウォーゲームの「FLAT TOP」と比べて「艦隊編成が自由にできない」「潜水艦の運用ができない」という面が挙げられるかもしれない。

 しかし、PCを相手にしなければならないCarriers at Warでは、これらの実現はゲームバランスを取る上で難しいだろうし、これらの事象がないことはゲーマーの立場が「空母部隊指揮官」であるゲームにとってそれほど致命的な欠陥でない。

 空母戦ゲームとしてそれよりも重要なのは「空母がそこにいるかいないか」といった状況が再現できないことにある。このあたりの状況になると、必ず戦闘が起こることが前提となる作戦級のゲームでは無理で、より高いレベルで「戦争指導」が求められる「戦略級」ゲームでないと発生しない。

 ということで、次回は太平洋戦争の戦略級ウォーゲーム「Pacific War」を取り上げてみたい。


次号予告はPacific Warのパッケージ。こりゃまたかっこええパッケージデザインじゃのぅ
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