新しいGeForceはスリムだけどすごいんです──NVIDIAがGeForce 7900/7600を発表:GPU(1/4 ページ)
NVIDIAは3月9日にGeForce 7900 GTX/同GTとGeForce 7600 GTを発表した。G71の開発コード名で呼ばれてきたGeForce 7900シリーズは同社のフラッグシップとなるGPU。GeForce 6600 GT後継のGeForce 7600 GTはピクセルシェーダのパイプライン数が増えるなどの拡張がなされている。
GeForce 7800の微細化版、という位置づけになるGeForce 7900シリーズ
GeForce 7900シリーズの最大の特徴はプロセスルールにある。GeForce 7800シリーズでは、0.11マイクロメートルプロセスルールを採用していたが、GeForce 7900シリーズでは90ナノメートルプロセスルールに微細化された。内部構成がGeForce 7800シリーズとほぼ同一であるGeForce 7900はGeForce 7800のプロセスルールを微細化したバージョンである、ともいえる。
NVIDIAが公開したGeForce 7900のブロック図を見ると、バーテックスシェーダは8ユニット、ピクセルシェーダは24ユニット、ROPが16ユニットと、まさにGeForce 7800そのものだ。しかし、NVIDIAはGeForce 7900を単純に90ナノプロセスへ微細化しただけではない。GeForce 7800 GTXのトランジスタ数が3億200万個であったのに対して、GeForce 7900 GTXは2億7800万個と減っているのだ。
「我々はGeForce 7800のアーキテクチャを90ナノプロセスルールに落とし込む過程において単なる微細化を行っただけでない。回路設計を見直して必要のない部分を省いているのだ」(NVIDIA テクニカルマーケティング担当副社長 トニー・タマシ氏)と、回路設計を見直してクリティカルパスをつぶしていくなどの再設計を行うことによってトランジスタ数の削減に成功したとNVIDIAは説明する。
実際、タマシ氏が公開したGeForce 7900シリーズのダイサイズは196平方ミリでNVIDIAのハイエンドGPUとしては久々に200平方ミリを切るコンパクトな大きさに収まっている。
「GeForce 7900の最大の特徴はワット性能だ」と力説してしまうNVIDIA
「我々の推定によると競合他社が作ったハイエンドGPUのダイサイズは352平方ミリにも達している。これに比べてGeForce 7900はわずか196平方ミリだ。この差は電力効率という点に現れてくる」(タマシ氏)という言葉通り、ダイサイズが小さければ小さいほど消費電力も少なくなる。仮にGeForce 7900がこのダイサイズで、ATIのGPUと同等程度の性能を発揮しているのであれば、ワット性能(NVIDIAが提唱する指標でパフォーマンス/ワットで求められる1ワットあたりの性能)で大きく上回ることになる。
ATIがリングバスによる革新的なメモリコントローラや48個ものピクセルシェーダユニットを搭載した先進的なアーキテクチャを採用した結果としてRADEON X1900シリーズは352平方ミリという大きなダイサイズになっている。
NVIDIAもATIに対抗して同じような構成やスペックを盛り込まないのか、という質問にタマシ氏は「確かにリングバスによるメモリコントローラも、“新しい数えかた”をしているピクセルシェーダユニットも野心的で技術的に興味深い取り組みだ。しかし、性能向上はわずか数%しか望めない。それよりもワット性能を上げてクロックを引き上げるのがより現実的なアプローチだ。我々が行ったベンチマークでGeForce 7900 GTXは競合他社の製品をほとんどの場合で上回っている」と述べ、NVIDIAは性能を上げるという観点からもワット性能を重視したことを強調している。
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