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フォーとネットカフェで夜を明かすベトナムのPC事情山谷剛史の「アジアン・アイティー」(3/3 ページ)

最近のベトナムは「世界の工場」「世界の市場」になるべく急速に成長しつつある。大都市ハノイを中心に、ITやPCが普通の人々の生活にどこまで入り込んでいるのか「東南アジアの突撃ライター」山谷氏がリポートする。

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ハノイのアキバにいってみる

 ハノイにもPC関連ショップが並ぶ立派な電脳街がある。ハノイ駅から北に向かう線路の近くにリーナムデー通りと呼ばれる街がある。南北およそ1キロの道路沿いにPC関連ショップがひしめく。筆者が訪れたのが平日のお昼過ぎという事情もあったと思うが、いつでも人で一杯の秋葉原や日本橋とは違い、リーナムデーの電脳街は通りも店内も人がまばらで閑散としていた。


ハノイの電脳街「リーナムデー通り」は平日のお昼過ぎとあって閑散としていた

 多くのPCショップで販売しているのは、メーカー製デスクトップPCにノートPCと、プリンタ、それにマウスや記録メディアやキーボードといったサプライ品だ。PCパーツを単体で販売している店はほとんどない。このあたりからもパーツを追加してアップグレードするPCユーザーがベトナムにあまりいないことが伺える。PC関連書籍のラインアップもそうであったが、ベトナムではPCのハードウェアに対する関心があまり高くないようだ。

 電脳街で多く見かけたブランドは「FPT」という名のベトナム企業だ。FPTはベトナム随一のPCベンダーで、PC販売からアウトソーシングまでIT関連事業を幅広く行うベトナムの都会っ子には広く知られている総合IT企業だ。同社はオリジナルPCのほかIBM、HP、東芝、NECなど海外メーカーのPCも販売する商社でもある。


リーナムデー通りでよく見たFPTのPC。価格は510万ドン(約3万8000円)


リーナムデー通りでようやく見つけたPCパーツショップ。バイク屋じゃない

 「リーナムデー通りはハノイのアキバ」と言ったが、ここではPCだけしか売られていない。AV機器や白物電器を扱う店はまったく違うエリアにあるし、デジカメ販売店も同様に別のエリアに集中している。ただし、デジカメが売られているとはいっても販売店は少ない。ベトナムにおけるデジカメの普及はまだまだこれからという感じた。

 PCショップが集中するリーナムデー通りには海賊版PCゲームを扱っている店も多い。店内には客が座れる椅子と机があり、壁にはゲームのパッケージ写真がたくさん貼られている。机の上にはクリアファイルがあるが、そのファイルには沢山のゲームパッケージがはいっている。ここから選んだゲームタイトルのCDを買うという仕組みだ。ゲームの多くはいわゆる欧米で販売されている(日本のゲーマーからすると洋モノ)タイトルが多いが、日本のゲームも鬼武者などのアクションゲームが数タイトル販売されていた。


リーナムデー通りの海賊版ショップ

 首都ハノイや商都ホーチミンの中心には先ほど紹介した外国人旅行者が泊まるミニホテルが集まった「ミニホテル街」がある。その周辺にはCD・DVD屋、PCソフト屋などがあり、そこではベトナム人ではなく外国人が購入する。CD・DVD屋はハノイ中にあってその利用客の多くは地元のベトナム人だが、ホテルエリア周辺の店内で物色しているのは外国人がほとんどだ。こうしてみると、世界最悪(BSAの統計より)であるベトナムのコピー率は外国人もその一端を担っていることになる。世界の違法コピー率統計資料の裏にこういった事情があることを「最近はビジネスや観光で訪れる人が急激に増えてきている」われわれ日本人も頭に入れておいたほうがいいだろう。


ミニホテル街近くのCD屋。明らかに欧米人にみえる客でにぎわっている
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