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ウルトラハイエンドのFireGLで国内WS市場の挽回を狙うATI

ATI Technologiesは米国で行われた「Game Developers Conference 2006」(GDC 2006)で発表した「Fire GL V7300シリーズ」を日本の関係者に紹介。すでに発表されている2D専用グラフィックスカード「Fire MV」シリーズの説明も行われた。

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 Fire GLはATI Tecnologies(以下 ATI)のワークステーション向けグラフィックスカードのブランドである。現在、ハイエンドの「Fire GL V7100」にミドルレンジの「Fire GL V5100」「同V500」、そしてバリューレンジの「Fire GL V3100」というラインアップが用意されている。新たに登場したFire GL V7300シリーズはFire GL 7100の後継ではなく、さらにその上に位置する「ウルトラハイエンド」とATIが呼ぶレンジをカバーする。


FireGL V7350

 Fire GL V7300シリーズは上位モデルの「Fire GL V7350」と下位モデル「Fire GL V7300」の2モデルが投入される。Fire GL 7350のコア構成はコンシューマー向けGPUのRADEON X1800シリーズと同等で、90ナノメートルのプロセスルールを採用し、8ユニットのVertex Shaderユニット、16本のPixelShaderパイプライン、リングバスアーキテクチャなどが実装され、ShaderModel 3.0、高画質化機能「Avivo」に対応する。

 Fire GL 7350とFire GL 7300の違いは搭載できるビデオメモリの容量のみで、Fire GL 7350はGDDR3を1Gバイトまで実装できるのに対して、Fire GL 7300は512Mバイトにとどまる。

 ATIが示したデータによると、プロセッサとしての処理能力は3GHzで動作するPentium 4の7倍に達し、実際に業務で使われるアプリケーションを利用したコンテンツ作成ベンチマークや設計用CADベンチマークにおいて、NVIDIAのワークステーション向けグラフィックスカードを上回るパフォーマンスを発揮するという。

 先に述べたようにFire GL 7300シリーズにはAvivoが組み込まれている。コンシューマーユーザーには「デジタルコンテンツをきれいに見せるための機能」として知られているAvivoであるが、ワークステーション向けグラフィックスカードでもその高画質化機能は有効であるとATIは説明する。


ATIが示したQuadro FX 4500とFireGL V7300のパフォーマンス比較。ベンチマークはAlias(Autodesk)の「Maya」とUGSの「NX」を使っている


Avivoがサポートする「10ビットアナログ出力」機能が色深度の表現においてどれだけ有効であるかを示すグラフ。カラーバーの上に示された「人間が認識できる色の範囲」と比べて8ビット出力が対応できる色範囲は非常に狭いが、10ビット出力になると改善される。これは現在グラフィックスが重要視される医療分野において大きなメリットになるとATIは説明する

 Fire GLシリーズの日本における販売はアスクが担当する。同社代表取締役の武藤和彦氏はアスクにおけるFire GLシリーズの販売方針とその体制について説明を行った。

 現在アスクが扱っているワークステーション向けグラフィックスカードの日本国内における売り上げ構成比は「競合とATIの製品が10対1」(武藤氏)という状況にある。この現状を改善すべく、アスクはFire GLの認知度を向上させることに注力する。そのために、同社はFire GLのプロモーションに専従するスタッフを用意してATIの全面的なバックアップを受けながらアスクの販売網をフルに生かして営業をかけていくという。

 アスクから販売されるFire GL 7300シリーズはFire GL 7350搭載でGDDR3のビデオメモリを1Gバイト搭載する「ATIFGL735-1GER」が予想実売価格24万3250円で、Fire GL 7300搭載でGDDR3のビデオメモリを512Mバイト搭載する「ATIFGL7300-512ER」が予想実売価格19万5500円でそれぞれ登場する予定になっている。


会場には2月に発表されたマルチヘッドに特化した2D専用グラフィックスカード「FireMV」シリーズも展示されていた。ファンレス、ロープロファイルを特徴とするFireMVシリーズはPCI Express版とPCI版が用意されている。両方のバーションを組み合わせることで1台のシステムに複数のFireMVカードを組み込んで最大16個のDVI出力が可能になる

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