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軽く! 薄く! とんがったPC、作りました――富士通「FMV-LIFEBOOK Qシリーズ」開発者が語るインタビュー(1/2 ページ)

昨今、1スピンドルのピュアモバイルPCはあまり元気がないが、そのような風潮に真っ向から勝負する製品が現れた。この富士通のFMV-LIFEBOOK Qシリーズは、重量が約985グラム、ボディの厚みが18.2〜19.9ミリという軽くて薄いPCだ。しかし、小型・軽量ボディの見ためとは裏腹に、そこには開発者の熱い思いが込められていた。

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とにかく1キロ以下でフラットなスリムPCを作るのだ

インタビューに応えていただいた開発チームの面々

ITmedia FMV-LIFEBOOK Qシリーズ(FMV-Q8220)のポジショニングを教えてください。

――FMV-Q8220はモバイルのセグメント、とくに実際に持ち歩いて使用するピュアモバイラーと、PCを業務で必要とするエグゼクティブの両方を狙っています。

 FMV-Q8220は光学ドライブを持たない1スピンドル機なので、ビジネスモバイラーがユーザー層の中心になると思います。もちろん、コンシューマをないがしろにしているわけではありません。本機にはDVDスーパーマルチドライブを内蔵したポートリプリケーターをオプションで用意しています。会社や家ではポートリプリケーターに接続してキーボードやマウスを接続して使い、出先ではPCを取り外して持ち出すというスタイルが取れます。FMV-Q8220用のポートリプリケーターは薄くて軽量なため、いざとなれば一緒に持ち歩いても使える大きさにしています。今後はコンシューマもターゲットにしていきたいと考えていますが、まずはコーポレートのビジネスモバイラーを狙っていきたいと思います(パーソナルビジネス本部 モバイルPC事業部 第二技術部 遠山 賢治氏)。

ITmedia ずばり、コンセプトは?

――本機のコンセプトは、エグゼクティブユースとシンプル&スマートというものです。フルWindowsが動くことを前提に、重量や薄さをシュリンクさせるというアプローチを取っています。実際、本機では重量は1キロ以下、フラットな形状で20ミリ以下という目標を立てて開発をスタートしました。

 とにかく、薄くスマートにというのを目指したのです。スマートに持つためには、ボディの形状がフラットであるのが重要と考えたからです。これまでの軽量PCは突起が多く、でこぼこしているものが多かったため、わたしたちはフラットにこだわって作りました。もっとも小型な内蔵バッテリーパックでは、本体からバッテリーがはみ出さず、カバンにもすっきりと収まります。一口にモバイルといっても、Point to Pointで持ち歩くかたや出先でもきっちりと使いたいというかたもいるので、さまざまな利用シーンに対応できるよう作りました(遠山 賢治氏)。

FMV-LIFEBOOK Pシリーズの外観(上段)。側面から見ると、最厚部でも20ミリ以下のスリムボディが際だつ。モノコック構造を取ることで、見ためからは想像できないほど丈夫にできているとのことだ。下段の写真は別売のポートリプリケーターに装着したところ。PCの天面がフラットになっているほか、DVDスーパーマルチドライブを左側面に備えているのが分かる

ITmedia こだわりのポイントは何でしょう。

――天面に「骨」がないことです。いわゆるボンネット構造をとらずに強度を上げるのがポイントです。もちろん、強度面で妥協はできません。本機の場合は天面部分の全面加圧で200kgfに耐えられます。また、キーボードの刻印にもこだわっています。アルファベットや数字といった白い部分はレーザー刻印にしてはがれにくく、削れにくくなっています。ちなみに、カラー部分は従来のシルク印刷を使って目立たせています。

 一方で今回は薄型にこだわったため、メモリスロットはありません。オンボードメモリは512Mバイトと1024Mバイトの2種類から選択できます。Intel Core Solo U1400(1.20GHz)の超低電圧版CPUやIntel 945GMSチップセットの熱はボディ底面に散らしつつ、冷却ファンで排気しています(パーソナルビジネス本部 モバイルPC事業部 第二技術部 栗林 健氏)。

――HDDは1.8インチで、薄型・軽量ファンを左側面に内蔵しています。このファンはフレームにマグネシウム合金を使った特注品です。弊社ではモバイル機では熱源を直接ユーザーに伝えないというポリシーを持っています。本機のような――とりわけ軽量モバイル機ではマグネシウム合金を使ってボディで放熱させ、ファンをできるだけ回転させないとなると、どうしてもヒートスポットができてしまいます。ユーザーに不快な思いをしていただきたくないので、底面にシートをはっています。シートをはることで熱がこもりやすくなるという相反する要素も持っているのですが、そのバランスをとっています(パーソナルビジネス本部 PC事業部 PCデザイン技術部 プロジェクト課長 田中 亘氏)。

白色をレーザー刻印、カラー部分をシルク印刷で塗り分けたキーボード(左)。厚さ5ミリの冷却ファンは左側面に内蔵されている(右)。
増設用のメモリスロットを持たず、メインメモリはオンボード実装のみでの提供となる(左)。同社のFMV-BIBLO LOOX/同MGシリーズでもおなじみだが、底面には熱をユーザーに直接伝えないためにフェルト状の生地がはられている(右)
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