第7回 Windows Vistaの最新βをチェックする:元麻布春男のWatchTower「Windows Vista編」(2/2 ページ)
PCウオッチャーの元麻布春男氏が、さまざまな切り口で最新PC事情を分析する本連載。今回は“July CTP”とも呼ばれるビルド5472の最新Vistaを見ていく。
大きく進歩を遂げたWindows Update
さて、β2でとても気になったことの1つは、NVIDIAのグラフィックスチップで性能が出ず、Desktop Compositionを無効にするかと頻繁に聞かれることだった。が、このJuly CTPのディスプレイドライバでは問題は解消し、少なくともデスクトップの操作において、十分に実用的な性能が得られるものに改善されている。
また、β2ではキーボードドライバの扱いがちょっと変で、例えばインストール時のキーボード選択が、MS-IME、US、JPからの選択になっていた。要するにハードウェアとしてのキーボードレイアウトと、システムで扱う(キーボードから入力する)言語の選択がごちゃまぜになっていたのだが、この問題もJuly CTPでは改善されている。
気になるのは、このようなアップデートが古いビルドに適用されないことだ。上記のキーボードの問題はインストーラにもかかわる問題であり、過去のビルドに適用するのが困難なのかもしれないが、NVIDIAチップのグラフィックス性能の問題は、ドライバのアップデートで解消するものではないかと思われる。ならば、β2のシステムに対してWindows Updateによるドライバの配布を行うべきではないだろうか。
言うまでもなくβ2は、カスタマープレビュープログラムをはじめ、広範な配布を行ったビルドである。それに対してJuly CTPは配布先が限られている。言い換えれば今もβ2を利用しているユーザーは多いはずであり、更新されたドライバを配布する意味はあるはずだ。だが、β2に対してはWindows Defenderの定義ファイルアップデートをはじめとする、セキュリティ関連のアップデート(重要なアップデート)は行われるものの、それ以外のアップデート(オプション扱いのアップデート)が提供されないのは残念だ。
実はJuly CTPで加わった機能の1つは、このオプション扱いのアップデートだったりする。July CTPが標準でサポートするデバイス(July CTPに標準で含まれるデバイスドライバ)は、β2に対してそれほど増えているとは思わない。ところが、インストール完了後、最初のWindows Updateによって、ほとんどのデバイスのドライバがオプションとして提供される。ノートPC用のグラフィックスチップ、サウンドドライバなど、これまではWindows XP用のものを流用しなければならないデバイスが少なくなかったが、July CTPではその必要がほとんどなくなっている。大きな進歩を遂げた部分の1つだ。
元麻布春男氏のプロフィール
フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。
関連記事
第6回 AMDのATI買収劇が意味するもの
“電撃的”に発表された米AMDによる加ATI Technologies買収劇の意味を考える。第5回 Windows Vistaのアップグレードポリシーを考える
Windows Vistaのアップグレードポリシーをチェックしよう。第4回 Vistaのユーザーアカウント制御を考える
Windows Vistaのユーザーアカウント制御はどのように変わるのだろうか。第3回 内蔵グラフィックスでWindows Aeroは動くのか!?
統合チップセットのグラフィックスで“Windows Aero”を動かしてみた。第2回 Windows Aeroの謎に迫る
NVIDIA製グラフィックスカードを使って“Windows Aero”の謎に肉薄する。第1回 果たしてWindows Vistaはテイクオフできるのか?
PCウオッチャーの元麻布春男氏が、Windows Vistaの現状を斬る。- Windows Vistaβ2の一般リリース開始、日本語版も
- Windows Vistaで大幅強化されたセキュリティとモバイルパフォーマンス
- Windows Vista時代のノートPCは「2秒以内でレジューム」せよ
- いよいよ最終秒読み!Windows Vistaβ2公開される
- MacBook“KURO”でWindows Vista β2を走らせた
- Windows Vista特集
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.