レビュー

BIBLO初のエントリー級ワイドノート──富士通「FMV-BIBLO NF60T」

豊富なラインアップを誇る富士通のノートPC「BIBLO」シリーズには意外なことに15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載したエントリークラスの製品が存在しなかった。現在ノートPCの主戦場といわれるこのクラスに登場した「NF」シリーズを検証する。

エントリー向けとして価格を抑えながらも基本機能は充実

エントリークラスBIBLOで初の15.4インチワイドの液晶ディスプレイを搭載する「FMV-BIBLO NF」シリーズ。今回はTurion 64 X2 TL-50を搭載するNF60Tを紹介する

 FMV-BIBLO NFシリーズは、2006年秋モデルから新しく加わった新シリーズだ。15.4インチ、最大解像度1280×800ドットのワイド液晶ディスプレイを搭載した2スピンドルノートPCで、他社のエントリーモデルと競合するために価格を抑えた構成となっている。

 NFシリーズの店頭ラインアップには、CPUにTurion 64 X2 TL-50(動作クロック1.60GHz)を搭載する「FMV-BIBLO NF60T」(以下NF60T)と、Celeron M 410(動作クロック1.46GHz)を搭載する「FMV-BIBLO NF40T」(以下NF40T)の2タイプが用意される。 本体サイズは360×265×33.0~37.7ミリとやや大きめで重量も2.85キロと、持ち運びを重視して作られたモデルではない。どちらかというと、ホームユースでデスクトップPCの代わりに利用することを想定している。

 どちらも、筐体は「ヴィーナスホワイト」と富士通が呼ぶ少しパールがかったきれいなホワイトでカラーリングされ、キーボードも白地に赤系のフォントを載せたデザインを採用している。明るいリビングにおくと似合いそうな雰囲気である。キーボードのピッチは19ミリ、キーストロークは3ミリとノートPCとしては余裕がある。しっかりしたストローク感も感じられる。文字入力は非常に快適で、デスクトップPCからの移行したユーザーでも入力に違和感を持たないだろう。

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 ポインティングデバイスはタッチパッドのみ。タッチパッド部にはスクロール機能を持っていらず、左右ボタンを両方同時に押すとスクロールモードになる。一般的なスクロール機能付きタッチパッドに慣れていると少し使いづらい。ただ、NFシリーズにはUSB接続のホイール内蔵光学マウスが付属しているので、タッチパッドに違和感を覚えるユーザーはマウスを利用すればいい。

キーボードは、19ミリピッチにストローク3ミリ。筆者のように手が大きい人でも打ちやすい。ポインティングデバイスの左右ボタンの間に指紋センサーを装備している
筐体は「ヴィーナスホワイト」というつやのあるホワイト。標準でついてくるマウスも同じカラーリングだ

 NFシリーズのインタフェースは、USB2.0はもちろん、DVカメラを直接接続できるIEEE 1394も備えている。メディアカード用のスロットも用意されていて、SDメモリーカード、メモリースティック、xDピクチャーカードは、スロットに差すだけでそのまま利用することが可能だ。また、対応する製品は少ないものの、次世代のカード規格といわれるPCI Express接続のExpressCardスロットも内蔵する。

 ネットワーク機能は、IEEE 802.11 a/b/g対応の無線LANを標準で搭載し有線LANはギガビットイーサネットに対応する。試しに、1.9Gバイトの動画ファイルを、ギガビットLANで接続したデスクトップPCからNF60Tにコピーしたところ約1分30秒で転送が終わった。動画や大量の音楽ファイルなどの転送でもストレスなく作業できる。ちなみに、100MbpsのLANでは同じファイルのコピーに10分以上の時間を要している。

ギガビットLAN、USB、ディスプレイ接続端子がある
右側面にはPCカードスロットとExpressCardスロットが各1つ。USBとIEEE 1394、メモリカードリーダも装備されている。左側面は光学ドライブのみ

 NF60Tが搭載する「Turion64 X2 TL-50」は、AMD製の64ビット対応デュアルコアCPUで、デスクトップPC用のAthlon 64 X2に省電力機能が追加されたものと考えてかまわない。動作クロックは1.6GHzである。64ビットに対応しているため、Windows Vista Readyであることも現時点ではメリットとして挙げられる。

 Turion 64 X2を搭載するNF60Tのチップセットには、ATIの新世代統合型チップセットともいえるRADEON Xpress 1150を採用する。チップセットに内蔵されるグラフィックスコアの性能はRADEON X300 SE相当でエントリークラスのノートPCとしては優れたパワーといえる。メモリは、NF60TがPC2-5300 DDR2 SDRAMを512MバイトでNF40TがPC2-4200 DDR2 SDRAMを512Mバイトを搭載している。ともに最大4Gバイトまで増設できる。

背面のメモリスロットはカバーを外してアクセスできる。カバーとメモリラッチは金属製なので増設時に破損する心配がない
デュアルコアのCPUにRADEON X300 SE相当のグラフィックスコアを内蔵したチップセットといった高性能のチップを冷却するためにヒートパイプを2本組み込んだクーラーユニットが搭載されている
15.4インチワイドの液晶ディスプレイの最大解像度は1280×800ドット。競合する同じクラスのノートPCと同じ解像度である

 NF60TもNF40Tも搭載している光学ドライブは、DVD±R DLに対応したDVDスーパーマルチドライブである。ステレオスピーカーがアームレストの手前にあるおかげで迫力のあるサウンドが楽しめる。DVDをドライブに入れるだけでWinDVDが自動的に起動するため、手軽なDVDプレーヤーとして利用するのにも適している。15.4インチワイドの液晶ディスプレイは広視野角タイプなので、複数の人数で見ていても画面の色が変わってしまうことがない。さらに、輝度が高いおかげでシャドウ部分もつぶれずにしっかり表示するなど、プレーヤーとしても見やすい液晶ディスプレイの再生画質は高く評価できる。

 価格が富士通の直販サイトで17万9800円、最安値のショップでは15万円以下の場合もあり、マイクロソフトオフィスほか、数々のアプリが付属しての価格としては割安感がある。初めてのPCとしてもよし、デスクトップPCの代替えとしてもよし、という多くのユーザーに受け入れてもらえる懐の深いノートPCといえるだろう。

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