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Core2ユーザーもNVIDIA SLIが使えるぞっ──nForce 680i SLIの「最高級」な性能に迫るイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

Core2 Duo、Core2 Quadと新規格のCPUがこれから続々登場するインテル製CPU。しかし、ゲーマーにとってNVIDIA SLIが使えないのはイタかった。しかし、このチップセットがその悩みを解決してくれるのだ。

リファレンスデザインなのに「メーカー純正チューニング」仕様のオーバークロック

 今回のnForce 680i SLIでユニークなのは、NVIDIAがマザーボードのリファレンスデザインを設計し、それをマザーボードベンダーにデザインごと供給していることだ。こうした方式はグラフィックスカードでも行われている。欧米のグラフィックスカードベンダーが販売している製品は、大抵がNVIDIAなりATIなりがデザインしたカードを、台湾のODM(相手先ブランド設計製造)メーカーが生産した製品だ。そうした方式を、マザーボードにも持ち込んだのがnForce 680i SLIのユニークなところだ。なお、自社でデザインする技術力がある大手マザーボードベンダーは、自らデザインしたマザーの出荷を計画している。それらのオリジナルマザーも追々登場することになるだろう。

 この記事で評価するのは、NVIDIAリファレンスデザインとなったeVGA(米国のグラフィックスカードベンダー)製のマザーボードだ。従来、一般的にチップベンダのリファレンスデザインというと機能的にシンプルなものが多い。自動車で言えばエアロパーツがついていない大人しいめのマフラーを取り付けた「純正仕様」であることが多いのだが、NVIDIAのリファレンスデザインは違う。例えば、標準でファンレス仕様のチップファンは、オーバークロックして使うときに取り付けられる追加ファンが用意され、BIOSにもオーバークロック機能が標準で用意されている。この機能では実に細かいオーバークロック設定が可能になっている。自動車なら、「フルエアロ」を取り付けて、マフラーもレース仕様に手を入れて、ついでにブレーキはブレンボを奢ってしまったような、「メーカー純正チューニングカー」のような仕様になっているのだ。

 nForce 590 SLIでサポートされた、2つのGPUをつなぐHyper Transportのバスクロックを25%アップさせる「LinkBoost」機能や、HyperTransportのクロック、CPUのクロック倍率(クロック倍率が解除されているCPUでのみ有効)、さらにはFSB、メモリのクロックまで実に細かく設定できる。ユニークなのは、通常であればシステムバスに同期して設定されるメモリのクロックでは、設定できるシステムバスとメモリクロックの組み合わせが限られてしまうのに対して、nForce 680i SLIでは非同期で設定が選べるのだ。

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 このため、Core2 Extreme QX6700(内部動作クロック2.66GHz、FSBクロック266MHzの10倍)を利用して筆者の試したところでは、FSBが333MHz(BIOSの表示上はQDR=4倍なので1333MHzになる)にメモリクロックが1111MHzという、インテルチップセットでは「あり得ない」設定にして起動させてみたが、問題なく動いてしまい、ベンチマークもひと通りとおすことができた。もちろん、オーバークロックはメーカーのサポート範囲外になるので、これで何かあっても保証は受けられなくなるが、チューニング設定を“楽しめる”ことは間違いない。

eVGAの122-CK-NF68。nForce 680i SLIを搭載したインテル向けマザーボード
付属のチップセット用ファンは取り外し可能な仕様になっている
BIOSセットアップの画面。CPUの倍率やHyper Transportのクロックなどを設定できる
メモリのクロックはFSBに同期か非同期を選べる。非同期設定では、FSBをできるだけ上げてメモリは抑えめにという設定も可能になる

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