「AdobeRGB」対応のカラーマネジメントで“本当の色”を手に入れる(2/2 ページ)
デジタルカメラ、ディスプレイ、プリンタといったカラーイメージング機器の高性能化と低価格化を受け、機器間の色を合わせるカラーマネジメントは、業務用途に限らず、個人用途でも重要になっている。とくに今後は、sRGBを超える色域の「Adobe RGB」がキーワードになることは間違いない。
時代のニーズはsRGBからAdobe RGBにシフト
このように、機器別にキャリブレーションを実施することで本格的なカラーマネジメントが行えるわけだが、ここで1つ大きな問題がある。それは、色再現域(色域)の違いだ。デジタルカメラ、ディスプレイ、プリンタといった機器間で色を再現できる範囲は異なるため、本来はもっと鮮やかな赤や緑が出せる機器なのに、カラーマネジメントでは色域の狭い機器に合わせる必要が出てしまう。
現在の標準的なデジタルカメラは、撮影画像の色域に「sRGB」を採用している。sRGBは1999年にIEC(国際電気標準会議)が標準化した色再現規格だ。前述した2.2のガンマと6500Kの色温度はいずれもsRGBで定められている値なので、標準的な設定値となっている。
sRGBは確かにカラーマネジメントを容易化したが、当時主流だったCRTディスプレイの色再現性に配慮して作られたため、プリンタやスキャナ、デジタルカメラには、より広い色域を持つ製品も多い。最近のプリンタは、低価格な家庭用インクジェット機でもsRGBを超える色域を備えているし、昨今普及が進んでいるデジタル一眼レフカメラでは、sRGBより広い色域を持つAdobe RGBに対応した製品が標準化しつつある状況だ。
さらに、アドビシステムズのプロ向けフォトレタッチソフト「Photoshop CS2」はもちろん、同社の個人用フォトレタッチソフト「Photoshop Elements 5.0」や市川ソフトラボラトリーの高画質RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」など、一般ユーザーが購入しやすい価格帯のソフトでもAdobe RGBのサポートが増えている点は見逃せない。入力から出力までの環境がsRGB以上の色域をサポートすれば、より鮮やかで深みのある「本当の色」に近づけるわけだ。
カラーマネジメントにおける色域のニーズはsRGBからAdobe RGBへシフトしつつあることは間違いないが、一般にAdobe RGBの普及が遅れているのは、大多数のディスプレイがsRGBレベルの色域にとどまっていることが大きい。一部にAdobe RGB対応のモデルも存在するが、これまでは価格が数十万円の業務用モデルしかなかったので、個人で導入するには高嶺の花だった。
しかし、こうした現状を打破する製品が今春登場する。それが、日本サムスンの20.1インチ液晶ディスプレイ「SyncMaster XL20」だ。同製品は、Adobe RGBの色域をフルサポートしていながら、実売価格が16万円以下という価格破壊を実現。専用のハードウェアキャリブレーションツール、アルミニウム製遮光フード、印刷時の簡易色校正ソフトも同梱され、導入コストだけでディスプレイのカラーマネジメント環境が整う画期的な製品だ。業務用の一括導入や本格的なカラーマネジメントにチャレンジする初めての1台に最適だろう。
次回は、SyncMaster XL20を利用したキャリブレーションの手順について解説していこう。
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提供:日本サムスン株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年4月15日
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