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真の創造とは複雑なモノを簡単にすることだ――HPのデザイン哲学HPが考える未来予想図(1/2 ページ)

日本HPが、製品デザインと未来のモバイル製品に関するコンセプトの説明会を行った。同社が考えるデザインとは? 近未来のビジョンとは?

ワールドワイドのPC市場で好調を維持するHP

日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部長 松本光吉氏

 今回開催されのは、ヒューレット・パッカード(HP)の製品デザインコンセプトの解説と、「HPモバイル・イノベーション・ツアー」と題した2012年までの同社のビジョン(未来のモバイル通信)を紹介するという2部構成のイベントだ。

 冒頭、日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部長 松本光吉氏が壇上に上がり、「HPとCompaqが合併して今年5月でちょうど5年になる」とし、「HPはPC市場で昨年末にシェアNo.1を奪回し、2007年第1四半期では対前年比で17%増となるなど絶好調である」と現状を報告。「日本HPとしても、3月にコンシューマー向けデスクトップPCの再投入や、ビジネス向けクライアントPCで日立製作所にPCを供給するなど大きなアナウンスを行っている」とし、今後もこの好調を維持していきたいとまとめた。

HPはペイントからプリントに変わっていく

HP パーソナルシステムズグループ ノートブックデザインディレクター ステイシー・ウルフ氏

 続いて、HP パーソナルシステムズグループ ノートブックデザインディレクター ステイシー・ウルフ氏が同社のデザイン哲学(特にモバイル分野)について解説を行った。

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 ウルフ氏は「HPはプリンタの会社と思っている人が多いかもしれません」と笑いを誘いながら、「HPのデザインチームは西欧人だけでなくアジアやアフリカといったさまざまな出身地の人々が集まっており、まさに多国籍チームだ」と説明。「それぞれのデザイナーが文字通り世界中を飛び回って、トレンドやデザインのリサーチをして新しいライフスタイルを提案すべく、デザインを行っている」と述べた。

 HPのコンシューマー製品におけるデザインアプローチは、製品の外観でユーザーを引き込めるか、メッセージがシンプルで伝わりやすいか、使い込むほど製品のよさが伝わるかの3点を重視しており、これらの到達点としては、ファッションとテクノロジーの融合を意味する造語“FASHTRONICA”、薄さや豪華な仕上げ(LUXURIOUS FINISHES)といったキーワードが掲げられている。

 その具体例として挙げられたのは、昨年9月に投入された「HP Pavilion Notebook PC dv6100/CT」だ。「HP Imprint」と呼ばれる、転写箔による成形同時加飾工法を利用することで、文字通り“FASHTRONICA”と“豪華な仕上げ”を実現したほか、ボディの端をカットして見ための薄さを強調したという。実際、これらのデザイン的特徴はWindows Vista以降の新モデルにも着実に反映されており、HPらしさの形成に大きく貢献している。

HPのデザインチームはグローバル化している(写真=左)が、現時点で日本人や韓国人のデザイナーはいないとのこと。インダストリアル・デザインだけでなく、ヒューマン・インタフェースの研究も行われており、10フィートUIのQuickPlayもこのデザインチームが開発したそうだ。中央の写真はHPのコンシューマー向け製品のアプローチをまとめたもの。HPのデザイナーは“刺激”を求めて、世界各地のトレンドやデザインを積極的に吸収しているという(写真=右)
HPのコンシューマー向け製品のゴール(写真=左)。ファッションとテクノロジーの融合を意味するファッショトロニカ(FASHITRONICA)という造語が目を引く(写真=中央)。ボディの薄さを強調すべく、デザイン面で工夫を凝らしている(写真=右)
携帯電話や高級化粧品などの外装に使われている加工技術を用いて、見ための美しさとキズを付きにくくしたHP Imprint(写真=左と中央)。ノートPCの天面とパームレスト面には波状の模様があり、ウルフ氏によれば「禅寺の石庭をグラフィックスに変換すると波になった」という。最新モデルでは、上記のコンセプトが随所に生かされている(写真=右)

 一方のビジネス向けの製品では、「信頼性や堅牢性、使いやすさ、セキュリティといった面が重視されている。これまでは1つのビジョンで1つのデザインだったが、将来的には3つのデザインに分かれる」とした。具体的には、Entry/SMB/Enterpriseの分野ごとにデザインを特化し、さまざまなニーズに対応していくという。

 そして将来、「HPのビジネス向けノートPCは時間軸を超越したデザイン、高い機能性を備えたデザインを目指していく」として第1部を終えた。

ビジネス向け製品では、将来的に3つのセグメント別にデザインを特化していくという(写真=左)。3つのセグメントを車に例えたスライド(写真=右)
ビジネスシーンでは信頼性(写真=左)や使いやすさ(写真=中央と右)が重視される
使いやすさだけでなく、セキュリティもビジネス向け製品では欠かせない(写真=左と中央)。HPのビジネス向け製品は現状、グラフの左下に位置しているが、2008年までには右上のゾーンに移行するよう目指しているという(写真=右)
今後のトレンドとして示された3つのキーワード

 第2部では、「HPモバイル・イノベーション・ツアー」と題してさまざまなデザインモックアップが紹介された。次のページではそれらの興味深いアイテムを見ていこう。

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