HDVもAVCHDもコレ1本で軽快編集――「VideoStudio 11」を試す:ホームビデオ編集もHDの時代へ(4/4 ページ)
「VideoStudio」は低価格ビデオ編集ソフトの代表格。最新版では待望のAVCHDに対応し、ハイビジョン編集がより身近なものになった。
AVCHD形式での書き出しは今後に期待
一方、AVCHD形式での出力ができないのは惜しい。というのも、AVCHDビデオカメラで撮影した映像を、解像度を損なわずにTVで見る方法は、まだまだ選択肢が少ないからだ。最も一般的なのは、ビデオカメラとTVをHDMIなりD3なりのケーブルで接続して、ビデオカメラに保存したデータを再生することだ。あるいは、プレイステーション 3や一部のレコーダーといったAVCHD形式のディスク再生に対応した機器を持っていれば、そちらを利用する手もある。パナソニックのTVやHDD/DVDレコーダーの一部は、ビデオカメラで記録したSDメモリーカードを装着して再生する機能を持っているが、これは特殊な例だろう。
ただし、以上の方法はいずれも再生したい映像がAVCHD形式で保存されていることが前提になっており、ソニーやパナソニックのビデオカメラ付属ソフトも、他形式の映像をAVCHD形式に変換する機能は備えていない。つまり、せっかくVideoStudio 11でAVCHDの映像を編集できても、AVCHDビデオカメラ側に書き戻してTVで楽しむことができないのだ。
現時点でAVCHD形式での出力が可能なビデオ編集関連ソフトは、ソニーが提供する「VAIO Edit Components Ver.6.1」を組み合わせたアドビシステムの「Premiere」シリーズと、やはりソニーのVAIOに付属する「VAIO Content Exporter」くらいしか見当たらないが、どちらもソニーのVAIOのみ利用可能なことを考えると、プラットフォームを選ばない市販ソフトでこそ、こうした機能を実現してほしいところだ。AVCHD形式での出力に対応すれば、MPEGオプティマイザの存在価値が高まるのはいうまでもない。
なお、バッファローの「LinkTheater」シリーズや、アイ・オー・データ機器の「AVeL LinkPlayer」シリーズなどに代表される、HD出力に対応したメディアプレーヤーを持っていれば、ファイル出力したHD映像をTVで再生することはできるので、現時点ではこれがTVでHD再生する場合の現実的な解になりそうだ。
また、VideoStudio 11単体ではできないものの、対応するオーサリングソフトを併用することで、Blu-ray Discなどへ書き出すという方法も残されている。しかし、この場合にもVideoStudio 11ではファイルとして保存することになる。ちなみに、AVCHDの映像だけで13分ほどの作品を作り、WMVとしてファイル出力するのにかかった時間は、3時間10分ほどだった。
HD編集の快適さを求める個人ユーザーにおすすめ
以上、VideoStudio 11の主要な機能を一通り使ってみた。VideoStudio 11は、高負荷のHD映像であっても編集の軽快さは損ないたくない、というユーザーにとって、ほかに代えがたい魅力を持ったビデオ編集ソフトと言える。
シーン分割キャプチャや撮影日時情報の取り込みといった便利な機能を備えているにも関わらず、HDV素材ではこれらの機能を使えなかったり、AVCHD形式での出力ができなかったりといった不満点については、今後の改善を強く希望したいのはもちろんだが、最終的に作品を保存するフォーマットによっては問題にならない場合もあることを頭に入れておきたい。
何より、AVCHDの映像をとりあえず本格的に編集できるソフトの選択肢が増えた意味は大きい。自分がどんな環境で作品を見る、もしくは見せるつもりなのかをよく見極めたうえで納得できるユーザーには、検討をおすすめしたい。
関連記事
AVCHDカメラのH.264映像を手軽に本格編集――「VideoStudio 11」
個人向けビデオ編集ソフトの定番「VideoStudio」がバージョンアップした。新たにAVCHDカメラに対応したほか、スマートレンダリング判別機能などを装備し、利便性を高めている。インタービデオ、Vista対応のDVDオーサリングソフト「DVD MovieWriter 6 SD Edition」
インタービデオは、同社製オーサリングソフトの最新版「DVD MovieWriter 6 SD Edition」を発売する。AVCHDカメラの入力をサポートしたほか、タイムライン編集も強化された。インタービデオとユーリード、主要製品のVista対応をアナウンス
インタービデオとユーリードの2社は、日本向けの主要ソフトウェア製品のWindows Vista対応をアナウンスした。ハイビジョン映像の編集がより手軽に――ユーリード「Video Studio 10」
ユーリードシステムズは、ビデオ編集ソフト「Video Studio 10」を発表した。HDVカメラからのキャプチャに標準対応したほか、編集時のCPU負荷を軽減する新機能を盛り込むなど、ハイビジョンコンテンツを扱うための機能強化が図られている。次世代光メディア、PCでも現実的に──ユーリード、BD/HD DVD対応ソフトを発表
ユーリードシステムズは、次世代光メディア Blu-rayおよびHD DVDに対応するオーサリングソフト「DVD MovieWriter 5」を発表した。サイバーリンクTD、Vista対応のビデオ編集ソフト「PowerDirector 6 Vista」
サイバーリンク トランスデジタルは、ビデオ編集ソフト「PowerDirector」の最新版「PowerDirector 6 Vista」を発表した。ハイビジョン編集をより簡単に――カノープス「エディウスJ」を試す
「エディウスJ」は、マニュアルなしで操作できるという直感的な操作性をウリにしたハイビジョン対応ビデオ編集ソフト。教育機関向けだが、一般ユーザーにとってもHDVを手軽に編集できるメリットがある。カノープス、初心者向けビデオ編集ソフト「エディウスJ」
カノープスは、初心者にも扱いやすい操作性を実現したビデオ編集ソフト「エディウスJ」を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.