Let'snoteのソフトウェアは“ひっそりこっそり”と省電力
Let'snote、というとハードウェアに注目が集まるが、ソフトウェアも地道に省電力と使い勝手に貢献している。その概要を「控えめな」開発スタッフが「控えめに」語ってくれた。
松下電器産業は、5月24日に法人ユーザーを対象としたイベント「PC STAGE 2007」を行った。そのスピーチセッションの1つに登場したのが、Let'snote開発でソフトウェアを担当する寺岡靖子氏(松下電器産業 パナソニックAVCネットワーク社 システム事業グループ ITプロダクツ事業部 テクノロジーセンター ソフト設計第二チーム主任技師)だ。「軽量」「長時間バッテリー駆動」「堅牢性」とハードウェアが注目されるLet'snoteだが、普段表に出ることが少ないソフトウェアの現場から、Let'snoteを支える技術について話していただいた。
寺岡氏によると、Let'snoteのソフトウェア開発陣は「BIOS/エンベデッドコントロール」「OSインプリメント」「ハードウェアの特徴を生かす専用のアプリケーションの開発 」「検証」といった複数のチームに分かれているという。
BIOS/エンベデッドコントロールで制御されるのが内蔵光学ドライブやHDD、USB、LANなどへの電力供給だ。タイマーをセットしてアイドル状態が一定時間続いた場合に供給電力をカットする機能をはじめ、USBやLANなどのインタフェースのオンオフを設定するのがこれに該当する。なお、VAIOなどでは有効になるGPUを切り替える機能を有しているが、CF-Y7でも使用している電源の種類をチェックしてギガビットLANのオンオフを自動で切り替える機能を実装している(ただし、工場出荷時ではDisable)。
OSインプリメントではWindowsに実装されている機能に独自機能をプラスする。Let'snoteの開発では、やはり「省電力を訴求するソフトウェアをまず入れます」(寺岡氏)となる。この段階ではほかにも「ハードウェアを助けるソフトウェア」「ユーザーの入力を助けるソフトウェア」などが開発される。 ハードウェアを助けるソフトの代表的な例が、容量の8割で充電を停めてバッテリーの劣化を防ぐ「エコノミーモード」となり、ユーザーの入力を助けるソフトの典型的な例が「ホイールパッドユーティリティ」となる。
専用アプリケーションの開発では、ハードウェアを支援するユーティリティが該当する。具体的な例としては「ネットセレクター」や「ズームビューアー」が挙げられる。このほかにも多くのソフトウェアがLet'snoteに導入されているが、それらの多くはハードウェアに依存するソフトウェアでユーザーインタフェースを持たないため、ユーザーの目に触れることが少ない。この範疇に入るのが「暗号化であったりキーボード周りを支えてるいる松下独自の技術」(寺岡氏)となる。省電力や使い勝手の向上に貢献しているのだが、その存在の大きさにユーザーが気づくことは少ない。
以前、ノートPCの制御で重要な要素だったのが電力管理やその設定であった。しかし、現在はCPUやOSで行う部分が多くなり、ノートPCメーカーが腕をふるう余地が少なくなっている。そういう状況においてLet'snoteのソフトウェア開発陣が省電力のために取り組んでいる1つの例として、寺岡氏は液晶ディスプレイの輝度制御を紹介してくれた。ホットキーを使った液晶ディスプレイの輝度変更は多くのノートPCで採用されているが、Let'snoteシリーズでは輝度がある一定のレベルまで下がった時点でディスプレイのリフレッシュレートを通常の60Hzから40Hzに自動的に引き下げる機能を実装している。「(バッテリー駆動時間を延ばすために)モバイル時には非常に有効な機能です」(寺岡氏)
電力管理の設定項目やプリセットされている電源管理モードの種類を比較すると、ソニーのVAIOシリーズなどが多数の項目やモードを用意しているのに対して、Let'snoteはいたってシンプルだ。この違いについて寺岡氏は「ありすぎてもユーザーは困ってしまうのではないか」という考えを述べている。
寺崎氏は使い勝手という視点から「ユーザーが切り替えるのではなく、ユーザーが知らないうちに使えるような提案をしたい」と語る。「プロファイルを用意すると選ぶという行為でユーザーの手を煩わせてしまいます。ユーザーが気づかないところでこっそり地味に目立たないように省電力を実現して行くのがいいのではないかなと思っています 」(寺岡氏)
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