Windows 11の不満解消へ Microsoftの最優先プロジェクト「Windows K2」とは何か:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
機能追加よりも「品質とパフォーマンス」を最優先へ。Microsoftが進めるWindows 11の改善プロジェクト「Windows K2」を読み解く。
2025年末に大量のネガティブフィードバックがMicrosoftのWindows開発チームに寄せられた件を経て、2026年3月には同部門を率いるパヴァン・ダヴルリ氏が現行のWindows 11にユーザーの不満を助長するような問題の存在を認め、今後は(少なくとも1年間は)Windowsの機能性や品質そのものの改善に注力していくことを表明した……というのが直近のトピックだ。
それから1カ月、一部に変化は現れつつあるものの、本番はこれからといえる。
そうした中で、Microsoft内部で進行中とされる「K2」というプロジェクトの名称が浮き上がってきた。Windowsを改良するための最優先プロジェクトという位置付けだが、同件を自身の情報源として報じたWindows Centralのザック・ボーデン氏の記事を元に、少し背景を整理したい。
「K2」で何が変わるのか
同氏によれば「Windows K2」はMicrosoft内部での開発コード名で、“Windows 12”といった新しいOSそのものではなく、あくまで既存のWindows 11に対して寄せられている不満に対処し、パフォーマンスや信頼性、品質を向上させることが狙いのプロジェクトだ。
スタートしたのは2025年後半で、ちょうどWindows開発チームのメンバーに大量のネガティブフィードバックが(主にX経由で)寄せられたタイミングに合致する。おそらく内部的にもWindows 11に対してここまでユーザーが不満を抱いているとは思っておらず、それがプロジェクト開始の原動力につながったと考えられる。
ボーデン氏が挙げている改良ポイントはいくつかあるが、1つは「機能リリース優先から品質優先」で、これまではアップデート頻度を上げることが主軸で機能リリースも散発的な印象が強かったが、今後は社内で一定以上の品質を満たさない限りリリースにはまわさないという方針転換だ。
また開発において、膨大なテレメトリデータの収集や寄せられたフィードバックへの対応は重要なトピックではあるものの、それだけでは日々の対応に忙殺されるだけで終わってしまう。こうした開発チーム内部の意識変革に加え、最近のWindows Insider Programでもないがしろにされがちだった「Windowsファンのためのユーザーコミュニティーの復興」を掲げ、あるべき開発サイクルに戻していこうというのが大きな目標となる。
品質やパフォーマンスの改良という面でユーザーに分かりやすく作用するのは、Windowsのユーザーインタフェースのレスポンス性だ。Windows 11で顕著な操作ストレスを起こす要因として挙げられるのは、ファイルエクスプローラーで頻繁に起こる“白とび”や“リフレッシュ”、スタートメニューや右クリックで表示されるコンテキストメニューに時間がかかる問題、動作が落ち着くまでレスポンスが極端に悪くなる現象などだ。
新しいSystem Compositor for WinUI 3を採用して全体的にシステムリソースの消費を抑えてレスポンスを改善するのに加え、前提としてシステム動作の軽量化を推し進めていくとのことだ。
Windows Updateについても改良が行われるという。2026年4月には「Windows Updateの“適用なし”での再起動やシャットダウン」が可能になったが、これに加えて再起動頻度を月1回まで減らしたり、ディスプレイやオーディオドライバの更新は再起動時のみに行ったりといった、操作になるべく支障が出ない方策を選んでいる。
そして注目すべきは、ゲーミング性能の話題だ。Steam Deckなどで動作するValveのSteamOSを参考にして、これに匹敵するパフォーマンスを今後Windows 11上で実現していくという。
LinuxをベースとしたSteamOSは、Steamプラットフォームを提供するValveが開発/無償配布しているOSで、ゲームに特化した軽量動作が特徴となっている。Wineの技術をベースとしたProtonという仕組みにより、Windowsアプリケーションを抽象化レイヤーを通じてLinux上で動作させる。
本来であればオーバーヘッドで遅くなる仕組みではあるが、フロントエンドで動作するゲームに特化することでバックエンドでの割り込みが発生しないこと、抽象化レイヤーの先では画面描画にDirectXではなくVulkanといった軽量動作可能なドライバを経由させることで、同一ハードウェアでもSteamOS上の方が快適動作するケースが見られるなど、軽量/高速動作に特化させている点で特徴がある。
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