動き出した「次世代Windows」と「タスクバー自由化」のうわさ――開発ビルドから読み解く最新OS事情:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
2026年から2027年にかけて行われるWindows OSのアップデート計画に、新たな動きが見え始めた。ここでは、最新の開発ビルドから読み解く今後のアップデートの行方を整理してお届けする。
これまでの本連載で、Windows 11における大型アップデートの概要について説明を行ったが、その後に前回の予想とは少し異なる動きがあったので情報を更新したい。
2026年における大型アップデートは、同年前半にやってくる「26H1」が主に「Snapdragon X2 Elite/Extreme」搭載デバイスを対象にした専用のものになり、同年後半の「26H2」がそれ以外のWindows 11 PCにやってくるアップデートであり、両プラットフォーム共通の大型アップデートは2027年後半の「27H2」になる見込みだというのが前回お伝えした内容だった。
「大型アップデートは年1回」という基本路線は踏襲し、この点は今回も変更はない。ただ、2026年2月18日(米国時間)にWindows Insider PreviewのCanary Channelでの告知を受け、2027年のアップデートに変更がある見込みだ。
2つの分断されたOSコアと前回までのおさらい
2月18日の報告によれば、最新の開発ビルドが提供されるCanary Channelでは“さらに最新”のアップデートが入手可能な“パス”が用意され、2系統にビルドが分割された。従来「Skip ahead」などと呼ばれていたオプションで、これにより既存の系統を継承する「Build 28xxx」系と、さらに最新の系統となる「295xx」系の2つが存在することになった。
2月20日(米国時間)にはCanary(旧)、Dev、Betaの3つのチャネルそれぞれに最新のビルドが配信されており、ウオーターマークなどに記載される正式な型番をBetaWikiを参考に記載すると次のようになる。
- Build 29531.1000.rs_prerelease.260206-1841(Canary新)
- Build 28020.1619.br_release_svc_betaflt_prod1.260212-1245(Canary旧)
- Build 26300.7877.ge_prerelease_im.260212-1742(Dev)
- Build 26220.7872.ge_release_svc_betaflt_prod1.260212-1718(Beta)
前回の記事でも触れた通り、Dev Channelの「Build 26300」はそのまま26H2として提供される可能性が高い。
「Build 26220」は現行の「25H2」の系列だが、少し前まではDevで「Build 26220」、Betaで「Build 26200(24H2の系列)」が提供されていたように、26H2の正式提供まではBeta Channelにおいて「Build 26220」の系列が提供され続け、25H2のメンテナンスを担うものとみられる。
問題は、Windows OSの“コア”にあたる部分の話だ。これまでの連載で触れてきたように、24H2と25H2は「Germanium(ゲルマニウム)」というOSコアを採用しており、大型アップデート適用時の内容も必要最小限でスムーズな移行が可能だった。
同様に、Dev Channelで検証が進んでいる26H2についてもビルド番号の系統はほぼ上がっておらず、前回も触れたように同じGermaniumベースのものになる可能性が高いと考えられる。
一方で、現在Canary Channel(旧)での検証が進められている開発ビルドは「Bromine(臭素)」ベースのコアであり、これは26H1に適用される。
このように26H1と26H2ではOSコアの世代が異なっており、これが両者の“コア統合”を阻害し、結果としてその役割は2027年後半の27H2まで持ち越し――というのが前回のレポートでのまとめだった。
この時点では、27H2はBromineコアの“BRリリース”になることが想定されていたが、今回Canary Channelに新たな系統の開発ビルドが追加されたことで、Bromineコアは1世代のみで終わるのではないかという話が出てきた。
最新の開発ビルドに「Krypton」コアが登場
そして今回登場したのが「Build 29531」だ。Bromine世代の「28xxx」からは一気に番号が上がっており、新しいOSコアの世代として「Krypton(クリプトン)」の名称が与えられている。実は、2025年10月の時点でCanary Channelの開発ビルドが「Build 27975」から一気に「Build 29xxx」まで上がり、KryptonというOSコアの世代になるという話があり、本連載でもそれを紹介している。
OS全体の簡易的な名称は「Windows vNext」などとも呼ばれており、Canary Channel(新)で先行配信される形で将来的な27H2の布石になるとされている。現在BRリリースの26H1についても、次の大型アップデートは27H2で、これが既存のWindows 11のアップデートとこのタイミングで統合される予定のため、Bromineコアは1世代のみで終わるのではないかという話につながる。
いわゆる元素のクリプトンは“希ガス”であり、元素周期表では臭素の次の原子番号36番が与えられている。命名順としては問題ないが、そもそも原子番号32番のゲルマニウムと原子番号35番の臭素の間では、ヒ素とセレンの2つの元素が抜けている。
Microsoftが、いつからWindows OSの“コア”の開発コード名に元素周期表を割り当て始めたのかは不明だが、筆者が認識している範囲では2019年時点で元素番号25番のマンガン(Manganese)が出現したのを記憶している。
当時は、およそ半年から1年単位でOSコアの更新が行われていたが、「銅(Copper)」のように内部リリースのみにとどまって一般提供が行われなかったOSコアも存在しており(※アップデートがスキップされて次の「亜鉛(Zinc)」に統合されたため)、必ずしも周期表の順番とは一致していなかった。
なお、名称として使用されなかったヒ素(Arsenic)は「毒物としてのイメージが強い」として避けられたもので、代わりにスタートレックに登場する架空の元素である「ダイリチウム」(Delithium)が使用されている。
ただし、DelithiumそのものはOSとしての一般提供がなく、Copper同様に内部的な名称としてのみ使われ、デモンストレーション用に披露されたにとどまる。もう1つの「セレン(Selenium)」については、本来であれば25H2の名称に使われるはずではあるものの、OSコアそのものはGermanium世代のものなので、こちらも名称が表立って使われることがなかった。そのため、Germaniumの次に来る名称がBromineとKryptonという形になったわけだ。
余談だが、“クリプトン”といえばスーパーマンの出身星である「クリプトン星」が思い浮かぶが、クリプトン星もそこで産出される架空物質でスーパーマンの弱点である「クリプトナイト」も、希ガスのクリプトンとは別物であることは原作などでも触れられている。
SF好きの開発陣なのでダイリチウムの延長線上にも思えるが、たまたまのようだ。
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