モバイルPCに理想型があるなら、それは「RX1」かもしれない:薄くて軽くて長時間駆動(3/3 ページ)
東芝の意欲作「dynabook SS RX1」は、モバイルノートPCに求められる携帯性と使い勝手に徹底してこだわった製品だ。真昼の公園でモバイルを堪能してみた。
システムパフォーマンスを検証
最後になってしまったがパフォーマンスにも触れておこう。本機はCore 2 Duoとは言え、CPUの動作クロックが1.06GHzで、さらにチップセット内蔵グラフィックスであることから、Windows Vistaの動作に関して不安に感じる人がいるかもしれない。しかし、HDDに2.5インチ/5400rpmタイプを採用した効果もあってか、OSであるWindows Vistaはもちろん、Webブラウザやオフィススィートの利用でストレスを感じることはほとんどなかった。
Windows エクスペリエンスインデックスの基本スコアは2.0と高くないものの、これはチップセット内蔵グラフィックスの影響で仕方のないところ。プロセッサとメモリは4を越え、HDDにいたっては5.0を記録している。一方、PCMark05に関しては筆者のミスでPCMarks(トータルスコア)の算出ができなかったが、CPU、Memory、Graphics、HDDの各スコアから想定するとPCMarksは2000台前半には確実に達していると思われる。
3Dグラフィックスはさすがに3DMark06のスコアは参考にもならないレベルだし、FFベンチでもFINALFANTASY XIがぎりぎり楽しめる程度だが、本機の位置付けを考慮すればあまり重要な問題ではないだろう。
本当の魅力は“世界一”ではなく、バランスの高さ
何かほめっぱなしな気もするのだが、実際モバイルノートPCとしての欠点が少ないのは事実だ。無理のないサイズのフットプリントが生む使い勝手のよさ、高い携帯性と堅牢性、メインPC利用にも便利な2スピンドル構成、必要十分なパフォーマンスと、とにかくツボは押さえている。競合機は「Let's note LIGHT W5」シリーズや「VAIO Type G」シリーズあたりになると思うが、基本スペック、重量ともに本機が上回っている部分が多い。また、ここ数年のdynabook SSシリーズは、デザイン的なやぼったさが抜けない面もあったが、本機は薄型の筐体によってデザイン面でもぐっと垢抜けた感がある。
モバイルノートPCとしては完成されている半面、所有欲を満たす要素が少なめなのは気になるところでもある。質実剛健なのは同社のモバイルノートPCの伝統と言えなくもないが、パッと見でdynabookだと思わせる部分はほとんどないし、クリックボタンのメッキも余計としか思えない。デザイン的なワンポイントを狙ったのなら、せめてヘアライン加工された金属プレート程度は奢って欲しかった気がする。さらに言えば、カラーリングに関してもせめて直販モデルではバリエーションを持たせるくらいのことはしてほしかった。ビジネスユースだけでなく個人にも本気で売る気があるのなら、真紅や青、黒のdynabookがあってもよいと思うのだ。
繰り返しになるが、総括すると本機は本当によく出来たモバイルノートPCだ。中にはフットプリントの大きさを気にする人もいるだろうが、実際に触れてみればその必要性もよく分かると思う。モバイルノートPCでありながら我慢や慣れを強いられる部分がほとんど見当たらないのだ。競合製品に対して少々強気な価格設定は気になるが、ノートPCをモバイルで使う人には、dynabook SS RX1が後悔のない選択肢の1つであることは間違いない。
関連キーワード
dynabook | ノートPC | 東芝 | Windows Vista | SSD | Core 2 Duo | 最軽量 | Santa Rosa | 最薄
関連記事
「22年の技術と英知を結集した」――東芝が世界最軽量の薄型モバイルPCを発表
東芝が新たに投入した「dynabook SS RX1」シリーズは、同社ノートPC史上で最もモバイルPCの理想型を追求したモデルだ。東芝が放つモバイルPCの新顔「dynabook SS RX1」の中身をチェック
「dynabook SS RX1」は、数々の新技術を満載したモバイルPCの意欲作だ。早速、気になる中身を見ていこう。64GバイトSSD+12.5時間駆動=968グラムの堅牢モバイルPC――dynabook SS RX1
東芝が新たに投入する「dynabook SS RX1」シリーズは、「軽量・スリム・長時間駆動」の3拍子がそろった「True Mobile」がコンセプトの意欲的なモバイルPCだ。至高のAVノートPCがフルモデルチェンジ――Qosmio G40
地デジ/フルHD液晶/HD DVD-R――高級志向のAVノートPC「Qosmio G40」がインテルの最新プラットフォームを採用して生まれ変わった。下位シリーズにも965チップセット×新ボディを投入――Qosmio F40
15.4インチワイド液晶を搭載したAVノートPC「Qosmio F40」も上位機のG40と同様、Intel 965チップセットと新デザインのボディを採用した。真打ち登場 “Santa Rosa”な最高峰のQosmio
東芝のPC夏モデルに新世代Centrinoを採用した「Qosmio」シリーズが加わった。2シリーズ5モデルがラインアップされている。「美しいVistaには美しいボディを」――Home Premium全面採用でデザインを一新した東芝dynabook/Qosmio
東芝は4月12日、ノートPC「dynabook/Qosmio」シリーズ7モデルを発表した。dynabook AX/TXが新デザインに生まれ変わり、スタンダードモデルを大幅に拡充している。そのボディは上質の黒――写真で見る「dynabook TX/67C」
装いを新たにブラックモデルが登場したdynabook TX。最上位モデル「dynabook TX/67C」のフォトレビューをお届けする。15万円台の“プレミアム”ノートをねっとりと眺める――写真で見る「dynabook AX AX53/C」
全3機種にHome Premiumを採用し、実用的な性能を備えたうえで、さらに価格を下げてきた夏のdynabook AX。イイコトづくめのように思えるが、見ためはどうだろう?20万円で買える地デジノートPC――Qosmio F30/83C
東芝AVノートPCのミドルレンジを担うQosmio F30は、従来のボディを踏襲する1モデルのみが発表された。春に比べるとやや寂しい内容だが、コストパフォーマンスの高さは健在。2色で展開する新スタンダードノート――dynabook TX
スペック的にはマイナーチェンジながら、新しいボディデザインに進化した「dynabook TX」。dynabook AXと同じシャーシを採用しつつ、高級感を演出する黒いモデルが登場した。“プレミアム”なワイドノートがエントリー価格で手に入る――dynabook AX
3モデルで展開されるdynabook AXは、すべてにHome Premiumを採用し、基本スペックが大幅に強化された。パールホワイトの新ボディにdynabookロゴが青く光る。HD DVD-Rドライブ搭載機を追加した高級志向AVノート――Qosmio G30
地上デジタル放送に対応し、17インチワイド液晶を搭載するAVノートPCのQosmio G30は、HD DVD-Rドライブ搭載機など2モデルを用意する。全モデル地デジ対応になった主力AVノート――Qosmio F30
15.4インチワイド液晶を搭載したAVノートPCのQosmio F30は、全モデルが地上デジタル放送に対応した。OSはVista Home Premiumだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.