モバイルPCに理想型があるなら、それは「RX1」かもしれない:薄くて軽くて長時間駆動(2/3 ページ)
東芝の意欲作「dynabook SS RX1」は、モバイルノートPCに求められる携帯性と使い勝手に徹底してこだわった製品だ。真昼の公園でモバイルを堪能してみた。
キーボードの出来は良好
使い勝手を大きく左右するキーボードは、19ミリのフルピッチを確保。ストロークも2ミリとモバイルPCとしては十分だ。特筆すべきはそのキータッチで、剛性感をしっかり確保しつつ絶妙なフィーリングを実現している。軽すぎず重すぎず、デスクトップPC向けのスリムタイプのキーボードのそれに近い感触だ。軽いキータッチのノートPCに慣れていると最初は少し重めに感じるかもしれないが、けっして疲労につながるようなものではない。
一方、キーボードの出来のよさに比べるとタッチパッドは可もなく不可もなくといったところ。無理をしていないフットプリントのおかげでパッドやクリックボタンの面積は十分だが、ボタンはストロークが足りないのか操作感はあまりよくない。頑張っているキーボードに比べると、スリム化のネガティブな部分がもろに出てしまった感じだ。
外部インタフェースも大きめのフットプリントを生かした部分といえる。USBポートは左右で3ポートを確保し、モバイルPCでは省略されがちなIEEE1394もしっかり装備している。SDカードスロットはもちろん、PCカードスロットもあるが、そのレイアウトには苦労もうかがえる。PCカードスロットは背面寄りなので、アンテナを装備する通信カード利用時でもキータイプのじゃまにはならない好ましい配置だ。
ダイヤルタイプのボリュームはエンドレスに回転する電子タイプのため、起動前に音量を最低にしておくといった使い方はできないものの、アップダウンボタンよりはすばやく直感的に音量調整ができる点はやはり魅力。アナログRGB出力も変換ケーブルなどを必要としないコネクタになっている。
日中の屋外や窓際でも快適に利用できる半透過型ディスプレイ
いくつもの世界一に隠れがちだが、液晶ディスプレイに半透過型液晶を採用した点も本機の特徴だ。これは液晶パネル背面に反射板を装備し、外光を取り込んで反射板での反射をバックライト代わりにも利用できるというもの。もちろん、バックライトも装備しており、屋外と屋内で使い分けられる。例えば屋外や窓際などでは、バックライトをオフにすることで一般的な液晶パネルよりも高い視認性を確保できると同時に、バッテリー動作時間の延長にも貢献できるわけだ。
半透過型はトレードオフとして発色が淡くなる傾向にあるが、本機の場合それが気になるレベルではない。もちろん、動画再生を強く意識した光沢タイプのパネルと比べると間違いなく発色は劣るのだが、インターネット利用やビジネスユースであれば不満を感じることはなさそうだ。ただし、屋内でも少々画面が暗めに感じたほか、上下の視野角が狭い印象はある。もっとも、これも実用面で不満を感じるレベルではないだろう。
実際に本機を日中の屋外に持ち出してみたところ、一般的なノートPCでは(バックライト輝度を最大にして)視認性に難がある場所でも不満のないレベルで利用できた。バックライトはワンタッチでオン/オフできるように専用ボタンが備えられており、ディスプレイ面にむらなく外光が差し込む場所では、バックライトをオフにしても視認性はほとんど変わらなかった。半透過型ディスプレイはすべてのユーザーが欲する機能ではないかもしれないが、モバイルノートPCが活躍できるフィールドを大きく広げてくれるだろう。例えば、電車の中でノートPCを広げていると、窓から差し込む陽光で画面が見えなくなったりするが、RX1ならそんな心配もない。
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