日本でも欲しいっ! 革をまとったThinkPad X61が国内で初披露
歴代のThinkPadを知るユーザーなら、筐体を革でくるりと巻いた「のり巻きケース」という言葉に反応するだろう。欧米で登場した「特別なThinkPad」はもっともっと本格的らしい。
レノボ・ジャパンは8月24日、大和研究所のエンジニアによるラウンドテーブルを行った。スピーカーとして登場したのは、ThinkPadの意匠デザインを長年にわたって行ってきた嶋久志ノートブックビジネスユニット スタップデザイナーと、筐体の構造設計に携わってきた大谷哲也ノートブック開発研究所サブシステム技術プラットフォーム機構設計担当の2名だ。
嶋氏は、ThinkPadのブランドデザインにおける「哲学」について解説し、大谷氏はThinkPadのプラットフォーム機構設計における「筐体設計」「材料(液晶パネルやシステム基板などの部材)開発や改善における協業」などについて、実際の業務における資料を提示しながら説明した。それぞれの内容は別記事にて後日紹介する予定だが、ここでは、ラウンドテーブルで披露された特別バージョンのThinkPadを紹介しよう。
このThinkPad X61をベースにしたモデル「ThinkPad Reserved Editon」(ThinkPad RE)は、著名なデザイナーであって、ThinkPadのデザインに大きな影響を与えてきたリチャード・サッパー氏が、意匠デザインの1つの可能性として作り上げたもので、筐体に本革を組み込んでいるのが特徴だ。革を筐体に固定するネジなど多くのパーツをこのために新たに起こしたという。
ThinkPadと革の組み合わせというとオールドユーザーには、「サブノート」といわれていた時代のThinkPad 220やThinkPad 230c用にサードパーティーや個人のユーザーが作成した「のり巻き」ケースを思い出すかもしれない。のり巻きケースの基本構造は1枚モノの革をノートPCの筐体に“くるリ”と巻いてしまうものだったが、嶋氏が「現行製品に革でカバーした“だけ”でない」と語るThinkPad REは、液晶天板部分の側面に革がしっかりと組み込まれていたり、筐体がスムーズに開閉できるように液晶パネルヒンジ部分の革が柔軟に成型されているなど、随所に工夫が施されている。嶋氏の説明によると、デザイン的な差別化のほかにも、ThinkPad REユーザーだけが利用できる専用のサポートメニュー(いつでも使える専用コールセンターなど)も用意されているという。
ThinkPad REの革加工は、 北海道砂川市にあるカバンメーカー「ソメスサドル」が手がけている。このように日本で作られている「特別なThinkPad」であるが、現在ワールドワイドで出荷中ながら日本における販売は「未定」となっている。その大きな理由がThinkPad REの価格だ。日本円にして50~70万円以上という、イマドキのノートPCとしては飛びぬけた価格が設定されているため、日本で受け入れられるかどうか検討中とのことだ。
関連記事
ThinkPadの“拷問部屋”を体験してきました
IBM時代からThinkPadを生み出しきた大和事業所には、設計・開発を行う研究棟以外にも、“トーチャーテスト”という何やら恐ろしげな試験のための施設や、歴代ThinkPadを飾った展示スペースがある。覗いてきました。ThinkPad T60の中身をプチっと覗いて、見た!
レノボ・ジャパンのThinkPad T60は、ThinkPadシリーズの顔となるノートPCだ。今回のフルモデルチェンジによって、Intel Core Duo/Core Soloの搭載とともにシステムを一新したのが最大のポイントといえる。実機を入手したので、早速中身をチェックしてみよう。見た目はそのままだけど新設計の次世代機ThinkPad T60/X60
前回の記事では主に新ThinkPad X60とT60シリーズの製品写真を中心にお伝えしたが、ここでは発表会の模様を紹介しよう。ThinkPad X60を分解して、見た!
いよいよ出荷が開始されたレノボ・ジャパンのThinkPad X60シリーズ。新しく生まれ変わった新ThinkPadの全容を調べるべく、早速バラしてみた。ThinkPadは“黒いBento Box”である(後編)――黒くて四角いアイデンティティ
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。PCメーカー編の第5回はレノボ・ジャパンの「ThinkPad」シリーズ後編をお届けする。ThinkPadは“黒いBento Box”である(前編)――ThinkPadのデザイン思想
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。PCメーカー編の第4回はレノボ・ジャパンの「ThinkPad」シリーズだ。Core Duo搭載ThinkPadがようやく国内発表
2月1日、レノボ・ジャパンはThinkPadシリーズの新モデル、T60およびX60シリーズの発表会を開催した。すでに今年1月のInternational CES 2006でお披露目されていたが、ここでは、発表会場で展示されていたマザーボードの写真を中心にお伝えしたい。詳細なレポートは追って掲載する。「脱いでも脱がなくてもスゴイんです!」――ThinkPad X60シリーズの開発チームが語る
レノボ・ジャパンへの連続インタビュー第2回目は、B5ノートPCのThinkPad X60シリーズだ。前回はフラッグシップモデルThinkPad T60シリーズの開発チームに話を聞いたが、モバイル向けで初の第3世代ThinkPadとなるX60の開発チームは、何を目指して製品を作り上げたのだろうか。ThinkPad T60の開発チームに聞く――「変わらず」に「進化」を続けるThinkPad
この2月にフルモデルチェンジを果たしたのが、レノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad」シリーズのフラッグシップモデル「T60」とB5ノートPCの「X60」だ。今回は、T60の開発陣にインタビューを試みた。“ThinkPadの父”内藤氏が語る「ThinkPad X60 Tablet」
電磁誘導式と感圧式の両方に対応した業界初のタブレットPC「ThinkPad X60 Tablet」について、ThinkPadの生みの親でもあるレノボ・ジャパン取締役副社長の内藤氏に話を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.