PCだからこそできる“地デジ”を提案したい――「MonsterTV HDU」担当者インタビュー(2/2 ページ)
デルはエスケイネットの「MonsterTV HDU」をバンドルすることで、同社初の地デジ対応PCを国内コンシューマー市場に投入した。その狙いや開発までの苦労を聞いた。
製品化までの苦労
――今回は録画データのムーブなどもできませんが、“それ以上”を求める人もいますよね。それに、既存モデルのユーザーに対してチューナーを販売できないという問題もあります。
正木氏 そういうユーザーがいることはもちろん把握していますし、弊社でできる範囲とできない範囲はありますが、(各団体に)要望は出しています。それがファームアップでの対応になるのか、別の製品になるのかも含めて、そのためにできることはしています。
後者についても、PCとMonsterTV HDUが同時にユーザーに届かないと1つのシステムとして認められないので、この部分は業界団体が理解してくれないといけませんし、それがまだクリアになっていない現状では、正式に“やる”“やらない”と回答することはできません。当然、要望は出していますが……ただ、この場で内容を言うことはできませんが、“面白い回答”はもらっています。
――発表会の日時が延期されたのもそのあたりに関係があるのでしょうか?(MonsterTV HDUの発表が当初の案内から遅れたという経緯がある)
正木氏 ええと、いまでは“苦労話”として話せますが、製品自体とは別にいろいろと問題はありました。今回の製品に関しては、当然ですが弊社とB-CASとの間で契約があります。ただ、B-CASが想像していたのは、こういう形態(外付けポータブル型)でのチューナーではなく、内蔵型というイメージだったらしく、当初予定していた発表日の2~3週間前に実機を持って行ったら、「ちょっと待て」と直前で言われたんですね。
こちらのほうでは以前から「外付けですよ」という話はしていたのですが、もしかしたらこの契約ではできないかもしれない、というようなことを直前になって言われまして、こちらも(発表が遅れたら)機会損失などが発生しますから、話し合いでいろいろと緩和をさせていただいた、という経緯があります。B-CASもお役所体質的なところがありますし、まあ、いまとなっては苦労話ですが、いろいろとありました。
呉氏(デル広報) 我々も外資系なので動きはそれほど速くありませんし、初めての地デジ対応モデルということで、B-CASとのやり取りも今回が初めてだったので、不慣れな部分もありましたから。
――そういった規制がユーザーの利便性を阻害している印象を受けますが、メーカーとしてどう思いますか?
正木氏 今回のMonsterTV HDUについて言えば、このソリューションがユーザーの利便性を向上させられるものかどうか、正直分からない部分もあります。ただ、現状マーケットにない、そして我々が提案できる1つのアッドバリューとして、認知してもらいたいという気持ちはありますね。これがデルとしての最初の地デジ対応PCだと。
――1ユーザーとしては?
正木氏 わたしは開発者ではないですが、もっと小さくですとか、ハード的な部分で、そぎ落としたい部分はあるでしょうし、それで同じ仕様を満たせれば一番いいと個人的には思います。
田野氏 例えばB-CASカードも必要な部分はすごく小さいので、携帯のSIMカードみたいにしてくれれば、物理的な自由度は高くなりますし。あるいはソフトウェアCASとか、開発側としては大歓迎ですよね。
正木氏 技術的な側面で言えば、たいていのことは可能なんですよ。だからこそ、いろいろとある制限の中で、単なるTVではない、PCだからできる使い方を、PCメーカーが何とか提案していかなければいけないと思っています。それを一番初めにやれるベンダーは誰なのか、アイデアの勝負になると思います。
とにかく今回デル初の地デジモデルとして我々が提案したのは、「何でも好きな製品を選んでください。気に入ったモデルで手軽に地デジを楽しめます」ということです。ご案内の通り、ビックカメラで実機に触れることもできるので、是非体験していただきたいと思いますね。
関連記事
「お出かけ地デジ」で山手線を回ってみるテスト
デルが発表したUSB地デジチューナー「MonsterTV HDU」を検証する。恒例の山手線ベンチマークテストが“フルセグ”版に。USB“フルセグ”チューナー「MonsterTV HDU」発表会
デル製PCのBTOメニューに外付けタイプのポータブル地デジチューナーが加わる。“現時点での限界”というB-CASカードサイズで、重さはわずか80グラム。USBバスパワーで駆動する。デル、エスケイネット製の地デジチューナー「MonsterTV HDU」の取り扱いを開始
デルは、エスケイネット製のポータブル地上デジタルTVチューナー「MonsterTV HDU」を同社提供周辺機器に追加した。個人向けノート/デスクトップPC向けにバンドル販売される。“見ため”も“実力”も最強のモンスターな「XPS M1730」に迫る
デルが鳴り物入りで投入した“最強”ゲーミングノートPC「XPS M1730」。まずは奇抜なデザインをネットリ眺めてみた。最強のSLI対応ゲーミングノートPCで3GHzを突破――デル「XPS M1730」
Core 2 Extremeのオーバークロックが可能で、GeForce 8700M GTのSLIに対応、そしてBTOにはPhsyX物理演算カードやRAID構成が可能なSSDを用意する。価格も超弩級です。“Yours is here”をテーマに個人向けブランドを刷新――デル10年の総決算
「Inspiron」シリーズの国内投入から今年で10年。デルは従来の「Dimension」を新生Inspironに統合し、デザインや機能面を強化してコンシューマー層にアピールしていく。そのモバイルノートは絹のごとき滑らかさ――写真で見る「XPS M1330」
デルの個人向けハイエンドPCブランド「XPS」から、Santa Rosa世代のモバイルノートPC「XPS M1330」が登場。早速、実機を見回してみた。Santa Rosa×SSD×HDMIのスタイリッシュモバイル――XPS M1330
デルは6月27日、個人向けハイパフォーマンスPC「XPS」シリーズの新モデルとして、13.3インチワイド液晶搭載のモバイルノートPC「XPS M1330」を発表した。第2世代のワンセグチューナー徹底比較(後編)
大幅にレベルアップしたワンセグチューナー第2世代は、走る山手線の中でも進化のほどを見せてくれるのだろうか? 4モデルの感度を徹底チェック!第2世代のワンセグチューナー徹底比較(前編)
感度向上や機能拡張を果たした“第2世代”のワンセグチューナーが続々と登場している。どれが買いなのか? 買い替える価値はあるのか? まとめて試して比較した。車載ワンセグ「PTV-DT1」の実力――首都高ぐるぐるベンチマーク
助手席に座る彼女があくびをしている――そんなときはカーナビでワンセグを視聴できる「PTV-DT1」の出番だ! なんていう妄想が現実的に有効なのか。首都高をぐるぐる回って性能を検証した。SDカードタイプのワンセグチューナーで山手線をぐるぐる――「Telebit」を試す
SDカードスロットに装着できる初のワンセグチューナー「Telebit」。3種類のアンテナを使い分けて、どこでもTVを実現するのだ。もちろん、恒例の山手線ベンチを敢行した。山手線ぐるぐるベンチマーク――ワンセグチューナー徹底比較(第3回)
年末に続々と登場したワンセグチューナーから6モデルをピックアップして徹底比較。最終回は、山手線に乗り込んで6製品の受信性能をベンチマークした。いつでもどこでもTVが見たい――ワンセグチューナー徹底比較(第2回)
最強のワンセグチューナーを選び出す徹底比較特集。第二弾はアイ・オー・データ機器とバッファロー、そしてロジテック最新モデルの3製品だ。いつでもどこでもTVが見たい――ワンセグチューナー徹底比較(第1回)
年末に続々と登場したワンセグチューナーから6モデルをピックアップして徹底比較。第一弾はロジテックとグリーンハウス、エスケイネットだ。「ちょいテレ」で山手線を3周してみるテスト
録画対応のUSBワンセグチューナー「ちょいテレ」を入手したので、ノートPCを片手に山手線を3周して受信状況をチェックしてみた。ちょっと罰ゲームっぽい……。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.