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クアッドコア“B3”出荷は第1四半期から第2四半期にかけて

2008年初めての記者会見で日本AMDは、2007年を「好調で順調だった」と総括。2008年は「Phenomの市場拡大」を目指す。

 日本AMDは、1月20日に記者会見を開き、2008年の事業方針を明らかにした。同社代表取締役社長の森下正敏氏は、2007年の総括として「ATI買収によるプラットフォームベースでのビジネス立ち上げと、そのための組織作り」「OEMによるAMD製プラットフォームの採用拡大」「例年を上回るGPUビジネスの拡大」を訴求。その具体例として、AMDプラットフォームを採用したNECのデスクトップPC(VALUESTAR N VN750/KG )とノートPC(LaVie L LL550/KG)が、2007年10月から12月においてトップセールスを記録したことも付け加えている。また、クアッドコアCPUについても「当初の見込みどおり、OEMに採用された」と評価した。

 2007年の総括に続いて、森下氏は2008年の戦略方針を紹介。その具体的な目標として、「次世代プラットフォームの立ち上げ」「新しい顧客の開拓」「Phenomの市場拡大」「グリーンPC(IT)の推進」「コマーシャル市場におけるシェアの拡大」の“五カ条”を掲げている。

 続いて、同社取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏が、2007年の決算と2008年の製品戦略の具体的な内容を紹介した。2007年の決算では、「16億7800ドルの経常損」に言及し、その原因について、「米国のルールでは、買収したATIのブランド力、カスタマーリレーションの価値を再評価しなければならない。今回、再評価した結果、それらの価値が下がったために“無形固定資産の減損損失”として計上した」と説明、2007年における現金および現金同等物の期末残高が約19億ドルと、依然として健全であることをアピールした。

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日本AMD代表取締役社長の森下正敏氏
日本AMD取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏

 2008年の製品戦略では、OpteronのB3シリコンが現在社内評価中で、OEM向けには動作クロック2.3GHzの製品が第1四半期中に、2.5GHzの製品が第2四半期に出荷され(のちの質疑応答でPhenomの出荷スケジュールも、現在未確定とした上で、Opteronと同様との見通しを述べている)、45ナノメートルプロセスルールを採用した製品を2008年下半期に出荷する予定と述べた。また、森下氏が述べた「次世代プラットフォームの立ち上げ」という2008年の事業戦略については、2007年に立ち上げた「Spider」プラットフォームに続くものとして2008年前半に登場する予定の「Cartwheel」(開発コード名)と、そのノートPC向けプラットフォームとなる「Puma」(開発コード名)を紹介している。

 Cartwheelを構成するのは、クアッドコアに加えて、これから登場する予定のトリプル、デュアルコアのCPUに、これも未発表の統合型チップセット「RS780」、そして、AMDの最新GPUファミリーである、Radeon HD 3000シリーズが挙げられている。吉沢氏は、この中で特にRS780に言及して 、「これまでディスクリートGPUでしかできなかったDirectX 10とUVD(Universal Video Decoder)のサポートがチップセットに統合されたグラフィックスコアでできるようになる。 パフォーマンスの高いデスクトップPCで省電力を実現し、しかもグラフィックス性能で妥協することがない」とアピールした。

2007年に立ち上げたプラットフォームブランド「Spider」に続いて、2008年はデスクトップPC向けの「Cartwheel」、ノートPC向けの「Puma」(いずれも開発コード名)を立ち上げる
「ATI買収の一番の目的はCPUだけでなくいろんな技術要素でユーザーの体験をリッチにしていくことがAMDの今年の目標である」(吉沢氏)

 会場では、2008 International CESで披露された「AMD LIVE!」の新しい機能に関する説明がデモを交えて行われた。デモでは、3Dを駆使したユーザーインタフェースとして機能する「AMD LIVE! Explorer」(日本語化は2008年前半を予定)から再生する動作コンテンツを選択する操作や、 「AMD LIVE! On Demand」機能を使って、個人宅のPCに保存されている動画データを会場のPCからアクセスして再生させる操作が紹介された。

CES Unveiledでもさりげなく披露されていたAMD LIVE! Explorer。日本AMDの説明によると、バックエンドでは「Orb」が動作しているらしい
AMD LIVE! On Demandでは、使っているネットワーク回線の負荷状態にあわせて適切なビットレートでストリーミングを行うという

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