AMDから登場した“コア3つ”なCPU──「Phenom X3 8750」を試す:イマドキのイタモノ(2/2 ページ)
B3ステップの登場で本格普及の兆しが見えてきたPhenomシリーズ。トリプルコアのPhenom X3にもB3ステップが投入された。その注目されるコストパフォーマンスに迫る。
予定調和の性能だが、優れたコストパフォーマンスは見逃せない!
SYSmark2007 Previewを除けば、いずれの結果においても、クアッドコアのPhenomやデュアルコアのAthlon X2/Athlon 64 X2の中間にPhenom X3 8750の結果が位置している。SYSmark2007 Previewでは、Athlon 64 X2の上位モデルにやや劣っているが、これはSYSmark2007には、コアの数よりも動作クロックを重視するベンチマークテストが多いためだ。
なお、TMPGenc Xpress 4で行ったMPEG2からWMVへの変換処理で、CPU負荷率が100%に達していなかったため調べたところ、3つめのコアがほとんど利用されていないことが分かった。同じTMPGenc XpressでもMPEG2からMPEG2、MPEG2からMPEG4への変換処理では3つのコアがすべて利用されており、それに見合った結果がでているのだが、このWMVへの変換だけが2つのコアまでしか利用されず、デュアルコアとあまり変わらない結果になっている。
このエンコードテストはTMPGenc Xpressのパッチエンコーダを利用して、2つのエンコードを同時に走らせているのだが、その方法だとトリプルコアでWMVをエンコードする場合に2つのコアまでしか利用できないようだ。TMPGenc Xpressのパッチエンコーダの設定で、同時に実行できるスレッドを3つに増やすと3つめのコアも利用できるようになったので、これはWMVコーデック側の制限だと考えられる。トリプルコアCPUを搭載したPCでWMVをエンコードする場合は、パッチエンコードを利用して3スレッドを同時に実行できる設定にするといいだろう。
100ドル台というデュアルコア並の価格を実現したPhenom X3
性能面で見ると、Phenom X3にはデュアルコアとクアッドコアの間を埋める製品としての意味があると言える。TDPが95ワットとクアッドコア並みに高めであるのは気になるが、それでも195ドル(日本円で2万円弱)という価格設定も評価できる。また、今回は触れていないが、史上最強のチップセットとの呼び声も高いAMD 780Gを搭載したマザーボードと組み合わせると、「マルチコア+Direct3D 10+UVD」というマルチメディア再生プラットフォームとしても有力な組み合わせを安価に構成できる。
処理能力でPhenom X4やCore 2 Quadにかなわないのは事実だが、価格は安価に設定されているので、コストパフォーマンスは高いといえるのではないだろうか。それなりに強力な環境を安価に組み立てたいコストを重視する自作PCユーザーであれば、Phenom X3シリーズは検討する価値がある。
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