“脱”据え置き印刷機のススメ――最新A4モバイルプリンタ徹底比較(前編):小さくてもA4が出せる(3/3 ページ)
「モバイルプリンタなんて無関係」と思う人は多いだろうが、最新モデルは仕事でも家庭でもメインプリンタとして使える実力を持つ。注目の2台を比べた。
オプションで無線LAN接続もできるHP Officejet H470
日本HPのH470も、iP100とほぼ同様のコンセプトを持ったA4モバイルプリンタだ。本体サイズは340.2(幅)×163.8(奥行き)×80.5(高さ)ミリ、重量は2.09キロで、iP100と比較すると設置面積と重量が少しだけ不利になるが、プリンタとしては十分コンパクトにまとまっている。カラーは濃いネイビーとグレーを基調に、アクセントとして側面にシルバーの帯を配置しており、落ち着いた印象だ。
プリントエンジンは2カートリッジ構成で、標準では染料C/M/Yカラーカートリッジと顔料Bkカートリッジの2本を使う。最大印刷解像度は4800×1200dpi、最小インクドロップはブラックが15ピコリットル、カラーが5ピコリットルとやや大きめだ。ノズル数は顔料Bkカートリッジが672ノズル、染料C/M/Yカラーカートリッジが600ノズル(各色200ノズル)の計1272ノズルとなる。印刷速度はA4モノクロ印刷が毎分最高22枚、A4カラー印刷が毎分最高18枚をうたう。スピードは複合機やA4単機能プリンタにはおよばないが、プリントエンジンの仕様から、ミドルレンジの複合機「HP Photosmart C5280 All-in-One」と同レベルの印刷品位が期待できそうだ。
さらに、オプションのフォトグレーカートリッジを使った高品位なモノクロ印刷、同じくオプションのフォトカラーカートリッジ(染料の低濃度C/M/Bk)を使った全6色インクによる写真印刷が行えるなど、柔軟なインク構成に対応できる。
標準のインタフェースはPC接続用のUSB 2.0とPictBridge用のUSBだが、オプションとしてBluetooth 2.0ユニット「HP bt500 Bluetoothプリンタアダプタ」(4200円)と、IEEE802.11b/g対応の無線LANユニット「HP 802.11 b/g ワイヤレスプリンタアダプタ」(8610円)が用意されている。iP100のような赤外線通信機能は持たないものの、専用の無線LAN接続用オプションが提供されている点がH470のメリットだ。
加えて、本体の左側面にSDメモリーカードスロットを備えている点にも注目したい。本体と接続したPCからリムーバブルドライブとしてSDメモリーカードを読み書きできるほか、デジカメ写真のダイレクト印刷にも対応している(液晶ディスプレイがないので、カードスロットからのダイレクト印刷機能は簡易的なものにとどまるが)。
用紙のハンドリングはiP100と同じに考えてよい。背面給紙と前面排紙、前面には排紙トレイがないため、利用時には出力後の用紙の置き場所に配慮が必要だ。給紙容量は普通紙で最大50枚を確保する。こちらも自動両面印刷、複数系統の給紙機構、CD/DVDレーベル印刷には対応していない。オプションのバッテリー(7350円)を追加すれば、ACアダプタなしで約480枚の印刷が行えるとしている。
プリンタドライバは日本HPの複合機や単機能プリンタと同じデザインで、4つのタブに分かれているが、通常は「印刷機能のショートカット」タブの操作だけでよい。インクの残量がなくなった場合、片方のインクカートリッジだけで印刷できるインクバックアップ印刷機能も搭載している。
付属ソフトは、H470の各種設定やステータス確認をする「HPソリューションセンター」、画像管理や簡易編集、印刷を担当する「HP Photosmart Essential」、複数のWebページからプリントしたい部分を選択してレイアウト印刷できる「HP Smart Web Printing」など、日本HPの複合機でおなじみのタイトルが用意されている。
今回は主にiP100とH470の概要を紹介した。次回はモバイルプリンタに求められる携帯性やオプションのバッテリー増設時の印刷可能枚数、印刷速度、印刷品質など、多角的に両機種を比較していく。
後編はこちら。
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