“脱”据え置き印刷機のススメ――最新A4モバイルプリンタ徹底比較(後編):その小ささはクセになる!?(1/3 ページ)
屋内外で手軽に利用できるA4対応のモバイルプリンタは、主流の複合機とは違った魅力がある。後編は最新2モデルの実力をじっくり検証した。
本記事では、コンパクトなボディとA4用紙に印刷できる汎用性の高さを両立したモバイルプリンタに着目し、最新機種であるキヤノンの「PIXUS iP100」と日本ヒューレット・パッカードの「HP Officejet H470」を2回に渡って検証している。前編では、手始めにこれら2製品の概要を紹介した。後編では、モバイルプリンタに求められる携帯性やバッテリー装着時の印刷可能枚数、印刷速度、印刷品質を横並びで比較していく。
可搬性とバッテリー駆動時間を検証する
まずはモバイルでの利用を想定し、iP100とH470の携帯性を比較する。本体サイズと重量は前編で紹介した通りだが、ここではオプションのバッテリーを装着した状態の本体やバッテリー、ACアダプタのサイズと重量を実測した。
本体サイズ | ||||
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製品名 | 幅 | 奥行き | 高さ | バッテリー装着時の奥行き |
iP100 | 322ミリ | 185ミリ | 61.7ミリ | 200.7ミリ |
H470 | 340.2ミリ | 163.8ミリ | 80.5ミリ | 183ミリ |
本体サイズを比較すると、横幅と高さはiP100が短く、奥行きはH470が短い。H470に厚みがあるのは、印刷ヘッド一体型インクカートリッジの高さがあるからだ。iP100のインクカートリッジは平らな形状で、本体を薄く仕上げることに貢献している。本体サイズに関していえばiP100とH470で大きな差はなく、設置に必要なスペースはほとんど変わらない。ただし、持ち運ぶ際には薄型で平らなボディのiP100のほうがカバンに収まりやすいだろう。
重量 | |||||
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製品名 | 本体(インク込み) | バッテリー | ACアダプタ | 本体+バッテリー | 本体+ACアダプタ |
iP100 | 2.1キロ | 255グラム | 380グラム | 2.355キロ | 2.48キロ |
H470 | 2.12キロ | 175グラム | 400グラム | 2.295キロ | 2.52キロ |
重量については、インクカートリッジを装着したときの本体、オプションのバッテリーのみ、ACアダプタのみの3通りを実測した。iP100とH470で比較的差が出ているのはバッテリーの重量で、iP100のバッテリーのほうが重い。ACアダプタはH470のほうが小型だが、3ピンの太い電源ケーブルを採用しているため、総重量はiP100より重くなっている。
インクカートリッジを含めた本体とバッテリー、加えてACアダプタの重量を合算すると両者の差は縮まるが、わずかにiP100のほうが軽かった。とはいえ、実際のところ2キロ程度の重さがあるiP100やH470をモバイルノートPCといっしょに持ち運ぶのは、それなりの覚悟が必要になる。
続いて、オプションのバッテリーでの駆動時間をチェックした。テスト内容は、バッテリーをフル充電した状態でPCと接続して電源を入れ、Adobe Photoshop CS2からL判フチなし印刷を連続して行うというものだ(印刷部数は300枚に設定)。iP100は用紙を「写真用紙 光沢ゴールド」、印刷品位を「標準」、H470は6色印刷モードで用紙を「アドバンスフォト用紙」、印刷品位を「標準」に設定した。
バッテリーが切れるまでに印刷できた枚数は、iP100が「160枚」、H470が「118枚」だった。連続動作時間としては、iP100が約2時間、H470が約2時間20分となる。iP100は印刷枚数が多い割に連続動作時間が短いが、これはiP100のほうが印刷速度が速いからだ(印刷速度の検証は後述)。テスト中には、iP100もH470も途中でインクが切れたので、iP100はカラーインクカートリッジを1回、H470はカラーインクカートリッジとフォトインクカートリッジを1回、それぞれ交換している。
今回はカラーインクの消費が大きい写真印刷でテストしたが、文字情報が中心となる文書の印刷ならば、インク消費はずっと少ないだろう。もっとも、外出先で大量に印刷する可能性があるときは、バッテリー駆動でもACアダプタ駆動でも、予備のインクを用意しておくほうが無難だ。
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