北京直前!GPUトップアスリートで競う“ベンチマークオリンピック”:イマドキのイタモノ(1/2 ページ)
NVIDIAもAMDも最新GPUを“どどーん”とぶつけてきた2008年の夏。2560×1600ドットの超高解像度環境で「GeForce GTX 280」「GeForce GTX 260」「Radeon HD 4870」「Radeon HD 4850」の実力を比べてみた。
4800シリーズで勢いづくRadeon夏の陣
NVIDIAもAMD(ATI Technologies)も、2008年の夏は世代が変わったGPU「GeForce GTX 200シリーズ」「Radeon HD 4800シリーズ」でハイエンドGPU市場を競っている。そのパフォーマンスについては、「新世代GPUの実力はあるのか?──GeForce GTX 280ベンチマークレビュー」と「GeForce 9800 GTXに負けないっ! 新世代ミドルレンジRadeon HD 4850」でGeForce GTX 280とRadeon HD 4850のレビューで紹介しているが、今回は、まだ検証結果を示していなかったGeForceの“エントリーハイエンド”モデルとなる「GeForce GTX 260」とAMDのハイエンドモデル「Radeon HD 4870」を加えた、4モデルでベンチマークテストを行った。
なお、テスト条件として、先に掲載したレビュー記事では設定しなかった超高解像度条件(2560×1600ドット)を加え、またフィルタリング設定では、これまでの「イマイタ」GPUレビューで行ってきた「nonAA、non Aniso」「4xAA、8xAniso」(Futuremark系ベンチマークテスト)、「4xAA、8xAniso」「8xAA、16xAniso」(市販ゲームベンチマークテスト)にそろえてデータを測定している。
このようにして得られたベンチマークテストの結果と先日NVIDIA製GPU搭載グラフィックスカードで見られた「限定価格」の実売価格動向を踏まえて、それぞれのGPUの性格付けを考えてみたい。
出場選手のスペックをチェックしよう
GeForce GTX 280、GeForce GTX 260、そして、Radeon HD 4870、Radeon HD 4850の主要スペックを並べると以下のようになる。
GeFroce GTX 280 | GeFroce GTX 260 | Radeon HD 4870 | Radeon HD 4850 | |
---|---|---|---|---|
開発コードネーム | GT200 | GT200 | RV770XT | RV770PRO |
チップ数 | 1 | 1 | 1 | 1 |
プロセッサ数 | 240 | 192 | 800 | 800 |
コアクロック | 602MHz | 576MHz | 750MHz | 625MHz |
シェーダクロック | 1296MHz | 1242MHz | 750MHz | 625MHz |
シェーダクロック | GDDR3 | GDDR3 | GDDR5 | GDDR3 |
メモリバス幅 | 512ビット | 448ビット | 256ビット | 256ビット |
メモリクロック | 1107MHz | 999MHz | 900MHz | 993MHz |
メモリ容量 | 1GB | 896MB | 512MB | 512MB |
PCI Express | Gen2 | Gen2 | Gen2 | Gen2 |
電源ピン | 8ピン+6ピン | 6ピン×2 | 6ピン×2 | 6ピン×1 |
ビデオプロセッサ | PureVideo HD VP2 | PureVideo HD VP2 | AVIVO HD UVD2 | AVIVO HD UVD2 |
消費電力 | 236ワット | 182ワット | 160ワット | 110ワット |
Radeon HD 4800シリーズは、統合型シェーダユニットを搭載した「DirectX 10」世代のGPUとして2007年春に発表されたRadoen HD 2000シリーズから数えて3代目(“リングバス”などの新しいメモリバスアーキテクチャを導入したRadeon X1000シリーズから数えて4代目)となるのにたいして、GeForce GTX 280、GeForce GTX 260は、それまでのGeForce 9800シリーズとは異なる、「新しい世代のGPU」としてNVIDIAは訴求している。
ただ、新世代とされるGeForce GTX 2000シリーズの変更点は、主にGPGPUと呼ばれる汎用的なコンピューティングにGPUを利用するプラットフォームとして最適化されたされたことであって、多くのPCゲームユーザーにとって重要な3Dグラフィックスに関するスペックにおいては、従来のG92世代のコアの発展拡張版(統合型シェーダユニットがGeForce 9800 GTXの128個からGeForce GTX 280で240個、GeForce GTX 260で192個に増えた。ただし、動作クロックに関してはコアクロック、シェーダクロック、そしてメモリクロックともGeForce 9800 GTXより低く設定されている)といえる一方で、Radeon HD 4800シリーズは、シェーダユニットやテクスチャユニット、レンダーバックユニットの改良やGDDR5の採用など、3D描画に影響する部分で重要な変更が施されている。
このあたりについては、先日掲載した「ゲームを超えるミッションとは──NVIDIAが「GT200」にこめたGPUの可能性」、そして「Radeon HD 4800シリーズが「新世代」な理由(前編)」と「Radeon HD 4800シリーズが「新世代」な理由(後編)」に詳しく解説している。
参加するのは、ASUSの“定格設定”グラフィックスカードと“ゲーミングマザー”
今回のレビューで評価をする機材として、GeForce GTX 280はNVIDIAがレビュー用として配布しているリファレンスカードを用意し、GeForce GTX 260、Radeon HD 4870、Radeon HD 4850をそれぞれ搭載するグラフィックスカードはASUSの「ENGTX260」(ENGTX260/HTDP/896M A)、「EAH4870 DDR5」(EAH4870/HTDI/512M)、「EAH4850 HDMI」(EAH4850/HTDI/512M A)を用意した。
ASUSの最新ハイエンドGPU搭載ラインアップにはそれぞれオーバークロックモデル(ENGTX280 TOP/HTDP/1G、ENGTX260 TOP/HTDP/896M、EAH4870 TOP/HTDI/512M)やRadeon HD 4850の1Gバイトメモリ搭載モデル(EAH4850/HTDI/1G)を用意しているが(ただし日本市場への投入は時期未定)、今回テストを行うのは最もオーソドックスな定格動作モデルになる。グラフィックスドライバは、NVIDIAのForceWareもAMDのCatalystも、それぞれのWebページで配布されている公式の最新バージョンを適用した。
テストに用いるシステム環境も、マザーボードにIntel P45 Expressを搭載したASUSの「MAXIMUS II FORMULA」を導入した。DDR2対応であるがゲーミングPC向けマザーボードの「R.O.G.シリーズ」の最新モデルとしてFSB1600MHzやDDR2-1200に対応するなど、多彩で使いやすいオーバークロック支援機能を有する、興味深い製品だが、このレビューでは定格動作に設定している。MAXIMUS II FORMULAのユニークな機能については、機会を改めて紹介する予定だ。
使用したベンチマークテストのうち、3DMark Vantageは、事前にプリセットされている設定モード「Entry」「Perfomance」「High」「Extreme」に加えて、解像度とアンチエイリアス、異方性フィルタリングの設定をこれまでの3DMark06のベンチマークテストと同様に、「1600×1200ドット」「1920×1200ドット」「2560×1600ドット」のそれぞれで「non AA、non Aniso」「4xAA、8xAniso」と設定を変えたほか、non AA、non Aniso設定では画質設定をすべて「Performance」に、4xAA、8xAniso設定では画質設定をすべて「Extreme」にしている。
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