静かな闘志を秘めた新dynabook――東芝デザイナーの心意気:青山祐介のデザインなしでは語れない(2/3 ページ)
語られるようでいて実は語られていない、PC・周辺機器のデザインにフォーカスした本連載。生まれ変わった東芝のdynabook AX/TX/CXシリーズの秘密に迫る。
白と黒とピンクはスーパーベーシックな色である
今回の夏モデルのカラーバリエーションは、従来からある黒と白に加えてTXとAXシリーズにピンクが追加された。そこにはdynabookのユーザー層を広げるという狙いがあり、その過程ではこの3色以外にも、スポーティなイメージを持つ色や、よりビビッドな色味も検討したという。しかし、最終的に幅広いユーザーに支持されるという点で、この3色に落ち着いた。
守田 リュクスホワイト、プレシャスブラック、スウィートピンクという色は、日本ではスーパーベーシックな色だと思います。なので、ピンクも含めた3色がアグレッシブな提案だと思っていません。ピンクという色味に驚かれる方もいますが、ピンクなんてPCでなければどこにでも使われていると思います。家具なんかでもピンクが入っていますよね。そういう意味では今回の3色は非常にベーシックな色だと思っています。その中で、黒なら黒、白は白、ピンクならピンクと、それぞれの色を好きな人が、dynabookのそれぞれの色を好きになってもらえるように徹底的にこだわりました。
その結果生まれたのが「リュクスホワイト」「プレシャスブラック」「スウィートピンク」の3色。リュクスホワイトはピュアな色味だけに、「できるだけニュートラルでシンプルなイメージにした」(守田氏)という。逆にプレシャスブラックは、徹底的に黒さにこだわったという。従来のブラックモデルでは、本体を閉じている状態では真っ黒だが、開けるとシルバーのキーボードが現れてきて、「ピュアなブラックとはいえない部分がまだまだあった」(守田氏)という。
守田 ユーザーのグループインタビューで話を聞いてみると、黒が好きな人は「PC全部黒がいい」というくらい黒にこだわりを持っています。そのため、プレシャスブラックはより“黒さ”という特色をはっきり出しました。その結果クールで上品なイメージに仕上がり、男性だけでなく女性でも本当に真っ黒が好きな人に響くものになっていると思います。
無彩色である白と黒は、色味による好みというものはほとんどなく、一般的にその“白さ”“黒さ”にこだわる向きが多い。そのため、守田氏の語るようにdynabookのリュクスホワイトとプレシャスブラックも、その白、黒というイメージを徹底することに注意が払われている。一方、ピンクという色には、グループインタビューでもかなり好みがはっきり分かれ、結果としてかなり慎重に色味が決められたようだ。
守田 スウィートピンクという色を検討する中では、特にピンクが好きな女性の意見を多く取り入れるようにしました。どちらかというとピンクという色が好きな人は、かなりどぎついピンクでないとダメという人が多いようです。実際に製品になっている「スウィートピンク」では物足りないという方もいました。かといって、こういった一部の“ピンクマニア”に響くピンクを作るのは避けなければなりません。確かに、今回採用した成型同時加飾転写工法では、メタリックのようなゴージャスで重いピンクを表現するのには最適です。しかし、dynabookはやはりできるだけ幅広い人々に使っていただきたいので、軽やかで優しいピンクを最終的には目指しました。
黒川 それぞれの色味に対するこだわりは、PCの外観だけでなく各部のパーツにも徹底しています。例えばスウィートピンクだと、ボタンやスピーカー回りや、dynabookのロゴにもうっすらとピンクのトーンを入れて全体になじませたりしています。また、harman/kardonのスピーカーの透明なパーツは、リュクスホワイトは透明、プレシャスブラックはスモーク、スウィートピンクはクリアーピンクと、それぞれの色に合わせています。また、ExpressCardスロットのダミーカバーは、上半分がトップカバー、下半分がアンダーカバーと同じ色に塗り分けてあります。こうした配慮によって、それぞれの色が好きな方に、十分納得してもらえると思います。
関連キーワード
dynabook | デザイン | ピンク | Qosmio | 東芝 | タッチパッド | LED | ノートPC | ExpressCard | スピーカー | Core 2 Duo | マニア | SpursEngine | ユーザビリティ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.