ポメラについて知っておくべき、いくつかのこと(中編):つきあう前に(2/2 ページ)
前編ではポメラのハードウェアについて述べた。中編では主にソフトウェアを中心としたインタフェースについて見ていく。行番号ジャンプ? そんなもんただの飾りです。
編集機能――長文編集はちょっと難しい
行番号ジャンプは、指定された行番号の行に直接ジャンプする機能だ。この場合の行番号は表示行数であり、改行コードが出てくるまでを1行とする論理行数ではない。そのため、フォントサイズを変更すると対応する行番号も変わってしまう。そのうえ、現在編集中のファイルが何行あるのか、そのうちの何行目にカーソルがあるのかを知る手段はない(F7の文章情報表示では総文字数のみ)。ただし、全行数を超えた行番号を入力すれば、末尾に移動することはできる(逆に0を入力しても1行目に移動する)。
このように「1画面で視認できない長文」になるとポメラの操作性はかなり落ちる。スクロールバーがないため、現在編集している箇所が全体のどのあたりなのかを判別するのも難しい。また、電源再投入時に前回終了時のカーソルキーの位置が復元されないのも残念な点だ。
付せん機能は「しおりとして利用できる」とあるが、実際には「定型文の挿入」と「定型文の検索」機能として実現されている。デフォルトではF1キーで「★付箋★」という文字列が挿入される。この付せんとして挿入する文字列は変更可能だが、変更してしまうと「付箋の位置にジャンプ」機能は変更後の文字列にのみ働くので注意してほしい。複数の付せんを使い分けたければ、「★」だけを登録して「★」の後に「要確認」とか「要修正」のように手入力するのがいいかもしれない。
そのほか細かいことだが、ダイアログのクローズがESCキー/エンターキーに固定されているのもあまり使い勝手がよくない。例えば、F7の文章情報表示では総文字数が表示されるが、ついトグル操作を期待してF7をもう一度押して消そうとしてしまう。どうせダイアログを閉じなければほかの作業ができないなら、どのキーを押しても閉じるようにすればよかったのではないだろうか。
また、1ファイルにつき全角8000文字まで、という制限が課せられているが、これはファイルを保存する際の制限ではなく、作業領域を含めてRAM上にファイル内容すべてを保持するうえでの制限のようだ。テキストエディタの内容は単純にメモリに保存されているわけではない。快適なカット&ペーストなどの編集機能を実現するため、論理行を要素単位とした双方向リストなどを使用することが多く、そのメモリ使用量はファイルサイズよりも大きくなる。8000文字といえば(ぎっしりと改行なしで書いた場合で)原稿用紙20枚だ。このレビューにしても全編では1万字以上ある。そもそもスクロールバーがないポメラでは長すぎるテキストを扱うことは向いていない。
もしどうしても長文を扱いたいのであれば、章単位などに分割するといった手も考えられるが、それでもファイルとして(快適に)扱えるファイル数には限界がある。特に各章ごとにランダムに肉付けしていくような書き方をしている場合は、途中でファイル分割を行わなければならなくなるかもしれない。そうなるとファイルを開く際にファイル名でのソートができないという欠点が表面化するだろう。
後編では前編/中編を踏まえ、さまざまな利用シーンを想定して各用途でのポメラの評価を行っていく。また、ポメラをもっと活用するためのオプションも紹介する。
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