GUIからAIエージェントへ Microsoftが示す次世代基盤「Project Solara」とは:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
6月開催の「Microsoft Build 2026」で発表された「Project Solara」は、GUIやモバイルアプリを中心とした従来の概念を覆す、「AIエージェントファースト」なデバイス向けプラットフォームだ。クラウド上のAIエージェントとエッジデバイスが協調し、ハードウェアの垣根を越えて最適なUIを提供するこの新基盤は、どのような未来を描くのか。2種類のコンセプトモデルの概要とともに、AI時代における新たなコンピューティングの形を解説する。
今回は、Microsoftが6月に開催した「Microsoft Build 2026」にて発表された「Project Solara」を紹介したい。
同社によれば、これは「AI Agent-Firstなデバイス向けのプラットフォーム」という位置付けだ。従来のようにデバイスがあり、その上で動くOSと、そのデバイスとOSに最適化されたアプリケーション群という“レイヤー”で区分けされて構成されていたプラットフォームではなく、企業やユーザーが自らのAIエージェントを構築し、それを自身の望む形で業務に落とし込むためにデバイスを利用できるよう、よりAIエージェントに最適化されたプラットフォームだといえる。
これだけだと漠然として分かりにくいが、新しいユーザーインタフェース(UI)の到来と、それに最適化されたデバイスを利用するためのプラットフォームがProject Solaraだと考えればいい。
同社は1975年にPC向けのBASICを含むソフトウェアを開発する企業として立ち上がり、1981年にはMS-DOSを発売した(IBM向けにはPC-DOS)。この頃のPCがCUI(Character User Interface)全盛の時代だとすれば、1984年に登場したMacintoshと翌1985年に登場したWindows 1.0はGUI(Graphical User Interface)時代の幕開けだったといえる。
これは1995年のWindows 95で大衆化し、2007年にiPhoneが登場して以降はスマートフォン並びに「モバイルアプリ」がプラットフォームの大勢を決める存在となった。そして現在、デバイスのフォームファクターにとらわれない、自身のワークロードに適した形のアプリケーション(AIエージェント)を展開できるようになった。
AIエージェント時代のマルチデバイス・プラットフォーム
技術解説ページではProject Solaraの登場背景や仕組み、その狙いなどが紹介されている。同社 CVP兼テクニカルフェローで応用科学部門(Applied Sciences Group)を率いるスティーブン・バティシェ(Steven Bathiche)氏によれば、AIエージェントが日増しに進化する中、アプリケーション内の補助的な役割を飛び出し、アプリケーションやサービスをまたいで連携させる(Orchestrationなどとも呼ばれる)役割を担ったとき、人間と機械を結ぶ新たなインタフェースかつ新しいプログラミングの単位となり、これが新しいタイプの“コンピュータ”を実現するのではないかという発想からきているという。
過去にはメインフレームがあり、PCが登場してモバイル端末が登場したが、(一部は衰退しつつあるとはいえ)個々のデバイスが消滅することはなく、用途に応じて現在もなお生き残っており、ならばそれぞれのニーズに応じた専門的なデバイスがあってもいいのではないかという考えだ。
Microsoft CVP兼テクニカルフォローで応用科学部門(Applied Sciences Group)を率いるスティーブン・バティシェ氏。手に持つのはProject Solaraデバイスの1つだ
MicrosoftではProject Solaraを「Chip to Cloud」のプラットフォームと呼んでいるが、これが意図しているのは“エッジ”にある「Chip」と「Cloud」が協調動作し、OSは両者をまたいだ形で存在してプラットフォーム全体を構成するということだ。
前述のように、現在のPCやモバイルの世界は“ローカル”にある“アプリ”を通じて何かの作業を行うことが多いが、アプリからAIエージェントに移行した世界では従来のGUIに代わり、AIエージェントがさまざまな作業を代替するようになる。
加えて、このAIエージェントがクラウド(Azure)を介してさまざまな種類の“特殊な”デバイスを包含して制御する。つまり、従来のプラットフォームの考え方では意図したターゲット、例えばPCやスマートフォンを対象にしたとき、スクリーンサイズや対応機種などに応じてアプリの最適化を行う必要があった。あるいは特定用途(流通や製造現場など)向けのデバイスであれば、それらも含めて作り込みを行う必要があったといえる。
だが、Project Solaraでは「Just-in-Time UI」という考えを採用し、デバイスの種類を問わずに最適化されたUIを適時(プラットフォームが)提供することで、ユーザーはデバイスを選ばずにAIエージェントの提供する機能を利用できるようになる。
AIエージェントの実行も「Agent Shell」という仕組みを用いており、クラウド上に複数のエージェントを動的に展開することで、ユーザー側のデバイス上ではAIエージェントは実行されず、あくまで仲介役となる「Agent Shell」のみが対面インタフェースとして機能する。これが基本的なProject Solaraの考え方だ。
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