Windows 11のレスポンス改善が徐々に浸透中 最新アップデートの実力とMicrosoft AI戦略の転換点:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
Microsoftが配信を開始したWindows 11向けの最新アップデートでは、スタートメニューやアプリ起動時のレスポンスを向上させるパフォーマンス改善が盛り込まれた。その一方で、AI・OS部門を牽引してきたユスフ・メディ氏の退社や、社内でのAI開発ツール利用ルールの見直しなど、MicrosoftのAI戦略は新たな転換点を迎えている。
Microsoftが、5月26日(現地時間)付けでWindows 11の「25H2」ならびに「24H2」向けに「KB5089573」の配信を開始している。
このアップデートではいくつかの機能変更点が含まれるが、おそらく最も大きいと思われるのは日本語ドキュメントで記されている次の事項だ。
[一般的なパフォーマンス] この更新プログラムにより、アプリの起動と、スタート メニュー、検索、アクション センターなどのコア シェル エクスペリエンスが高速化されます。
一部のメディアでは「Low Latency Profile」などと呼ばれていたもので、前述のようなアプリ起動時や各種メニュー操作時など、一時的に必要パフォーマンスが増加するタイミングでCPUの動作を高速化させ、処理を“滑らか”にする効果があるという。
Windows Insider Programでは既にテストが行われており、実際にベンチマークを行った範囲で40〜70%程度の速度向上効果が見込まれるようだ。
動作的な特徴としては、前述のようなシチュエーションにおいて必要に応じてCPUの動作クロックを一時的に引き上げる“ブースト”が基本となっている。これにより、従来感じていたスタートメニューを開いたときの“もたつき”などが軽減されるようになる。
Low Latency Profileが話題になったとき、一部に「小手先のテクニックで改良をうたうとは……」のような批判もあったようだが、Windows Centralが示すように、米Microsoft VPのスコット・ヘンゼルマン氏はX上で次のように反論している。
簡単に言えば、皆が普段使っているスマートフォンでは常用されているテクニックで、例えばタッチ操作を行った場合など各種処理のために一時的に(CPU)コアを活性化させ、そしてすぐに元のアイドル状態へと戻っていく仕組みとして認識されているだろう、ということだ。
macOSなど昨今のメジャーなデスクトップOSでも使用されているテクニックで、別に“ズル”ではないというのが同氏の主張だ。
これにより、いわゆる「Windows K2」のプロジェクトで言われていた不満点の1つである、「スタートメニューなどを開いたときのレスポンスの遅さ」が解消されたことになる。
筆者自身の環境で試しているところだが、まだKB5089573のインストール直後で実感できるほどの速度向上は得られていないものの、言われてみれば「キーボード入力の引っかかりが若干緩和されたかも……?」という感じかもしれない。
なお、他にユーザーの間で大きな不満となっている「ファイルエクスプローラー」の改良についてはまだ継続中で、メモリ利用やスレッド動作の最適化も含め、「ゲーミングOSと同等性能」のパフォーマンスを実現するにはまだもうしばらくかかりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Microsoftが描く「定額+従量課金」のAI新時代と、無制限の“エッジAI”へと向かうWindowsのゆくえ
Microsoftの2026年度第3四半期決算から、同社のAI戦略とWindowsの将来像が明確に浮き彫りになった。無制限のインテリジェンスを提供する“エッジデバイス”として再定義されるWindowsのゆくえを解説する。
Windows 11の不満解消へ Microsoftの最優先プロジェクト「Windows K2」とは何か
機能追加よりも「品質とパフォーマンス」を最優先へ。Microsoftが進めるWindows 11の改善プロジェクト「Windows K2」を読み解く。
Windows 11の使い勝手はどう変わる? 「Copilot」名称外しやInsider Program再編に見るMicrosoftの本気度
Microsoftが「2026年は品質改善に注力する」と宣言したWindows 11。その言葉通り、4月に入り基本UIの改良や「Copilot」機能の戦略転換、そして複雑化していたWindows Insider Programのチャネル整理など、実環境への反映が徐々に始まっている。
迷走の5年間を経て――MicrosoftがWindows 11の“不都合な真実”を認め、改善を宣言した背景
Windows 11のリリースから約5年。新機能の追加、特にAI(Copilot)関連の強化にまい進してきたMicrosoftが、大きな方針転換を打ち出した。本稿では、これまでの不満を解消するべく動き出したWindows 11の最新動向を整理する。
MicrosoftとOpenAIの「独占契約終了」が意味するもの──AI覇権を巡る両社のしたたかな戦略
MicrosoftとOpenAIが、両社間で結ばれている提携契約の見直しを発表した。最大の焦点は、これまでMicrosoft Azureに限定されていたOpenAIの技術が、AWSなど他社クラウドへも提供可能になる「独占契約の終了」だ。AI市場の勢力図を塗り替えるであろう最新事情をひもとく。
