Windows 11のレスポンス改善が徐々に浸透中 最新アップデートの実力とMicrosoft AI戦略の転換点:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
Microsoftが配信を開始したWindows 11向けの最新アップデートでは、スタートメニューやアプリ起動時のレスポンスを向上させるパフォーマンス改善が盛り込まれた。その一方で、AI・OS部門を牽引してきたユスフ・メディ氏の退社や、社内でのAI開発ツール利用ルールの見直しなど、MicrosoftのAI戦略は新たな転換点を迎えている。
AI戦略の転換点と2つの話題
話題の2つめはAI関連だ。Windows K2ではブラッシュアップによる機能改善が進んでいる一方で、新機能の追加も進められている。
その1つが「Ask Copilot」で、タスクバーの“検索ボックス”からCopilot機能を直に呼び出せる。Microsoftは「フロンティア組織(Frontier Firms)」がどのようにAIを活用しているかというWindows 11のCopilot関連機能を紹介する冊子を配布しているが、この中でタスクバーからのAsk Copilot機能の呼び出しや、同じくタスクバー上で実行中のエージェントを管理できる仕組みなどが紹介されている。
Windows Centralのザック・ボーデン氏によれば、Ask Copilotの機能は2026年半ばにも提供予定とのことで、おそらく間もなく既存のWindows 11に順次展開されていくことになると思われる。
このように、MicrosoftはWindows K2のようなプロジェクトでWindowsの基本部分に立ち返る意思を見せつつも、その実は「Copilotに類する機能を名称を変更しただけ」といった具合に、Windowsを着実にAI OSの世界へと引き上げている。
ただ、同社のAI戦略そのものは変化を続けており、それを象徴するような出来事がここ最近になり続いて話題になった。
話題の1つは、同社でWindowsへのCopilot機能搭載や「AI PC(Copilot+ PC)」戦略を推進してきたユスフ・メディ氏が同社会計年度で来年度、つまり2027年6月末をもって退社するというニュースだ。
Business Insiderが報じた内部メモの情報によれば、AIとOSの統合、そしてその浸透という一定の役割を終えてのものだという。おそらくAI PC(Copilot+ PC)戦略が落ち着き、あとはCopilot機能そのものをブラッシュアップする段階となり、普及の次のステージに入ったと考えるのが正しいのかもしれない。
話題のもう1つは、The Vergeでトム・ウォーレン氏が報じていた、Microsoft社内での開発作業にClaude Codeのライセンスを停止して利用を廃止、代わりにGitHub Copilot CLIを使うようにとの指示が同社内の数千人のエンジニアを対象に行われたというものだ。
MicrosoftがOpenAIとの提携内容を見直すタイミングで、Claudeを擁するAnthropicとの連携を強化しているという話題は以前にも触れたが、社内での開発作業にこのClaude Codeではなく自社のGitHub Copilot CLIを使えという指示が出たという話だ。
情報によれば、MicrosoftはAnthropicとの提携に呼応する形で2025年末までに社内に対してClaude Codeの利用を解禁してアクセスを広く開放したものの、エンジニアがそちらに殺到する形になり、急きょ揺り戻しが行われたというのがこの事件の顛末だ。
理由はおそらくシンプルで、現状のClaude Codeや最上位AIモデルのOpusなど、主要製品の多くはまだAWS上で動作しており、MicrosoftのAzureへの展開は途上にある。そのため、エンジニアの利用が一気に広まったことで膨大なトークンが消費され、結果として支出(この場合はおそらくAWS)が膨らみ、コスト負担を無視できなくなったためとみられる。
また、AI開発ツールを提供する会社自身が自社の開発ツールを使っていないという、ある意味で本末転倒な状況でもあり、自社製品への誘導の意味合いも強いと思われる。
前回のレポートでも触れたが、主にエンタープライズを対象にしたAIツールは膨大なトークンを消費するため、サービスの課金をサブスクリプションのみならず、トークン利用に応じた従量課金モデルへと移行していく傾向が広がっている。
前出のメディ氏の退社に関する部分はWindows 11の比較的軽量な“AIモデル”利用を推進しつつ、エンタープライズ向けのクラウド環境では課金体系を重視し、自社の開発では極力コストを抑える方向で……という感じなのだろう。
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