「HP Mini 1000 Vivienne Tam Edition」はNetbookを新たな次元に引き上げるか?:ついに販売開始(2/2 ページ)
Eee PCを皮切りに、VAIO type Pまでさまざまな発展を続けるミニノートPC。その1つの進化形が、深紅のボディを身にまとったHPの「Vivienne Tam Edition」だ。
キーボードやタッチパッドは扱いやすいが、ややクセもある
実際の使用感だが、光沢仕様の液晶ディスプレイは映り込みがやや激しく、視野角は上下方向が狭いものの、左右方向は広めなので視認性はまずまずといえる。液晶の明るさは11段階に変更でき、最高輝度にするとややまぶしいほどだ。液晶ディスプレイは180度の開閉が行えず、ヒンジ部分にステレオスピーカーを内蔵しているのは従来モデルを継承する。
キーボードは全面が赤く、キーの刻印がゴールド調になっている。キー入力時にカチャカチャと鳴るのは気になるが、不規則なキー配列は見られず、アルファベットキーで17.5ミリのキーピッチ(キー自体は16ミリ×16ミリの正方)/2ミリのキーストロークを確保しており、入力作業は良好だ。しっとりとした手触りのキートップも特筆したい部分である。スペースバーも61.5ミリと長めで扱いやすいが、最下段のキーは縦方向が19.5ミリと細長くなっており、横方向が13~14ミリと狭くなっている。また、英語キーボードは店頭だけでなく直販モデルでも選べない(BTOで変更できるのは保守サービス「HP Care Pack」の追加のみ)のが心残りといえるだろう。
赤色に染められたタッチパッドは実測値で59.5×34ミリあり、ほかの部分よりわずかにへこんでいるため手触りだけで位置を把握できる。右側に上下方向のスクロールエリアが設けられ、シナプティクスのドライバが導入済みでコーナータップやエッジモーションといった機能を備えている。はやりのジェスチャー操作は行えないが、タッチパッドの機能をワンタッチでオン/オフできるボタンがタッチパッド上部にあり、使用時は白、非使用時はオレンジに点灯する。一方、クリックボタンが左右に並べられている点と、パッド表面とクリックボタンがパームレストと同様に滑りにくい塗装になっている点は好みが分かれるところだ。
ベンチマークテストの結果はブラックモデルと横並び
最後に評価機でベンチマークテストを実行した。ハードウェアの仕様はHP Mini 1000 60GバイトHDDモデルと似通っているので、テストのスコアはこちらの記事でお伝えしたものと大差ない。他社製のNetbook/低価格ミニノートPCとも結果にそれほど差はないが、容量60GバイトのHDDが1.8インチのため2.5インチHDD搭載モデルに比べスコアはふるわない。
バッテリーの駆動時間は、海人氏作のBBench V1.01を使って検証した。設定条件は、液晶ディスプレイの輝度を最高に、電源設定をポータブル/ラップトップにし、Web巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオン(Bluetoothの電源はオフ)にしたところ、約124分でバッテリー残量がゼロになった。試しに画面輝度を半分(最高輝度から11段階中6段階目)にしたところ、約155分動作したので、さらに省電力設定などをチューニングしていけばもう少し駆動時間を延ばすことができるだろう。ただ、やはり6セルの大容量バッテリーは欲しいところであり、本機のカラーに合ったオプション投入が待ち望まれる。
発熱に関しては、底面中央下部にあるメモリスロットを中心にアイドル時でも40度を超える温度が確認できた。ほかの部分は30度台前半だったが(室温は23度)、3DMark05のデモを30分行った後に計測したところ、底面は50度近くまで達した。手が触れる部分では、パームレスト左半分が41度を超えた以外は40度以下におさまっていた。そのぶんファンの回転速度は控えめで、フル回転時も耳障りなノイズは抑えられていた。
同社直販の「HP Directplus」では5万9850円となっており、特製のサテンバッグが付属する(店頭販売モデルにも付いてくるが、PC本体は中に入れられない)。また、本体購入時にイー・モバイルの「スーパーライトデータプラン(にねんMAX)」を申し込むと、USBスティックタイプの「D11LC」がセットになって本体価格が1万4700円(契約事務手数料などが別途必要)となるキャンペーンも実施中だ。
細かな点では不満を覚える部分もあるが、唯一無二の存在感を放つ本機の魅力は何物にも変えられないものがある。機能や性能が横並び状態のNetbook/低価格ミニノートPCの中にあって、本機のような方向性を持った製品がもっと登場してもいい。ここまでくれば、本機をPCとしてではなく、1つのアイテムやアクセサリーとして購入するのも十分に説得力がある。その点で、ヴィヴィアン・タム氏の店舗でも本機は展示されるものの、購入ができないのは残念なところであり、これまで以上の販路の拡大を願わずにはいられない。
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