いじり放題? な入出力デバイス――「G13アドバンスゲームボード」を試す:PC USER的レビュー(4/4 ページ)
ロジクールの左手専用ゲームコントローラ「ロジクール G13アドバンスゲームボード」の使い勝手はいかほどか。片手入力キーボードの魅力を探る。
G-13はゲーム以外にも使えるか?
スクリプトとLCD SDKがユーザーにも公開されていることは諸手を挙げて歓迎したい。ユーザーは作り手が考えもしなかった使い途を思いつくものだ。ゲーム系媒体によるG-13のレビューでは「ゲームパネルの利用価値はほとんどない」と断言しているところが多いが、ゲーム以外での用途、タッチタイピングではなく、手元を見ながらの操作という局面では面白いことに使えるのではないだろうか。その可能性をユーザーに開放してくれていることはメーカー、ユーザ双方にとってメリットがある。
ただ、スクリプトとLCD SDKはレイヤーが異なり、連携はできない。開発環境が2種類あるため誤解を招きがちだが、G-13のメインパートはスクリプトを含めてゲームパネルを出力先の1つとして利用しているに過ぎない。そのため、そもそもLCD SDKでキーが押されたときの挙動が制御できないのは当然とも言える。バックライトはキートップのライトも兼ねており、ゲームパネルの構成部品ではないと考えればスクリプトの制御下にあることも納得できるだろう。
また、そういった開発を伴わなくとも、強力なカスタマイズ能力を持つG-13をゲームだけに使うのはもったいない。すぐに思いつくのは各種ショートカットキーに割り当てることだ。筆者の場合、レビュー時のスクリーンキャプチャには「WinShot」を使用しているが、デフォルト状態ではよく使うホットキーがCtrl+Alt+F9や、Ctrl+Alt+F10と、3キー同時押しのため、少々わずらわしい。こういった3つ以上のキーを押す操作をキーストローク登録しておくと楽だ。
そのほか、Gmailのホットキーの組み合わせをマクロ登録しておくのも便利な使い方だろう。例えば、既読メールを選択して削除する「r*#」、次のスレッド、前のスレッドへの移動の「J」「K」をミニジョイスティックに割り当てるのも(viユーザ以外には)いいかもしれない。もちろん、PhotoshopやPremierなどグラフィックス系のソフトを使うユーザーにも有用だ。プロファイルの自動切り替えを利用すれば複数のアプリケーション間で共通した操作が可能になるかもしれない。
ほかにもパスワード入力に利用するという方法もある。もちろん、パスワードをマクロ登録して1つのキーに割り当ててしまうのは非常に危険だが、ランダムに配置したキーを複数組み合わせて入力するようにすると覚えやすく、破られにくいものになる。例えば、登録するフレーズとして適当に「meteoric three sisters」「double compile」などを考える。同様に数字の羅列で「0368229200」「035814」などを作り、それぞれゲームキーの上から順に2文字ずつ割り当てていく。余った分の文字は使わない。この状態で各列から1キーずつ選ぶと一見してランダムなパスワードができあがる。ミニジョイスティックを使って上上下下左右左右G24G23などと入力するのも乙なものかもしれないが、安全性についてはよく考慮する必要があるだろう。
ロジクールのG-13は左手専用ゲームコントローラという特殊な製品であるがゆえに、その用途自体に未知の可能性を秘めたデバイスとなっている。ゲームをしない人でも興味を持ちそうな魅力をもった一品だ。
関連記事
ロジクール、左手操作専用のマクロキー搭載ゲームコントローラ
ロジクールは、左手専用のゲームコントローラ「ロジクール G13 アドバンス ゲームボード」を発表した。新搭載のLCDはどうか:Bluetoothを全面採用した「MX5500 Revolution」を試す (1/4)
ワイヤレスキーボードとマウスのセット「Cordless Desktop MX5500 Revolution」は、あの“革命マウス”がBluetoothに対応したことでも注目度が高い。ねっとりと使ってみた。これ本当にキーボードなの?――「diNovo Mini」を試す
ただのキーボードに興味ありません。というわけで、国内発売を目前にひかえた手のひらサイズのワイヤレスキーボード「diNovo Mini」を試してみた。“親指タイピング専用”キーボードが登場──Logitech新製品発表会
CESの開催“前前”日にCES会場の“すぐ隣”で行われた発表会では、その斬新なアイデアに「そうそう、それが欲しかったのよ」と思わずうなってしまった。カ・イ・カ・ン……なホイールがお手ごろ価格で――ロジクール「MX620 Cordless Laser Mouse」
ユーザーに身近なキーボードとマウスは、星の数ほど発売されている。その中から、気になる一品を360度チェックする。F1マシンを連想させる操作感――最高峰のゲーミングマウス「G-9」を試す
解像度を最大3200dpiに引き上げ、“最強のカスタマイズ”を名乗るロジクールのゲーミングマウス「G9 Laser Mouse」。さっそく使用感をチェックした。ガシガシ打つ時代は過ぎ去ったか──「diNovo Edge」に見る当世キーボード事情
ツウなユーザーが使うキーボードは「重厚なメカニカルでガシガシと打つ」であった。PC利用が「創造」から「再生」にシフトすることで、キーボードの条件も変わろうとしている。孤高の存在か、革命的な先駆者か――ロジクール「MX Air」
Logitechが北米・欧州でリリースした「MX Air」がいよいよ日本でも販売される。机上で、空中で、感覚と連動したインタフェースが踊り始める。“革命”という名のマウス
元麻布春男氏が最新PC事情を分析する本連載。今回は“革命”の名を与えられたロジクールのマウスを切る。その画期的なフィーチャーは、これまでの操作性を一変させるかもしれない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.