カ・イ・カ・ン……なホイールがお手ごろ価格で――ロジクール「MX620 Cordless Laser Mouse」:ちょっと気になる入力デバイス
ユーザーに身近なキーボードとマウスは、星の数ほど発売されている。その中から、気になる一品を360度チェックする。
これまでのバックナンバー
第1回 線をなくした“最上”マウス――エレコム「M-P3DUR」シリーズ
第2回 Media Center 命”のVista向けキーボード――MS「Wireless Entertainment Desktop 7000」
第3回 Mac印のミニキーボード――PFU「HHKB Lite 2 for Mac」
第4回 “ごろ寝マウス”が地球のキキを救う!?――シグマA・P・O「ごろ寝 リターンズ」
第5回 “小学生だからって甘く見るなよ”な右手/左手切り替えマウス――エレコム「M-EKUR」シリーズ
第6回 見ためが“イカス”快適マウス――MS「Natural Wireless Laser Mouse 6000」
切り替え式のスクロールホイールを搭載
マイクロソフトと並んでワールドワイドで多彩な入力デバイスを販売しているのが、今回取り上げるロジクールだ(日本以外ではLogitechで展開)。その歴史は古く、GUIが普及するはるか以前からマウスを提供しており(ちなみに、アップルのLisaに付属してたマウスはLogitechのOEM品だ)、1991年には初めて無線技術を使ったコードレスマウスをリリースしている。そして2004年にはセンサーにレーザー光線を用いたMX1000を発表、2006年には小型モーターを内蔵し2通りのスクロールを利用できる「MX Revolution」を投入と、この分野ではスクロールホイールを開発したマイクロソフトとともに技術革新の先頭を担っているメーカーでもある。同社の3ボタンマウス「MouseMan」シリーズのお世話になったベテランのPCユーザーも多いのではないだろうか。
さて、今回取り上げる「MX620 Cordless Laser Mouse」は、MX Revolutionと同時期にリリースされた「VX Revolution」のスクロールホイールを搭載した右手用の無線マウスだ。上記のRevolutionシリーズがフラッグシップだけに1万〜1万3000円前後と値段が高めだったが、このMX620はロジクールダイレクト価格で5980円と手ごろな価格で入手できる。
本機に搭載されたホイールは、フリースピンモードとクリック・トゥ・クリックモードを内蔵の小型モーターで切り替える最上位モデルMX Revolutionではなく、底面の切り替えスイッチで行うVX Revolutionで採用されていたエンジンと共通だ。合金製のホイールは「MicroGearプレシジョンスクロールホイール」と呼ばれ、見ためにも重量感があるほか、中央部分にすべり止めのラバーを配置しており扱いやすい。
注目のスクロールモードだが、フリースピンモードは文字通りホイールスクロール時のクリック感がなく、ホイールをスピンさせることで高速なスクロールが可能だ。1回でのスピン時間は最長7秒間で、その間のスクロール範囲はExcel文書で1万行にも及ぶという。これを従来のスクロールホイールで実行すると、約7分間もスクロールをし続けないといけないとのことで、それだけの長大なスプレッドシートを毎日扱っている人は少ないとは思うが、日々のスクロール時間を短縮できるのは間違いない。もう1つのクリック・トゥ・クリックモードは、ホイール回転時に確かなクリック感があり、細かな作業に向いている。
このモードの切り替えは、VX Revolutionと同様に底面のスイッチで行う。モードを自動的に切り替えてくれるMX Revolutionのようなスマートさはないが、気軽にスイッチを扱えるので慣れてしまえば苦にならない。同社のWebサイトからユーティリティのSetPointをダウンロードすれば、アプリケーションごとに上下/左右のスクロール速度を指定したり、ゲームモード時の動作設定が可能だ。ちなみに、本製品にドライバCD-ROMは付属しないが、Windows Vista/XP(ともに64ビット/32ビット両対応)、Mac OS X(10.2.8以降)用のドライバが用意されている。
スタンダードなお手ごろマウス
エルゴノミクスデザインを採用した形状は、成人男性の手にフィットするサイズで、黒とダークシルバーのツートーンカラーも渋い印象だ。両側面部分にはソフトなラバーコーティングが施され、グリップ感も良好である。
ホイールを含めたボタン数は合計6個あり、左側面に2ボタンを備え、ホイールの左側にズームボタンを配置する。このズームボタンは、VX Revolutionのようなスライドスイッチではなく通常のボタンになっており、初期状態では「One-Touch Search」に割り当てられている。One-Touch Searchとは、検索したい言葉をマウスで反転表示してからズームボタンを押すと、好みの検索エンジン(5つから選択可)での検索結果を表示してくれる機能だ。左右のクリックボタンを除く4つのボタンは前述のSetPointでカスタマイズが行え、ズームボタンに「ドキュメント フリップ」を指定すれば、Vistaのフリップ3Dがワンタッチ(通常はWindowsキー+Tabキー)で呼び出せる。また、ホイールのチルト部分(左右のスクロール)にも音量調整や上下の自動スクロールなどの割り当てが行える。
読み取りセンサーはMX1000で初導入されたレーザーセンサーで、PCとは2.4GHzデジタル無線で接続と、このあたりは上位シリーズを継承している。バッテリーは単3乾電池2本(1本での動作は不可)で、約1年間の動作が可能と長寿命なのも目を引く。付属のUSBレシーバーは全長41ミリ(USBポートに挿入すると出っ張り部分は29ミリ)、重量は約4グラムと従来機のMX610よりも小型になった。なお、レシーバーにLEDランプなどは用意されていない。
一方で、MX610にあったメールおよびインスタントメッセンジャーの受信通知機能がなくなり、ボタン数も従来の10個から6個に減ったほか、カラーバリエーションも1つのみとなった点は残念な気もするが、何より快適なスクロールホイールエンジンを搭載しつつ、同社の直販価格で5980円とMX610登場時よりも500円安価になっているのは見逃せないところだ。
クセのない形状とシンプルな操作性から、MX620は幅広い層に対応可能なスタンダードなマウスに仕上がっている。手持ちのマウスに不満を持つユーザーや、PCに付属してきたマウスからのステップアップを考えているユーザーに適した製品と言えるだろう。
PC USER編集部Tのインプレッション
両側面にあるラバーのおかげか、マウスのフィット感は申し分なく、手によくなじむ。ボタンのクリック感も適度で好印象な仕上がりだ。2つのスクロールモードを底面のスイッチで切り替えることを差し引いても、このクラスの製品で上位シリーズと同じホイールエンジンが使えるようになったのがうれしい。
デザインも好みで、VX Revolutionに見劣りしない高級感がある。電池寿命が従来の3カ月から最長1年に延びたのも見逃せないところだ。ただ、底面のレーザーセンサーの位置が向かって左に寄りすぎているのが気になった。
PC USER編集部Hのインプレッション
これまでは上位機だけの特権だった「MicroGearプレシジョンスクロールホイール」が、ミドルレンジクラスのマウスでも利用できるようになったのがうれしい。Mac OS用のドライバをはじめとして、Windows XPとVistaとも64/32ビット両方をサポートしているのも安心感がある。SetPointで細かなカスタマイズを行う必要があるものの、追い込めばかなりの作業効率アップが見込めるだろう。鏡やガラスといった極端な場合を除けば、たいていの場所で動作するレーザーセンサーも心強い。
ただ、マウス自体がやや大きめなため手のサイズが小さめな人は持てあまし気味で、重量が電池込みで約160グラムと重いので好みが分かれそうな気がする。
主なスペックは下記の通りだ。
製品名 | MX620 Cordless Laser Mouse |
メーカー | ロジクール |
インタフェース | 無線式(2.4GHz帯) |
読み取り方式 | レーザー方式 |
カウント数 | 800dpi |
クリックボタン | 6(ホイール含む) |
使用電池 | 単3乾電池×2(1本動作不可) |
連続動作時間 | 約1年 |
到達距離 | 約10メートル |
外形寸法 | W69×D125.5×H41.5ミリ |
重量 | 約114/160グラム(電池含まず/含む) |
対応OS | Windows Vista/XP/Mac OS X 10.2.8以降 |
付属品 | レシーバー、単3アルカリ乾電池×2、簡易マニュアル |
カラーバリエーション | − |
保証期間 | 5年 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第1回
線をなくした“最上”マウス――エレコム「M-P3DUR」シリーズ - 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第2回
Media Center 命”のVista向けキーボード――MS「Wireless Entertainment Desktop 7000」 - 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第3回
Mac印のミニキーボード――PFU「HHKB Lite 2 for Mac」 - 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第4回
“ごろ寝マウス”が地球のキキを救う!?――シグマA・P・O「ごろ寝 リターンズ」 - 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第5回
“小学生だからって甘く見るなよ”な右手/左手切り替えマウス――エレコム「M-EKUR」シリーズ - 連載:ちょっと気になる入力デバイス 第6回
見ためが“イカス”快適マウス――MS「Natural Wireless Laser Mouse 6000」 - 合金製MicroGearホイール搭載の6ボタンワイヤレスマウス「MX-620」――ロジクール
ロジクールは、合金製ホイールを装備し快適な高速スクロールを実現したワイヤレスマウス「MX-620 Cordless Laser Mouse」を発売する。 - もう1つの“革命”という名の小型マウス
元麻布春男氏が最新PC事情を分析する本連載。今回は“革命”の名を与えられたもう1つのロジクール製マウスを見ていく。ノートPC用だからと言って侮ってはいけない。 - “革命”という名のマウス
元麻布春男氏が最新PC事情を分析する本連載。今回は“革命”の名を与えられたロジクールのマウスを切る。その画期的なフィーチャーは、これまでの操作性を一変させるかもしれない。 - 超高速“フリースピン”対応ホイール搭載のワイヤレスマウス2モデル――ロジクール
ロジクールは、ホイールスクロール時のクリック感を任意に切り替えられるデスクトップ向けワイヤレスレーザーマウス「MX Revolution」、およびノート向けモデル「VX Revolution」の2製品を発売する。 - メール/IM着信を知らせるレーザーマウス──ロジクール「MX610 Laser Cordless Mouse」
レーザーセンサー+操作可能距離が広い2.4GHz帯無線の採用に加え、もう1つの特徴として双方向通信機能を備える、ロジクールの新マウスが「MX610 Laser Cordless Mouse」。今回はこの双方向通信含めた使い勝手をチェックしてみた。 - ロジクール、メール着信などをLEDで知らせる“双方向”機能搭載レーザーマウス「MX-610」
ロジクールは、メール着信などをマウス上のLEDで知らせる双方向機能を搭載する、レーザーセンサー採用コードレスマウス「MX-610」を発表した。価格は6480円前後。 - ロジクール、左利き向けレーザー双方向通信マウス「MX-610L」
ロジクールは、左手専用デザインを採用する双方向通信対応のワイヤレスレーザーマウス「MX-610L」を発表した。価格は6480円前後。