“ごろ寝”が地球のキキを救う!?――シグマA・P・O「ごろ寝 リターンズ」:ちょっと気になる入力デバイス(1/2 ページ)
ユーザーに身近なキーボードとマウスは、星の数ほど発売されている。その中から、気になる一品を360度チェックする。
これまでのバックナンバー
第1回 線をなくした“最上”マウス――エレコム「M-P3DUR」シリーズ
第2回 Media Center 命”のVista向けキーボード――MS「Wireless Entertainment Desktop 7000」
第3回 Mac印のミニキーボード――PFU「HHKB Lite 2 for Mac」
トラックボール付きハンディマウスの後継機
PC USERを読んでいる人にとって、シグマA・P・Oシステム販売はマウスやキーボードといったサプライ製品のベンダとしておなじみかもしれない。しかし、同社の創業は1978年、現在の社名になったのは1983年と古い。もともとはOAデスクやOAチェアーの企画・製造・販売を手がけていたが、近年ではPC周辺機器、スピーカーやWebカメラなどマルチメディア製品、サプライ用品、PCパーツなども幅広く手がけている。
マウスやキーボードは、どちらかと言うと企画物が多い印象を受ける同社のラインアップの中で、ひときわ異彩を放っているのがSGM2シリーズこと「ごろ寝 リターンズ」だ。製品名に「リターンズ」とあるが、これは前世紀末に一世を風靡した「使えてマウス」のシグマA・P・O版「ごろ寝マウス」の正統な後継機であることを意味する。
久々の復活だけに、パワーアップは著しい。ボディサイズの大型化をはじめ、読み取りが光学式になり、新たにスクロールホイールを搭載してきた。しかも、トリガーボタンと右クリックの同時押しで解像度を800/400dpiに変更が可能だ。ちなみに、ホイールを含めて基本は3ボタンだが、トリガー部分に左右のクリックボタンがあるので、ボタン自体は5個備えていることになる。また、底面にツボ押し用の突起を3つ用意した点も見逃せないところだ。試しにツボ押しを実践してみたが、先端にある突起は丸みを帯びているうえにケーブルが邪魔で使いにくかった。逆に残りの2つは突起が大きく鋭角的なのでツボをとらえやすい。特に眼精疲労に効果的と言われるこめかみにある“太陽”や目の下の“四白(しはく)”、こめかみにある“風池(ふうち)”“天柱(てんちゅう)”などは押しやすかった。
カラーリングは銀/黒/白/ガンメタリックの4色で展開される。ドライバやユーティリティーは付属せず、ボタン操作のカスタマイズなどは行えないが、その分対応OSはWindows Me/2000/XP/Vista、Mac OS X 10.2以降と幅広い。実売価格は3500円前後だ。
見ためとは裏腹になかなか秀逸な使い心地
基本的な使い方は、銃を握るようにマウスを握り、親指でトラックボールとホイール、そして左右のクリックボタンを使い、ドラッグ時などでトリガーボタンを利用するというスタイルである。ほかにも、“3点倒立デザイン”の採用により、机上に置いて使えるようになったのもポイントだ。左右対称のデザインにより、右手と左手どちらでも利用できるのも好ましい。
実際に利用してみると、見ための奇抜さとは裏腹に握りやすく操作しやすいことに驚かされる。さすがに机上ではマウス自体が倒れやすく操作性は今ひとつだが、手で握りながら使うスタイルではまさに「ごろ寝」利用にふさわしい。ケーブルの長さが約152センチと長めなので、多少PCから離れても扱える。ボディサイズは58(幅)×84(奥行き)×64(高さ)ミリ、重量はケーブル込みで98グラム(実測値)と小型かつ軽量だ。
同社によれば、医療関係や法人などで売れているとのことで、マウスの操作に必要な平面スペースを確保できないベッドのうえや、サーバのちょっとしたメンテナンス時に使うという際に威力を発揮してくれる。ただ、使っていているとどうしてもケーブルの存在が気になってしまう。ぜひ、バリエーションモデルでワイヤレスタイプを追加して欲しいところだ。加えて、トラックボールは機構的にほこりがたまりやすく定期的な清掃が欠かせないのだが、本製品はほぼ全分解を必要とするのがいただけない。しかも、ボディの固定にツメを多用しており、分解作業はなかなか骨が折れる。次期モデルでの改善を期待したい。
と、通常のレビュー風に書いてきたが、ごろ寝 リターンズの真骨頂は力の入ったバックストーリーにある。次のページではそのあたりをじっくり見ていこう。
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